皮革産業とは?メイドインジャパンが世界で勝つためには?

皮革産業は、メイドインジャパンの有力な分野です。加工技術を磨き上げてきた日本の皮革産業は、国際的な競争力を持っています。それをどうプロデュースしていくのかが、大きなテーマです。

今回は、広告代理店が制作した企画書実例です。最近の世界のコンサルティング企業のトレンドとして、エージェンシーを買収する流れがあります。それはこのようなソリューションとしてのクリエイティブ機能を傘下に収めることで、サービス競争力を向上させるのが狙いではないかと思います。

アサツーディ・ケイは、2018年の日本の広告代理店売上高ランキングで第4位に位置する企業です。もともとアニメに強く、新しいことにもどんどん取り組む社風です。そんな広告代理店の作成した企画書をみていきたいと思います。

 

◆SCOTCH GRAIN「世界の良質な革」と「日本の技術」が織りなす最高の靴

◆皮革産業での日本製へのこだわり(縫製から加工まで)

 

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【目次】
1. 今回の企画書の特徴
2. アサツーディ・ケイの企画書実例『平成29年度 皮革産業振興対策調査等事業実施報告書』から学ぶ
2-1. 表紙
2-3. 目次
2-4. I.「theMICAM」JAPAN BOOTH 実施概要
2-5. I‐1.事業内容/日本の革製履物に関する市場与件
2-6. I‐1.事業内容/theMICAM/JAPANブースの傾向
2-7. I‐2.開催概要
2-8. I‐3.運営体制/運営体制図
2-9. I‐4.JAPAN BOOTHコンセプト
2-10.I‐10.JAPAN BOOTHコンセプト/JAPAN BOOTH 全体イメージ
2-11.Ⅱ.「theMICAM」JAPANBOOTH実施ポート<9月展>
2-12.Ⅱ‐1.出展社募集/募集要項
2-13.Ⅱ‐1.出展社募集/選定委員会
2-14.Ⅱ‐2.出展社説明会/出展社説明会の実施
2-15.Ⅱ‐3.事前PR/ホームページ
2-16.Ⅱ‐3.事前PR/バイヤーへの来場案内プロモート メール配信
2-19.Ⅱ‐5.バイヤー誘引とセールスサポート/theMicam オフィシャル オンラインカタログ
2-21.Ⅱ‐6.テーマコーナー/足型計測コーナー実演内容
2-22.Ⅱ‐6.テーマコーナー/革靴づくり実演内容
2-23.Ⅱ‐7.会場配布物/パンフレット①
2-27.Ⅱ‐7.会場配布物/オフィシャルガイドブック
2-28.Ⅱ‐8.会場レイアウト
2-30.Ⅱ‐9.スケジュール

 

1. 皮革産業が世界で勝つために

今回の企画書は広告代理店アサツーディ・ケイが作成しただけあって、クリイエティブのセンスが非常に高い仕上がりになっています。コンセプトワークやイベント運営実務、現場イメージといった広告代理店の強みが発揮されているのが大きな特徴です。

ちなみに日本の広告代理店の売上ランキングは、以下のようになっています。

【日本の広告代理店/2018年売上ランキング 単位:百万円】

1. 電通/1,561,528
2. 博報堂/947,054
3. サイバーエージェント/419,512
4. アサツーディ・ケイ/352,851
5. D.A.コンソーシアムホールディングス/208,342
6. 大広/167,636
7. ジェイアール東日本/115,981
8. 東急エージェンシー/104,686
9. オプトホールディング/82,602
10. セプティー二・ホールディングス/73,025

 

 

2. アサツーディ・ケイの企画書実例『平成29年度 皮革産業振興対策調査等事業実施報告書』から学ぶ

では、実際にアサツーディ・ケイが作成した企画書を見ていきましょう。

2-1. 表紙1/平成29年度 皮革産業振興対策調査等事業実施報告書

2-2. 表紙2/平成29年度 皮革産業振興対策調査等事業実施報告書

2-3. 目次

2-4. I.「the MICAM」JAPAN BOOTH 実施概要

2-5. I‐1.事業内容/日本の革製履物に関する市場与件

◆日本の革製履物に関する市場与件

◇日本の皮革産業は輸入に押され厳しい状況
・国内市場は縮小傾向
→過去、10年の間に生産額は約5割減となるほど、急速に縮小を続けている。
・2010年より中国や途上国からの安価な革製履物輸入が急速に拡大。
・10年の間、国内生産の縮小幅と輸入の拡大幅がほぼ同額で、日本の市場規模自体には大きな変化はない。
・国内生産の減少を輸入で補う、もしくは輸入の増加におされて国内生産が減少していると推測される。

◇日本革製履物の市場状況(日本製革製履物関係者弊社独自ヒアリング)
①日本製独立系ブランド
デザイン性と質のバランスが優れており、海外デザイナーズブランドとは強みが明確に異なる。
昨今は厳しい状況が続いている(トレンドを踏まえたベーシックな製品が求められている)。

②日本製企業系メーカー
国内のマーケットニーズを上手く把握しきれていない。
ベーシックなモノづくりと質が強みで、売り場での存在感は強いが、廉価な外国製品との価格競争で、全体の売上げは下降傾向。

③海外から見た日本の革靴生産現場
海外から見て、日本での革靴生産は殆ど知られていない。
世界の市場では、中国等が大量で廉価な商品の生産、もしくはイタリア、イギリス等がクリエイティブ、アルチザン交えた高レベルに生産するなど、独自のポジショニングが確立されている。

◇日本の革靴製品市場に、今後、何が必要か。
日本は、世界一厳しい消費者の国であり、世界一質の高いものづくりが出来る。均一的な商品の量産、管理を含めた安全性などは世界一の分野でもあるが、日本製品全体のマーケット縮小により、革靴業界全体が製品、生産ともに共倒れの状況にある。

国内の革製履物生産が縮小傾向の中、今後海外市場の開拓と日本の革製履物の輸出促進に向け海外市場において、日本の革製履物の強みをより具体的に今一度明確化し、情報発信していくことが重要。

「日本の革靴=Made in JAPANブランド」の確立が必要。

2-6. I‐1.事業内容/theMICAM/JAPANブースの傾向

◆the MICAM/JAPANブースの傾向

【the MICAMの傾向】
・来場者の減少トレンドが続いていたが、2016年2月展では増加に転じる。ファッションにおける地位確立を目指すイタリア政府の後押しもあり、MICAMはさらにモダンで国際的な展示会に生まれ変わる途上にある

【JAPANブースの傾向(2014年8月~)】
・アンケート回答者数(商談・問い合わせのある来場者)は増加トレンド。バイヤー・プレスなど、どの職業職種もまんべんなく増加
・約半数の来場者は日本革靴を知らないものの、わずかずつではあるが、日本製履物の取り扱い経験率や展示会等での認知率は伸長
・いずれの回も約7割の来場者が日本革靴の取り扱いを希望。その理由を見ると、希望者はデザイン・品質を評価、非希望者は価格が影響。価格面を含め、バイヤーニーズを満たした出展事業者の選定が重要
・いずれの回も日本製の靴の技術力は高い評価
・いずれの回も日本製の靴のデザイン力は高い評価
・ブースの構造・デザイン・デモンストレーションにより、集客~アプローチ~商品説明までの流れが構築できている
・接客レベルの高さが商談件数が増加につながっている。JAPANブースへのリピーターが増加している。継続的にレベルの高い出展を行うことでJAPANブランドが徐々に浸透しつつある

◆JAPANブース 展開コンセプト

日本人の感性や技術を生かした特徴ある優れた日本製革製履物の展示・PR を行うとともに、海外市場での販路開拓の可能性及び課題について評価分析を行う

「デザイン力」×「品質力」×「集客力」×「商談力」

バイヤーの買付動向が変化しつつある中、ファッションビジネスにおける、ショールームで行われているような
セールスサービスを提供していくことが、海外のファッションセールスにおいては必要。

JAPAN SHOWROOMを更に深化し、セールスレップとなるJAPANブースを目指す。

海外展示会の合同出展=JAPANブースという捉え方を拡張し、日本の優れた革製履物(ブランド)を販売する、「セールスレップ機能を加えるブース」という考え方のもと、商談・セールスの場として、ブース構成~商談サポート、アフターセールス支援に至るまで一貫した取り組みを行う。

◆セールスレップ
日本型セールスレップは販売のみを追求することではない。日本版セールスレップはメーカーからの視点と販売先の双方の視点で商品、販売、販売促進、技術を理解し、助言・指導が出来ることが重要である。
これまでマーケティングは販売に関わる活動が重んじられてきた。しかし、それではまだ販売の領域でしかない。セールスレップは、製品から目利きし、かつ販売先の視点を重視することから活動を始める。すなわち「つくられたものを売るのではなく、売れるものをつくる」という発想で、メーカー企業と製品開発や改良を進めてゆく必要がある。
わが国ではセールスレップは経営マネージメントを身につけ、企業間取引に習熟した人材を育成することで、営業のみならず、事業戦略、販売戦略、販売促進戦略、商品開発戦略などに精通した人材が輩出されて浸透、定着化してきた歴史がある。
また、現在では、セールスレップの持つ高いマーケティングスキルや専門知識を活用し、科学的な営業手法に基づく営業人材の育成に力を注いでいる企業も多く見られるようになっている。
わが国では「製品開発の企画段階、あるいはプロトタイプにおけるセールスレップの取り組み」等において、「全国プロトタイプ(試作品)取扱いのための統一基準」が策定されている。これによりメーカー企業が「作ってしまってから売れない」というリスクを軽減し、より社会の要望に見合った製品開発を行なうことが可能となっている。
セールスレップの持つスキルによって、製品のテストマーケティングの調査を実施するなど、売り手側の視点による売れない問題点、売るための要件等を明確にしている。
このようにわが国では現在、日本版セールスレップのノウハウを活用することで、優れた営業人材の育成の浸透が図られている。

2-7. I‐2.開催概要

2-8. I‐3.運営体制/運営体制図

2-9. I‐4.JAPAN BOOTHコンセプト

◆JAPAN BOOTH 展開コンセプト

3年間の本事業での従事を通じて確立されたJAPAN SHOWROOMを更に深化し、セールスレップとなるJAPANブースを目指す。

海外展示会の合同出展=JAPANブースという捉え方を拡張し、日本の優れた革製履物(ブランド)を販売する、「セールスレップ*機能を加えるブース」という考え方のもと、商談・セールスの場として、ブース構成から集客、商談サポート、アフターセールス支援に至るまで一貫した取り組みを行います。

◆コミュニケーションビジュアル案

JAPANブースへの買い付けを目的とするバイヤーが徐々に増えつつあることを考慮し、コミュニケーションビジュアルは昨年度のものを踏襲します。日本の国旗も彷彿させる、赤いドットのモチーフと、イタリアのナショナルカラーの青を組み合わせた日本らしい品質・デザインを提案。

2-10. I‐10.JAPAN BOOTHコンセプト/JAPAN BOOTH 全体イメージ

2-11. Ⅱ.「theMICAM」JAPANBOOTH実施ポート<9月展>

2-12. Ⅱ‐1.出展社募集/募集要項

2-13. Ⅱ‐1.出展社募集/選定委員会

2-14. Ⅱ‐2.出展社説明会/出展社説明会の実施

2-15. Ⅱ‐3.事前PR/ホームページ

2-16. Ⅱ‐3.事前PR/バイヤーへの来場案内プロモート メール配信

2-17. Ⅱ‐3.事前PR

2-18. Ⅱ‐4.MICAM JAPAN BOOTH概要/来場者数について

2-19. Ⅱ‐5.バイヤー誘引とセールスサポート/theMicam オフィシャル オンラインカタログ

2-20. Ⅱ‐6.テーマコーナー

「足入れの良い革靴プロジェクト」のように、靴作りの精緻さ、機能、独自のテクノロジーは、日本製革製履物の優れた特徴である。

㈱ドリーム・ジーピーの協力のもと、三次元足型計測の技術を用いて、来場者の足型を計測し、そのデータに基づき職人が革靴を作る工程を見せる「足型測定エリア」と「実演エリア」を設置。

■足型計測会社 ㈱ドリーム・ジーピー
3次元足型自動計測器により足の計測データを元にしたシステムの構築、提案、商品展開等、様々なソリューションを行うJust My Shoes事業や、足と靴のフィッティング専門店を運営するMy Foot Station事業、歩行分析や施
術を通して、障害予防や様々な人の健康問題をサポートする121SSC事業など、足に関わる事業を展開する。

2-21. Ⅱ‐6.テーマコーナー/足型計測コーナー実演内容
皮革産業

2-22. Ⅱ‐6.テーマコーナー/革靴づくり実演内容
皮革産業

2-23. Ⅱ‐7.会場配布物/パンフレット①

2-24. Ⅱ‐7.会場配布物/パンフレット②

2-25. Ⅱ‐7.会場配布物/シュークリーム(アンケート回答者向け)

2-26. Ⅱ‐7.会場配布物/プレスリリース(英)

2-27. Ⅱ‐7.会場配布物/オフィシャルガイドブック

2-28. Ⅱ‐8.会場レイアウト

2-29. Ⅱ‐8.会場レイアウト/Hall 7(COSMOPOLITAN)

2-30. Ⅱ‐9.スケジュール

2-31. Ⅱ‐10.記録写真 開催概要/会場全体

2-32. Ⅱ‐11.記録写真 ブースイメージ/ブース全体

2-33. Ⅱ‐11.記録写真 ブースイメージ/テーマコーナー

2-34. Ⅱ‐11.記録写真 各社展示イメージ/什器、展示イメージ①

2-35. Ⅱ‐11.記録写真 各社展示イメージ/什器、展示イメージ②

2-36. Ⅱ‐14.アンケート/ブース来場者へのアンケート実施

◆ブース来場者へのアンケートによる総評/アンケート総数156件
・技術力とデザイン性について高いイメージを持っている。
・価格競争力については、良い・普通とイメージを持っている。
・ビジネス相手としては、約29.5%が非常に良いまたは良いと魅力を感じている。
・ジャパンブース訪問回数は、2回・5回以上で36%となっている。
・ジャパンブースは、通りがかりの訪問が多い。
・JAPAN BOOTH HPを見ての訪問者が、前回の2.4%から6%に上昇した。
・日本製履物の取り扱い意向は、85%であった。
・今後の製品情報などの案内意向は、78%であった。