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銀行再編は、日本経済の重要なテーマです。財閥解体、バブル崩壊、金融ビックバン、不良債権問題で統廃合が実施されてきました。
近年は、地銀の再編問題が注目されています。収益環境が悪化している地方銀行の再編を後押しするため、地銀再編策の新制度が作られました。店舗やシステムの固定費削減を推進するための地銀同士の経営統合が、予想されます。
2016年の日本銀行の「マイナス金利政策」は、銀行の「利ざや」を減少させました。その結果、収益環境が悪化したのです。また収益構造だけでなく、人口減少に伴う地方経済の低迷や投資の手控えも追い打ちをかけています。
本記事では、そんな銀行の再編の歴史のポイントを解説します。
① 戦後の大蔵省主導の金融行政とは
② 護送船団方式とは
③ 転機になった合併転換法
④ メガバンクの誕生
Contents
1. 銀行再編の背景
日本の企業の歴史の中で、大きなテーマの筆頭が「銀行の再編」です。ここでは、そのポイントを解説します。
1-1. 護送船団方式とは
第二次世界大戦後の日本の金融行政は、大蔵省(現財務省)が各種規制によって金融システムの安定性を維持していました。これが、「護送船団方式」といわれるものです。
「役人のいうことを忠実に守り、逆らわない」というこのスタイルは、戦後の経済復興を推進する過程で、一定の効果がありました。1929年に世界恐慌、1931年には昭和恐慌が発生し、金融機関の倒産は大きな信用不安と社会的混乱を招く恐れがあったからです。
1-2. 銀行再編の転機になった合併転換法
護送船団方式によって金融機関は効率的な経営ができなかったため、政府は1968年合併転換法を制定しました。
合併転換法は、金融機関同士が容易に業務提携や合併ができるようにしたものです。その結果、都市銀行同士の合併や、地域金融機関同士の業務提携や合併が実現しました。
2. メガバンクの誕生
ここでは、メガバンクの誕生の変遷のポイントを解説します。
2-1. 三菱UFJフィナンシャル・グループ
三菱UFJ銀行を傘下に置く、三菱グループの金融持ち株会社です。約190兆円の資産規模があり、世界最大級の金融グループです。モルガン・スタンレーの筆頭株主です。
2-1-1. 1996年、東京三菱銀行が誕生
三菱銀行、東京銀行、三菱信託銀行、日本信託銀行、三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行が合併して、東京三菱銀行が誕生しました。
2-1-2. 2006年、三菱UFJ銀行が誕生
三菱銀行の流れを汲む銀行群と、東海銀行の流れを汲む銀行群が合併し、三菱UFJ銀行が誕生しました。
2-2. 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)
三井住友銀行を傘下に置くSMBCグループの金融持株会社です。旧住友銀行時代より、外資金融機関のゴールドマン・サックスと関係が深いのが特徴です。
2-2-1. 1990年、太陽神戸三井銀行誕生
三井銀行と太陽神戸銀行が合併し、太陽神戸三井銀行誕生が誕生しました。
2-2-2. 1992年、さくら銀行誕生
太陽神戸三井銀行がさくら銀行に行名変更しました(※3年以内に新行名にすることが決まっていた)。
2-2-3. 2001年、三井住友銀行誕生
三井銀行と住友銀行が合併し、三井住友銀行誕生が誕生しました。
2-3. みずほフィナンシャルグループ
総資産・預金量・時価総額で、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループに次ぐ日本第3位の金融グループです。
2-3-1. 2000年、みずほホールディングス誕生
第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行、安田信託銀行が合併し、みずほホールディングスが誕生しました。
2-4. りそなホールディングス
2-4-1. 1991年、協和埼玉銀行誕生
協和銀行と埼玉銀行が合併し、協和埼玉銀行が誕生しました。
2-4-2. 1992年、あさひ銀行に改名
協和埼玉銀行が、あさひ銀行に改名しました。
2-4-3. 2003年、りそなホールディングス誕生
大和銀行ホールディングスとあさひ銀行が合併し、りそなホールディングスが誕生。実質、国有化されました。
2-5. 新生銀行
2-5-1. 1998年、日本長期信用銀行が経営破綻・一時国有化
1998年10月、日本長期信用銀行は倒産し、金融再生法により、初めて一時国有化された。
2-5-2. 1999年、リップルウッド・ホールディングスに売却
リップルウッド・ホールディングス率いる米国の投資組合に売却されました。
2-5-3. 2004年、長期信用銀行から普通銀行に転換
金融機関の合併及び転換に関する法律に基づき、長期信用銀行から普通銀行に転換しました。
2-6. あおぞら銀行
あおぞら銀行の前身である日本債券信用銀行は、1957年4月、旧朝鮮銀行の残余財産を基に日本不動産銀行として設立されました。日本列島改造論後の不動産不況で多額の不良債権を生み、バブル崩壊時にはノンバンクや不動産向け融資が経営破綻につながりました。
2-6-1. 1998年、日本債券信用銀行が管理下に
1998年、日本債券信用銀行が経営破綻し、特別公的管理銀行として預金保険機構の管理下に置かれました。
2-6-2. 2000年、投資ファンドへ売却
ソフトバンクグループ、オリックス、東京海上火災保険が組成した投資ファンドに売却されました。
2-6-3. 2006年、普通銀行に
4月1日、普通銀行に転換し、現在の体制になりました。
3. まとめ
銀行再編は、日本の経済史の中でも、かなりホットなトピックスです。
優秀な人材がこぞって入社し、日本経済を支えてきた功績は非常に大きなものがあります。
ただ経済がグローバル化し、IT技術が進歩する現代において、変化に対応しきれていない部分が出てきているのも事実です。
時代は変われど、“経済の血液”としての金融の重要性は変わりません。
有志業務から投資への変換や、働き方の改革など、日本経済の保守本流である銀行の変革は、日本経済の未来がかかっているといっても過言ではありません。