水ビジネスは、その市場規模が2025年には約87兆円になると予想されています。その理由としては、世界的な水不足があります。人口の増加だけでなく、産業用水の需要増加、水源の汚染等、様々な要因が挙げられています。
その事業領域としては、上下水道の設備インフラや、海水の淡水化プラントがあります。また工業用水や工業下水設備、再利用水といったものも扱います。
日本の水市場は、可能性に満ちています。具体的には、「人口1億以上」「漏水率全国平均7%」「未払い率0.1%以下」で、非常に質が高い市場です。そのため、海外の水ビジネス企業が熱い視線を注いでいます。
また日本の水ビジネス企業も高い技術力を誇っており、有力な産業分野の一つです。そこで本記事では、水のビジネスについて掘り下げて解説します。
Contents
- 1. 水ビジネスとは
- 2. 水ビジネスの企業とは
- 3. 水のビジネスに関する企画書
- 3-1. 最近の水ビジネス市場と主要プレイヤーの動向
- 3-2. 本日の内容
- 3-3. 水ビジネス市場の動向
- 3-4. 対象範囲
- 3-5. 水ビジネス市場の構造
- 3-6. 水ビジネス市場の規模
- 3-7. 水ビジネス市場の規模予測
- 3-8. 水ビジネス市場の規模まとめ
- 3-9. 産業用水関連ビジネスの市場規模
- 3-10. 海外の市場動向/各地域の水ビジネス
- 3-11. 海外の市場動向/都市の発展段階と水インフラ需要の関係
- 3-12. 海外の市場動向/都市の発展段階と水インフラ需要の関係
- 3-13. 主要プレーヤーの動向
- 3-14. 水ビジネスにおける主要プレーヤーの市場占有率
- 3-15. 主要プレーヤー動向①
- 3-16. 主要プレーヤー動向②
- 3-17. 水メジャーの業績推移
- 3-18. 水ビジネスを取り巻くプレーヤーの関係性に影響を与える事業環境の変化
- 3-19. 事業環境の変化:水メジャーのシェア低下
- 3-20. 事業環境の変化:①水メジャーの撤退事例
- 3-21. 事業環境の変化:②商社の事業運営への参画拡大
- 3-22. 事業環境の変化:③自治体の協力によるインフラ輸出の基盤形成
- 3-23. 事業環境の変化:④素材メーカーのバリューチェーン拡大
- 3-24. 主要事業者の動向:まとめ①
- 3-25. 主要事業者の動向:まとめ②
- 3-26. 成長市場の水ビジネス市場の動向①東アジア
- 3-27. ①東アジア:上下水道の状況
- 3-28. ①東アジア:上下水道市場規模
- 3-29. ①東アジア:水政策・PPPに関する方針
- 3-30. ①東アジア:インドネシアにおける事業機会
- 4. 水ビジネス関連のおススメ解説YouTube動画紹介
- 5. まとめ
1. 水ビジネスとは
1-1. 地球上にある水資源とは
石油と同様、水も地球上の限りある資源です。水に対する需要は、世界人口が90億人を超えるとされる2050年には、2.6倍に増えるという試算もあるぐらいです。
現在、地球上の水の約97.5%は海水です。つまり、淡水はわずか2.5%しかありません。しかも、地下水ではなく地上にあってすぐ使える水資源は、全体の約0.01%です。その限られた資源を有効活用していく必要があります。そこに、水のビジネスチャンスが生まれます。
1-2. 水資源に関連する産業とは
水に関連する産業には、「水源開発」「工業用水」「再利用」「上水道」「下水道処理」「淡水化」などがあります。またこれらの産業には、総合商社、水道コンサルティング会社、水処理プラントメーカーなどが関わっています。
特に、農業、工業、水力発電は、水のニーズが高い分野です。近年は水道管の破損の確率や交換時期の算出にAIが活用されており、今後もこの分野におけるデジタル技術の活用が期待されています。
2. 水ビジネスの企業とは
2-1. 世界の3大水メジャーとは
石油と同様、水ビジネスにもメジャーが存在します。世界の3大水メジャーといわれているのが、「ヴェオリア・エンバイロメント」「スエズ・エンバイロメント」「テムズ・ウォーター・ユーティリティーズ」です。
2-1. 水ビジネス事業 売上高ランキング
水ビジネス企業のランキング上位5社です。日立製作所以外は、全て総合商社です。
順位 | 社名 | 取り組み内容 |
1位 | 三菱商事 | チリ銅鉱山内での水再利用、米国ナッツ事業地下水涵養、カタール海水淡水化他 |
2位 | 三井物産 | カタールの発電造水、チリ銅鉱山海水淡水化、上下水インフラ、シェールガス水利用改善他 |
3位 | 伊藤忠商事 | 豪州ヴィクトリア州の海水淡水化、オマーン海水淡水化、サウジアラビア海水淡水化他 |
4位 | 日立製作所 | AIを活用した上下水道、ITを活かした治水・利水分野、水門監視制御、セキュリティ他 |
5位 | 丸紅 | 中東発電造水事業、チリでの造水・送水事業、フィリピンでのコンセッション事業他 |
2-2. 水処理プラントメーカー
水処理プラントとは、水を使用目的に合う水質にするために、処理を行う施設です。具体的な使用目的としては、「生活」「工業」「農業」「発電」などがあります。
また水処理としては、「下水処理」「工場排水処理」「海水淡水化」「工業用純粋処理」などがあります。以下に、水処理ビジネスを展開する有名な水処理プラントメーカーと、その取り組み内容についてまとめました。
社名 | 取り組み内容 |
日立プラントサービス | 浄水場稼働監視、遠隔監視システム、水処理施設、産業排水処理設備他 |
丸島アクアシステム | ポンプ場、沈殿池汚泥搔寄機、増補幹線立抗ゲート、処理場沈砂池設備他 |
タクマ | 階段炉下水汚泥焼却発電システム、上向流移床型砂ろ過装置他 |
日本濾水機工業 | 製薬用水処理設備プラント、調製設備プラント、高機能濾過装置他 |
壽化工機株式会社 | 純水装置、除砂装置、ろ過・除鉄装置、膜処理装置、排水処理装置他 |
3. 水のビジネスに関する企画書
今回ご紹介する企画書は、日本総合研究所の『最近の水ビジネス市場と主要プレイヤーの動向』です。
日本総合研究所は、三井住友系のシステムインテグレーターです。またコンサルティングや、国内海外の調査、新事業創出を展開しています。
3-1. 最近の水ビジネス市場と主要プレイヤーの動向
3-2. 本日の内容
① 水ビジネス市場の動向
② 主要プレイヤーの動向
③ 成長市場の水ビジネス市場の動向
・東アジア
・南米
③ まとめに代えて
3-3. 水ビジネス市場の動向
3-4. 対象範囲
① 上下水道関連ビジネス→※本調査の対象(事業運営、管網敷設、プラント建設)
② 産業用水関連ビジネス
③ 農業用水関連ビジネス
④ ミネラルウォーター
⑤ 家庭用水機器関連
3-5. 水ビジネス市場の構造
① 上下水道関連ビジネスは、事業運営、管網布設、プラント建設の3つに大別される
② 2007年から2013年の市場変化を市場規模の増分(金額)及び年成長率
・事業運営が12.6兆円増(9.1%)
・管網敷設が2.0兆円(3.3%/年)
・プラント建設が3.2兆円増(8.6%/年)
3-6. 水ビジネス市場の規模
① 水ビジネスの市場は、50~60兆円程度
・上水道関連/28.3兆円
・下水道関連/22.1兆円
・産業用水関連/5.3兆円
② 2007年からの年平均成長率
・上下水道関連:7.6%/年
・産業用水関連:4.5%/年
3-7. 水ビジネス市場の規模予測
① 管理運営費
・2005年:50兆円→2025年:100兆円
② 水管理事業
・2011年:59.2兆円→2015年:74.5兆円
③ 水関連事業
・2013年:55.7兆円→2018年:61.8兆円
④水関連設備の改善に必要な年間投資額
・2010年:1,900億円→2030年:累計4兆円→2050年:累計20兆円
3-8. 水ビジネス市場の規模まとめ
3-9. 産業用水関連ビジネスの市場規模
3-10. 海外の市場動向/各地域の水ビジネス
3-11. 海外の市場動向/都市の発展段階と水インフラ需要の関係
3-12. 海外の市場動向/都市の発展段階と水インフラ需要の関係
3-13. 主要プレーヤーの動向
3-14. 水ビジネスにおける主要プレーヤーの市場占有率
3-15. 主要プレーヤー動向①
3-16. 主要プレーヤー動向②
3-17. 水メジャーの業績推移
3-18. 水ビジネスを取り巻くプレーヤーの関係性に影響を与える事業環境の変化
3-19. 事業環境の変化:水メジャーのシェア低下
3-20. 事業環境の変化:①水メジャーの撤退事例
3-21. 事業環境の変化:②商社の事業運営への参画拡大
3-22. 事業環境の変化:③自治体の協力によるインフラ輸出の基盤形成
3-23. 事業環境の変化:④素材メーカーのバリューチェーン拡大
3-24. 主要事業者の動向:まとめ①
3-25. 主要事業者の動向:まとめ②
3-26. 成長市場の水ビジネス市場の動向①東アジア
3-27. ①東アジア:上下水道の状況
3-28. ①東アジア:上下水道市場規模
3-29. ①東アジア:水政策・PPPに関する方針
3-30. ①東アジア:インドネシアにおける事業機会
4. 水ビジネス関連のおススメ解説YouTube動画紹介
ここでは、水ビジネスを理解する上でおススメのYouTube動画をご紹介します。
4-1. カンボジアを救った日本の水処理技術
日本の水処理技術のレベルは非常に高く、世界的にも貢献しています。
この『【衝撃】カンボジアを救った!日本が水処理技術がもはや神レベル!』では、日本の水質改善技術がカンボジアに役立つ模様が紹介されています。
4-2. 7億人の命を救う!日本の水技術「逆浸透膜」とは
逆浸透膜とは、英語で「Reverse Osmosis Membrane」と表現し、POと略されます。POフィルターは、1960年代にアメリカで海水を淡水に変えるために開発されました。
『【衝撃】7億人の命を救う!日本の「逆浸透膜」がもはや神レベル!』では、日本の「逆浸透膜(RO膜)」技術がわかりやすく解説されています。
4-3. 水を巡る戦争!2040年、日本は水に苦しむ?
未来の日本は、「世界で最も水不足に苦しむ国」の一つになるかもしれないと懸念が広がっています。
『【水をめぐる戦争】2040年、世界一「水不足」に苦しむのは日本!?』では、深刻化する水不足の問題について解説してくれています。
5. まとめ
世界の水ビジネス市場は、人口増加や発展途上国の産業発展を受け拡大しています。
例えば日本企業の海外展開の場合、2010年度から2019年度でほぼ倍増しています。新興市場では、地方の上下水道インフラ整備の需要が拡大しています。
また欧米の先進的市場では、先進技術や更新需要、DXなどの需要が広がっています。
今後も日本が誇る高い技術のニーズは、さらに高まることが予想されます。