イベント企画書とは、いつ、どこで、誰が、何のために、何のイベントをやるのかを記した企画書です。新商品や新サービスの認知度を高めたり、新商品開発のテストマーケティングなど、様々な目的があります。
そんなイベントニーズが発生した時、イベント企画書が必要になります。イベント終了後には反省会を実施し、その内容を議事録として記録しておくと今後の業務改善にも役立ちます。
本記事では、完成度の高いイベント企画書をどうやれば作成できるのか、ポイントを解説します。
Contents
1. イベント企画書とは
1-1. 押さえるべき6W2Hとは
イベント企画書には、イベントの6W2Hを盛り込むと骨格が明確になります。以下に、解説します。
1-1-1. Why/なぜイベントを開催するのか
イベント実施の動機や背景事情、ビジネス上のどんな目的を達成するために開催するのかを説明します。
1-1-2. Who/誰がイベントを主催するのか
イベントの主催者(企業or個人)は誰なのか、また誰が関係者なのかを説明します。企業の場合、資本金や事業内容、企業ホームページのURLなどを記した企業概要を入れます。
1-1-3. Whom/誰に向けてイベントを開催するのか
イベントのターゲット像、もしくはペルソナを入れます。またマーケット規模なども入れると、イベントの売上イメージもつきやすくなります。
1-1-4. What/何をイベントでやるのか
ここでは、以下の2点をおさえるとイベントの趣旨が明確になります。
① イベント当日のプログラム/時間軸と出演者や出し物の内容
② イベント後の参加者の行動予測/会員登録、物品購入、SNS上での拡散効果予測など
1-1-5. When/いつイベントを開催するのか
イベントの開催日時を入れます。
1-1-6. Where/どこでイベントを開催するのか
イベントの開催場所を入れます。
1-1-7. How/どのようにイベントを開催するのか
ここでは、集客策を入れるとイベントスキームが明確になります。Web集客、メディアキャンペーン他を記します。
1-1-8. How much/どれだけイベントに予算をかけるのか
イベントの支出&収入項目を入れます。収入は予測値を入れます。
1-2. イベント全体スキームを明確にする
イベント企画書を作成するためには、イベントの全体スキームを理解しておくことが必須です。
1-2-1. イベントの演出運営
スタッフィング、照明や音響機材手配、事故等の保険手配、運用マニュアル作成他
1-2-2. イベントの装飾運営
会場交渉&確保、レイアウト設計、パース制作、設計施工
1-2-3. イベントの制作設計
サンプル制作、実物制作、予算見積り他
1-2-4. 実施後の検証
コスト算出、収集データ分析、レポート作成他
1-3. ターゲットを明確にする
自社の商品やサービスを販売する時、想定する購入層のことをターゲットといいます。どんな販促活動も、まずは詳細なターゲット像を設定しなければ効果的なプロモーションは実現できません。イベント企画も同様です。
消費者のニーズも多様化しており、購買プロセスも日々変化しています。そういった市場環境を理解し、自社の商品サービスのリアルなターゲット設定を行う必要があります。
ターゲット設定には、大きく3つのポイントがあります。
① ターゲットの属性/性別、年齢、学歴、在住エリア、職業、年収、家族構成など
② ターゲットの価値観/「仕事が大好き」「遊びが大好き」「地元志向」「海外志向」など
③ ターゲットの望み、夢、悩み/「痩せたい」「肌が綺麗になりたい」「副業をしたい」など
ターゲット設定で役に立つのが、ペルソナです。ペルソナは、マーケティング用語の一つです。
ターゲットを設定する時、性別や年齢、居住地、ライフスタイル、好きなテレビ番組などを設定します。ペルソナを実施するメリットには、以下のようなものが挙げられます。
1-3-1. スタッフ全員で共通認識を共有できる
ペルソナの作業を経ることで、“自分達のイベントは、誰に向かって提供するのか”という骨格がはっきりします。
例えば自分が40代の男性の場合でも、ペルソナが10代の女性の場合、シミュレーションが容易になります。こうしたスタンスが、顧客満足につながる改善策や斬新なアイディアのベースになるのです。
1-3-2. プロジェクトの生産性が上がる
ペルソナは、ある意味議論のテーマ設定に似ているところがあります。ペルソナを設定しないと、施策を決定する議論にどうしてもブレが出ます。
人間は誰しも過去の原体験をベースに判断する傾向があり、方向性が異なるイベントが出る可能性があります。ペルソナを設定することで、企画や施策の方向性が決まり、プロジェクトを効率的に進められます。
1-3-3. 個々のモチベーションが上がる
某プロジェクトでペルソナを細かく設定した時、次の会議で各自がターゲット情報を集めてきた事がありました。類似イベントやターゲット向けの媒体情報など、イベント企画に必要不可欠な貴重な情報が集まったのです。
このようにペルソナ設定は、イベントに関わる一人一人のモチベーションが上がる効果があります。
<具体的なペルソナイメージ>
① 属性/33歳、女性、独身、大学卒、東京在住、大手人材会社OL、年収500万
② 価値観/仕事が好き。結婚して子供ができても、仕事と生活は両立させたい
③ 悩み/会社での仕事は充実しているが、最近彼氏と別れてプライベートは充実していない
1-4. イベントのGOALを全員で共有する
動員規模も重要ですが、イベントもビジネス活動である以上、費用対効果を無視できません。成功イベント企画とは、主催企業にとって投資コストに見合う効果が獲得できるイベントです。
成果を判断する「経営指標の設定」と「計測」に役立つのが、「SMART」という手法です。
【目標達成のためのフレームワーク/SMART】
① Specific/具体性はあるか?
② Measurable/測定はできるか?
③ Achievable/達成できるか?
④ Related/経営目標につながるか?
⑤ Time-Bound/時間的制約があるか?
どんなビジネス活動でもそうですが、最近は全てをデータ化、数字化、可視化します。代表的なのはアマゾンで、例えば従業員の生産性は全て数値化され、昇給・昇進に反映されます。
イベント企画においても、来場者の人数だけでなく、いかにクライアントの経営に貢献できるかという指標の設定と貢献度合いの数値化は、重要なポイントです。
2. イベント企画書に入れるべき要素
2-1. 表紙
イベント企画書を手渡された時、その人が興味を示すかどうかの大きな分かれ目が表紙です。
表紙に顕在ニーズに対する解決イメージが持てるインパクトがあるかどうかは、とても重要です。通常経営者は忙しいため、短時間で企画の趣旨とメリットを把握しようとします。
イベント企画書を手渡された瞬間、もしくは添付ファイルを開いた瞬間が勝負です。
2-2. イベントの企画概要
このページで、大まかな全体概要を伝えます。「イベントの必要性」「具体的メリット」「メリットが生まれる根拠のポイント」等、を明記します。
イベントの5W1H項目を列挙し、大まかな全体像はこのページで把握できるようにします。類似成功事例など、クライアントが気になる情報があることも明記します。
2-3. 課題の設定
イベント企画は、顧客が抱える課題に対するソリューションの一種です。逆に言えば、顧客の課題を深く把握せずに有益なイベント企画は成り立ちません。
顧客の課題をイベントというリアルな対人接点の場でどう解決するのか、そのメリットイメージを説明します。
2-4. イベントのテーマ、コンセプト
ここでは、イベントのテーマやコンセプトを説明します。クライアントが抱えている課題に対して、効果的な解決策として訴求することが目的です。
商品の認知度が向上したり、売上が向上するイメージが持てるのが効果的です。
2-5. コンテンツ
イベント企画のテーマに沿った、具体的な当日プログラムを明記します。設定したテーマの訴求力の最大化が図られている進行プログラムになるように設計します。
2-6. プロモーション計画
イベント企画のプロモーション計画は、クライアントの興味関心度の最も高い項目です。
ターゲット層に、プロモーションがフォーカスされているかを確認したいからです。その結果、多数のファン層を獲得できるイメージが持てるかどうかです。
ここに類似成功事例や過去の実績が付記されていると、イベント実施の確度がかなり高まります。代表的な集客手法を、以下に記します。
2-6-1. イベント告知専用Webサイト
イベント専門の告知用Webサイトを立ち上げる
2-6-2. ランディングページ
リスティング広告等、インターネット広告から飛ぶ専用ページであるランディングページを用意する
2-6-3. SEO
イベントのターゲットが検索しそうなキーワードで上位表示し、集客効果を狙う
2-6-4. リスティング広告
すぐ効果の出るリスティング広告は、直前の集客追い込みには効果的です
2-6-5. YouTube
過去のイベント模様の動画映像を数多くアップして、自社イベント告知サイトに誘導します
2-6-6. フェイスブック
専用フェイスブックを立ち上げ、過去のイベント写真を公開し、潜在ファンを獲得します
2-6-7. ツイッター
イベント前には専用ツイッターでどんどん情報発信し、集客効果を狙う
2-6-8. インスタグラム
過去のイベント画像をUPし、また広告も展開します
2-7. 集客クリエイティブ
集客計画の一環として、集客クリエイティブも非常に重要です。ターゲット層にどんな表現でアプローチするのか。その効果をどれぐらい見込んでいるのかは、クライアントの重大関心事です。
特にアプローチ手法に従来にはない新しさがあると、テストマーケティングとしての価値も出てきます。
2-8. 収支一覧
イベントには、様々なコストがかかります。全ての細かい項目ごとの支出費を事前に明記することは、クライアントの安心感にもつながります。
理想は支出対収入の収支構造になっていて、そこに認知度アップなどのブランド価値の向上を明記しておくとイベント実施のメリット感が出ます。
2-9. スケジュール
イベント実施までのアクションプランの項目出しと、実施時期が一目でわかるようにしておきます。特に関係者への根回しや行政関係への申請などは早期に済ませ、イベント時期がずれるような可能性のある項目は早めに済ませます。
一番重要なのは、集客計画と応募者の状況に合わせて、プランB、プランCをどの時期に判断するのか、追加予算はいくらなのかといった追加施策の項目です。
3. イベント企画書に関するおススメ動画紹介
イベント企画書に関する人気のYouTube動画を、以下に紹介します。
3-1. 良い企画書に変える裏技
『【社内暴露】ダメな企画書を一瞬で良い企画書に変える裏ワザ生公開!』では、以下のようにやってはいけないポイントを解説してくれています。
① 読む気がしない小さい文字
② 改行されていない
③ 太文字や色変えが一切ない
④ 余分な情報が多い
⑤ 具体性に乏しい
3-2. 大絶賛されたプレゼン動画
『大絶賛された感動のプレゼンテーション「e-Education」 』の模様を解説してくれています。
4. まとめ
イベント企画書は、現在クライアントが抱えている課題を解決できるイメージが重要です。
現在はWebマーケティングが相当進化しているので、リアルな場所への動員は潜在顧客への強い動機付けが必要になっています。
① イベントのメリットとデメリットを明示する
② イベントの全体スキームを把握する
③ ターゲット設定とターゲット訴求集客プロモーションが重要
④ イベントのGOALを関わる人間全てで共有する
⑤ 効果測定及び反省点を記録として残しておく