イベント企画書とは?安心して任せられる運営イメージが重要です

イベント企画書は、最近ニーズが高まっています。ようやくコロナが沈静化し、BtoBビジネスの集客イベントも活性化しています。

しかし、イベント企画書が急に必要になった場合、混乱する場合があります。イベントは期日が決まっており、かつ関わる関係者も多いプロジェクトです。そういった関係者全員が、わかりやすく情報共有できることが求められます。

社内に過去の似たイベントの企画書データがあればいいですが、一から作成する場合は大変かも知れません。そこで本記事では、完成度の高いイベント企画書をどうやれば作成できるのか、ポイントを解説します。

 

1. イベント企画書とは

イベント メリット

1-1. 押さえるべき6W2Hとは

イベント企画書には、以下のようにイベントの6W2Hを盛り込むと骨格が明確になります。What(何を)の部分は、当日のプログラムや出し物の内容を入れることでイメージしやすくなります。

特にHow(どのように)は、とても重要です。出展者と参加者をどのようにして集めるのかを明記します。また企画によっては、イベントのGOALを設定する場合もあります。具体的には、「参加者数」「マッチング数」「参加者満足度」などです。

1-2. イベントの6W2H例

例えば、イベントを6W2Hに落とし込むとどうなるでしょうか。その例を以下に記します。実際のイベント企画書でも、このように落とし込んだ一覧を入れるとわかりやすくなります。

1-1-1. 食品物産展イベント事例

項目 テーマ 入れる内容例
Why  なぜイベントを開催するのか 例:「アグリフードイベント」/467の食品事業者と海外バイヤーのビジネスマッチング
Who  誰がイベントを開催するのか 例:日本政策金融公庫
Whom  誰にイベントを開催するのか 例:全国の食品事業者と日本の農産物の調達に意欲のあるバイヤー
What  何をイベントでやるのか 例:「グローカル酒類パビリオン」「輸出特別フロア」他
When  いつイベントでやるのか 例:2023年8月23日、24日
Where  どこでイベントでやるのか 例:東京ビックサイト
How  どのようにやるのか 例:農林水産省、国税庁、JETROと連携
How Much いくらの予算でやるのか 例:予算金額を明記

 

1-1-2. 木材物産展イベント事例

項目 テーマ 入れる内容
Why  なぜイベントを開催するのか 例:「WOODコレクション」/木材需要の喚起と木材利用の拡大を図る
Who  誰がイベントを開催するのか 例:WOODコレクション実行委員会(東京都産業労働局農林水産部森林課内)
Whom  誰にイベントを開催するのか 例:木材のバイヤー
What  何をイベントでやるのか 例:多摩産材や全国の地域材を活用した木材製品の展示会
When  いつイベントでやるのか 例:2023年8月18日~8月20日
Where  どこでイベントでやるのか 例:東京ビックサイト
How  どのようにやるのか 例:40都道府県の木材事業者が出店
How Much いくらの予算でやるのか 例:予算金額を明記

 

2. イベント企画書の目的

イベント企画書

イベント企画書の目的には、大きく2種類あります。ここでは、その2種類について解説します。

2-1. 提案先の判断を促す

まだイベントプロジェクトを受注していない場合、提案先に判断を促すためにイベント企画書を作成し、プレゼンします。通常は、主催側からイベント概要が開示され、コンペといわれる形で広告代理店など数社が提案し、受注企業が決定します。

提案のポイントとしては、ブースデザインや集客手法、ビジネスマッチングの仕掛けなどがあります。それらの提案内容が主催者側で精査され、受注企業が決定します。

ここで重要なのは、主催者側がどのポイントを重視しているかを理解し、魅力的な提案をすることです。近年はSNSを活用したプロモーションや、IT技術を活用したマッチングの仕組み等が導入される例が増えています。予算をかけて実施する上で、コストパフォーマンスが数字で可視化されることが求められつつあります。

2-2. 関係者と情報の共有を図る

既にイベントプロジェクトを受注し、これから進行する上で関係者間で情報共有を図るためにも、イベント企画書は作成されます。この場合のポイントを、以下に記します。

2-2-1. イベントの演出運営について

どんなスタッフィングでいくのか、また照明や音響機材はどんなものでいくのかを記します。また今の時代はコンプライアンスも重要です。事故が起こった場合の保険手配もしておきましょう。

2-2-2. イベントの装飾運営について

会場のレイアウト設計、施工設計を入れます。また展示ブース等のパース画がある場合は、それも入れます。

2-2-3. 実施後の検証

意外と忘れがちなのが、イベント実施後の検証です。かかったコストの一覧や、展示事業主の参加者数、一般参加者数、アンケート調査結果などを入れます。

 

3. イベント企画書に入れる要素

イベント企画書に入れる要素

3-1. 表紙

イベント企画書を手渡された時、その人が興味を示すかどうかの大きな分かれ目が表紙です。

表紙に顕在ニーズに対する解決イメージが持てるインパクトがあるかどうかは、とても重要です。通常経営者は忙しいため、短時間で企画の趣旨とメリットを把握しようとします。

イベント企画書を手渡された瞬間、もしくは添付ファイルを開いた瞬間が勝負です。

3-2. イベントの企画概要

このページで、大まかな全体概要を伝えます。「イベントの必要性」「具体的メリット」「メリットが生まれる根拠のポイント」等、を明記します。

イベントの5W1H項目を列挙し、大まかな全体像はこのページで把握できるようにします。類似成功事例など、クライアントが気になる情報があることも明記します。

3-3. 課題の設定

イベント企画は、顧客が抱える課題に対するソリューションの一種です。逆に言えば、顧客の課題を深く把握せずに有益なイベント企画は成り立ちません。

顧客の課題をイベントというリアルな対人接点の場でどう解決するのか、そのメリットイメージを説明します。

3-4. イベントのテーマ、コンセプト

ここでは、イベントのテーマやコンセプトを説明します。クライアントが抱えている課題に対して、効果的な解決策として訴求することが目的です。

商品の認知度が向上したり、売上が向上するイメージが持てるのが効果的です。

3-5. コンテンツ

イベント企画のテーマに沿った、具体的な当日プログラムを明記します。設定したテーマの訴求力の最大化が図られている進行プログラムになるように設計します。

3-6. プロモーション計画

イベント企画のプロモーション計画は、クライアントの興味関心度の最も高い項目です。

ターゲット層に、プロモーションがフォーカスされているかを確認したいからです。その結果、多数のファン層を獲得できるイメージが持てるかどうかです。

ここに類似成功事例や過去の実績が付記されていると、イベント実施の確度がかなり高まります。代表的な集客手法を、以下に記します。

3-6-1. イベント告知専用Webサイト

イベント専門の告知用Webサイトを立ち上げる

3-6-2. ランディングページ

リスティング広告等、インターネット広告から飛ぶ専用ページであるランディングページを用意する

3-6-3. SEO

イベントのターゲットが検索しそうなキーワードで上位表示し、集客効果を狙う

3-6-4. リスティング広告

すぐ効果の出るリスティング広告は、直前の集客追い込みには効果的です

3-6-5. YouTube

過去のイベント模様の動画映像を数多くアップして、自社イベント告知サイトに誘導します

3-6-6. フェイスブック

専用フェイスブックを立ち上げ、過去のイベント写真を公開し、潜在ファンを獲得します

3-6-7. ツイッター

イベント前には専用ツイッターでどんどん情報発信し、集客効果を狙う

3-6-8. インスタグラム

過去のイベント画像をUPし、また広告も展開します

3-7. 集客クリエイティブ

集客計画の一環として、集客クリエイティブも非常に重要です。ターゲット層にどんな表現でアプローチするのか。その効果をどれぐらい見込んでいるのかは、クライアントの重大関心事です。

特にアプローチ手法に従来にはない新しさがあると、テストマーケティングとしての価値も出てきます。

3-8. 収支一覧

イベントには、様々なコストがかかります。全ての細かい項目ごとの支出費を事前に明記することは、クライアントの安心感にもつながります。

理想は支出対収入の収支構造になっていて、そこに認知度アップなどのブランド価値の向上を明記しておくとイベント実施のメリット感が出ます。

3-9. スケジュール

イベント実施までのアクションプランの項目出しと、実施時期が一目でわかるようにしておきます。特に関係者への根回しや行政関係への申請などは早期に済ませ、イベント時期がずれるような可能性のある項目は早めに済ませます。

一番重要なのは、集客計画と応募者の状況に合わせて、プランB、プランCをどの時期に判断するのか、追加予算はいくらなのかといった追加施策の項目です。

 

4. 集客プロモーションについて

イベント集客プロモーション

集客プロモーションは、イベントの採算に直結する重要な要素です。大規模なイベントの場合、集客プロモーションは専門の会社が担当することもあります。

4-1. ターゲット像を明確にする

自社の商品やサービスを販売する時、想定する購入層のことをターゲットといいます。どんな販促活動も、まずは詳細なターゲット像を設定しなければ効果的なプロモーションは実現できません。イベント企画も同様です。

消費者のニーズも多様化しており、購買プロセスも日々変化しています。そういった市場環境を理解し、自社の商品サービスのリアルなターゲット設定を行う必要があります。

ターゲット設定には、大きく3つのポイントがあります。

① ターゲットの属性/性別、年齢、学歴、在住エリア、職業、年収、家族構成など
② ターゲットの価値観/「仕事が大好き」「遊びが大好き」「地元志向」「海外志向」など
③ ターゲットの望み、夢、悩み/「痩せたい」「肌が綺麗になりたい」「副業をしたい」など

ターゲット設定で役に立つのが、ペルソナです。ペルソナは、マーケティング用語の一つです。

ターゲットを設定する時、性別や年齢、居住地、ライフスタイル、好きなテレビ番組などを設定します。ペルソナを実施するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

4-1-1. スタッフ全員で共通認識を共有できる

ペルソナの作業を経ることで、“自分達のイベントは、誰に向かって提供するのか”という骨格がはっきりします。

例えば自分が40代の男性の場合でも、ペルソナが10代の女性の場合、シミュレーションが容易になります。こうしたスタンスが、顧客満足につながる改善策や斬新なアイディアのベースになるのです。

4-1-2. プロジェクトの生産性が上がる

ペルソナは、ある意味議論のテーマ設定に似ているところがあります。ペルソナを設定しないと、施策を決定する議論にどうしてもブレが出ます。

人間は誰しも過去の原体験をベースに判断する傾向があり、方向性が異なるイベントが出る可能性があります。ペルソナを設定することで、企画や施策の方向性が決まり、プロジェクトを効率的に進められます。

4-1-3. 個々のモチベーションが上がる

某プロジェクトでペルソナを細かく設定した時、次の会議で各自がターゲット情報を集めてきた事がありました。類似イベントやターゲット向けの媒体情報など、イベント企画に必要不可欠な貴重な情報が集まったのです。

このようにペルソナ設定は、イベントに関わる一人一人のモチベーションが上がる効果があります。

◆具体的なペルソナイメージ
① 属性/33歳、女性、独身、大学卒、東京在住、大手人材会社OL、年収500万
② 価値観/仕事が好き。結婚して子供ができても、仕事と生活は両立させたい
③ 悩み/会社での仕事は充実しているが、最近彼氏と別れてプライベートは充実していない

4-2. イベントのGOALを全員で共有する

動員規模も重要ですが、イベントもビジネス活動である以上、費用対効果を無視できません。成功イベント企画とは、主催企業にとって投資コストに見合う効果が獲得できるイベントです。

成果を判断する「経営指標の設定」と「計測」に役立つのが、「SMART」という手法です。

◆目標達成のためのフレームワーク/SMART
① Specific/具体性はあるか?
② Measurable/測定はできるか?
③ Achievable/達成できるか?
④ Related/経営目標につながるか?
⑤ Time-Bound/時間的制約があるか?

どんなビジネス活動でもそうですが、最近は全てをデータ化、数字化、可視化します。代表的なのはアマゾンで、例えば従業員の生産性は全て数値化され、昇給・昇進に反映されます。

イベント企画においても、来場者の人数だけでなく、いかにクライアントの経営に貢献できるかという指標の設定と貢献度合いの数値化は、重要なポイントです。

 

5. まとめ

イベント企画書は、安心してイベント運営を任せられるイメージを持ってもらえることが重要です。運営体制ページに、経験豊富な企業やスタッフを明記すると、クライアントも安心します。

また集客プロモーションも担当する場合、CMなどの他、リスティング広告やTwitterやインスタグラムなどのSNS、ランディングページなどが必要です。デジタルマーケティングは媒体効果が細かく把握できるので、次回にも活かせるメリットもあります。

クライアントがそのイベントを評価する指標が何かを把握しておくと、効率的な設計ができます。代表的なイベントの評価指標としては、参加者数、出店事業者のマッチング数、満足度などがあります。

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