BCG作成!ソーシャルビジネスを活用した産業振興とは?

今回は学生に人気の外資コンサル、ボストンコンサルティンググループが作成した企画書です。

企業数で日本の産業の90%を占めるサービス業の課題抽出、地方が抱える空き家率やソーシャルビジネスの取り組みに関する課題など、相当鋭い指摘が満載です。

読めば読むほど日本の前途に対して暗い気持ちになってしまうことは否めませんが(笑)、課題を明確にして解決策を検討するように前に進むしかないのも事実です。是非、地方の若い経営者や議員の方に熟読して頂きたいと思います。

 

【ソーシャルビジネスとは】
ソーシャルビジネスとは?定義・一般企業との違い・課題・事例を徹底解説
起業して社会問題を解決する!|ソーシャルビジネスとは?
ソーシャルビジネスとは―コトバンク

【ソーシャルビジネスの事例】
ソーシャルビジネス紹介一覧-株式会社ボーダレス・ジャパン
ソーシャルビジネス事例集―JNEWS
ソーシャルビジネス55選~全国事例紹介~|中国地域CB/SB推進協議会
ソーシャルビジネス事例集―日本政策金融公庫

 

【目次】
1. 今回の企画書の特徴
2.『平成30年度商取引・サービス環境の適性化に係る事業』から学ぶ
3.表紙
4.目次
5.サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ
6.ソーシャルビジネスを活⽤した産業振興の⽅向性

 

1. 今回の企画書の特徴

今回の企画書は、サービス産業及び地方自治が直面する課題とソーシャルビジネスの活用に関する資料です。ポイントとなるキーワードを、以下に記します。

・日本において、売上高ベースではサービス産業が全産業の75%を占める
・従業員ベースで、サービス業が全産業の80%
・飲食業、小売業、医療業のシェアが大きい
・企業数ベースでは、サービス業は全産業の90%を占め、飲食業、建設業、小売業が多い
・サービス業は、トップラインの収縮、コスト高止まり、業界基盤の持続可能性低下の3つの課題がある
・サービス業は、一人あたりの売上、利益率が低い
・飲食業、卸売業を中心に、IT導入も進んでいない
・求職者が集まらず、有効求人倍率は高止まり
・65歳以上の高齢者は既に27%を構成し、2025年には30%を超える
・東京圏に新規の就業者が集中
・若者の農業離れが深刻化
・全国の空き家は過去30年で約2.5倍になり、地方では深刻な状況
・非正規雇用率は過去10年で年率1.6%増加し2000万人を超え、56%が年収200万未満
・道路や橋などインフラ老朽化が急激に進行、2033年には整備費用が5.5兆円突破見込み
・ほとんど自治体はサービスを活用していない
・自治体による関与がなく、民間事業主が独自に取り組んでいる例もほとんど存在しない
・規制による制約よりも、情報・人材・資金の3つの不足が問題
・インテリジェントアウトソーシング、ソーシャルデジタルアナリティクス、マイクロマッチング、安心遠隔サポートの4分野で議論することが効果的

 

2. 『平成30年度商取引・サービス環境の適性化に係る事業/ソーシャルビジネスに係る市場調査: 最終報告書』から学ぶ

では、ボストンコンサルティンググループが作成した企画書を以下具体的に見ていきましょう。

3. 表紙

3. 目次

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ

2. 地⽅⾃治が直⾯する社会課題とソーシャルビジネス活⽤の現状把握
(1) 地⽅⾃治が直⾯する社会課題
(2) 課題解決に向けた⾃治体によるソーシャルビジネス活⽤事例

3. ソーシャルビジネスを活⽤した産業振興の⽅向性
(1) ⾃治体視点での活⽤余地と問題/制約
(2) 産業視点での活⽤余地と問題/制約

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ1

売上⾼ベースでは第三次産業(サービス業)が全産業の75%を占め、サービス業の中では卸売業、⼩売業、建設業が⼤きい

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ2

従業者数ベースでは第三次産業(サービス業)が全産業の80%以上を占め、サービス業の中では飲⾷業、⼩売業、医療業が⼤きい

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ3

従業者数ベースでは第三次産業(サービス業)が全産業の80%以上を占め、サービス業の中では飲⾷業、⼩売業、医療業が⼤きい

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ4

企業数ベースでは第三次産業(サービス業)が全産業の90%近くを占め、サービス業の中では飲⾷業、建設業、⼩売業が⼤きい

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ5

現状、サービス産業はトップラインの収縮、コストの⾼⽌まり、業界基盤の持続可能性の低下という3つの課題があるが、その背景には6つの事象が存在

◆サービス産業が抱える課題
【収益性/生産性の低下】
◇トップラインの収縮
①⼈⼝減少に伴う市場(消費者数)の縮⼩
・若い世代が保険加⼊の必要性を感じておらず、加⼊者減少がトレンド (保険業)
・消費者がデリバリー/On the Go(中⾷)に流れており外⾷産業⾃体が縮⼩ (飲⾷業)
②過当競争に伴う単価の下げ⽌まり
・⼩規模事業者が値下げ競争で顧客を取り合う状況(⽣活サービス業)
・プレイヤーが多く、かつ購買⼒の向上も限定的なため構造的に単価を上げにくい(飲⾷業)
③新しい付加価値の創出不⾜
・リアルならではの付加価値を明確化できず、ECに対抗できていない(⼩売業)
・テクノロジーにより調達/リスク管理の必要性低下。代わりの提供価値が不透明(卸売業)
【コストの高止まり】
④従来からの⾮効率な事業運営/サービス提供の仕組みが引き続き存在
・注⽂タッチパネル化、⽀払いQRコード化等スト削減余地は多いが⼤⼿中⼼(飲⾷業)
・百貨店等では未だにFAXでの注⽂や紙での在庫管理も普通 (⼩売業)
⑤従業員解雇が困難なことによる⼈員の最適化不⾜
・効率化/デジタル化が進めば⼀般職の仕事はなくなるが、⼤量の⼀般職のスキル転換は容易ではなく、経営陣としても⼆の⾜ (⾦融業、保険業)
【業界基盤の持続可能性の低下】
⑥⼀部業種における⼈⼿不⾜の深刻化
・⻑時間労働が常態化しており給料も低い。徒弟制度のような⽂化も残っており特に若⼿には働きづらい (飲⾷業)

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ6

サービス業各業界は⼀⼈あたり売上が低く、かつ、⼀部は過去4年間の増加率も低迷

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ7

業種別営業利益率は⼀部の業種を除いて全般的に低い傾向

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ8

飲⾷業、卸売業の中⼩企業を中⼼に、IT導⼊も進んでいない

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ9

⑫宿泊業や⑥飲⾷業、⑧⽣活関連娯楽業を中⼼に、給与⽔準と労働条件が⾮サービス産業に⽐べて悪い

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ10

結果、求職者が集まらずに有効求⼈倍率は⾼⽌まり

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ11

参考)業種により濃淡が存在も、卸売、⼩売、飲⾷、⽣活関連業で課題は深刻な状況

1. サービス産業全体の⽅向性を踏まえたソーシャルビジネスの位置づけ12

前述の課題解消に向けては、⼤きくは4つの取り組みの⽅向性が存在

2. 地⽅⾃治が直⾯する社会課題とソーシャルビジネス活⽤の現状把握1

2. 地⽅⾃治が直⾯する社会課題とソーシャルビジネス活⽤の現状把握2

(1) 地⽅⾃治が直⾯する社会課題

2. 地⽅⾃治が直⾯する社会課題とソーシャルビジネス活⽤の現状把握3

グローバルメガトレンドを起点に、公共サービスへの影響が⼤きいメガトレンドにフォーカス

前述のメニューの活⽤/展開が進まない背景には、規制に基づく制約よりも、情報・⼈材・資⾦にの3つの不⾜が⼤きな問題

ソーシャルビジネス活⽤余地︓問題/制約の類型

産業界での推進を考える際には、4つの筋に括り直して議論することが効果的

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤余地

参考)窓⼝業務を中⼼にアウトソーシングの事例は増加中。今後の拡⼤に向けては、複数⾃治体から受託⼜は複数業務を括り直すケイパビリティを有した⾃治体へのアクセスが必要

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤の筋︓ インテリジェントアウトソーシング

参考)ソーシャルデジタルアナリティクスの活⽤による⾏政コスト削減効果は実証済み。今後拡⼤していくには、情報の安全性の担保が必要

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤の筋︓ ソーシャルデジタルアナリティクス

参考)マイクロマッチングサービスは⼈材不⾜の緩和/公共サービスの代替⼿段として機能。拡⼤には制度設計の磨き込みおよびユーザー認知度/利⽤率向上による収益化が必要

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤の筋︓ マイクロマッチング

参考)遠隔サポートは直接的なサービス提供に⽐べて⾃治体負担を抑制可能。拡⼤に向けては、横展開を⾏うための熱⼼な⾃治体の情報⼊⼿や分野の拡⼤が必要

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤の筋︓ 安⼼遠隔サポート

参考) ソーシャルデジタルアナリティクスおよび マイクロマッチングは⽣産性向上に向けた打ち⼿としても効果が⾒込まれる

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤の筋︓⽣産性向上11分野との関係性

⺠間事業者にとっても、規制に基づく制約に加え、情報・⼈材・資⾦の3つの不⾜が、取り組みが本格化しない原因。加えて、適切なサイズへの事業の切り出しができていない

産業振興に向けたソーシャルビジネス活⽤の筋︓制約・問題の類型