不動産市場とは?マンション高騰や外国人購入規制はどうなる?

首都圏のマンションの高騰が急速に進む不動産市場。その動向と背景が、注目されています。例えば商品には常に売り手と買い手がおり、価格はその需給によって決定されます。

では現在の不動産市場の買い手は、誰なのか。またその目的にはどうようなものがあるのか。それらを解き明かすことで、現在の日本の不動産市場のメカニズムが浮かび上がってきます。

本記事では、日本の不動産市場について、重要ポイントを解説します。

1. 日本の不動産市場の現状

1-1. 資産規模は約2,956兆円

国土交通省の資料によれば、日本の不動産の資産額は、2021年時点で約2,956兆円です。例えば、不動産投資市場の中心的役割を果たしているのがREIT(リート)です。REITは投資者から資金を集め、その収益を投資者に分配する商品です。一案的に「不動産投資信託」と呼ばれ、主な収益には「賃貸料収入」や「不動産売買益」があります。約60銘柄が東京証券取引所に上場されており、対象不動産の総額は約22.2兆円です。

例えば三井住友トラスト・アセットマネジメントが運営するJ-REIT・リサーチ・オープンがあります。取引所で売買できるので流動性が高く、換金性に優れ、比較的安定した配当が期待できます。

J-REIT・リサーチ・オープン

J-REIT・リサーチ・オープンの基準価格と分配金価格(※MINKABU資料より)

1-2. 不動産の取引価格情報

国土交通省では、全国の不動産の取引価格の調査を実施しています。その情報については特定できないように配慮された上で、「不動産情報ライブラリ」で公表されています。

不動産情報ライブラリ

不動産情報ライブラリのWebサイトTOPページ

1-3. 金利の低さと不動産投資の関係

不動産投資の収益は、家賃収入から経費を差し引いた額になります。例えば費用の中には、ローンの返済費用に含まれます。そのため、低金利になるほど不動産収益は高くなります。

ただし、現在は金利上昇リスクがあります。金利が上昇すると、傾向としてローンの基準金利が上がります。その結果、借入コストが上がり、不動産購入が減少します。

2. 日本の不動産市場の地価の傾向

不動産市場

2-1. 3大都市圏の住宅地地価の傾向

2025年9月16日、2025年都道府県地価調査の概要が国土交通省より発表されました。これは各都道府県が行った地価調査に基づいたものです。具体的には、7月1日を価格時点とし、全国2万1441地点の基準地の地価を調査します。そのため、発表される地価は基準地価とも呼ばれます。結果は、住宅地や商業地など、全てにおいて昨年を上回る上昇幅となりました。コロナ後の2022年以降は、4年連続してプラスになっています。

3大都市圏(東京・大阪・名古屋)においては、東京と大阪が住宅地や商業地、工業地いずれも上昇幅が拡大しています。その背景には、物価上昇が続き、株式市場の好調さ、人流の活発さがあります。ただ谷古谷圏だけは上昇の勢いがやや止まってきています。その理由としては、人口流出が続き、インバウンド需要の少なさもあると考えられています。

2-2. 賃貸市場も上昇傾向

住宅賃貸においては、2024年の共同住宅賃料で上昇している都市の数が増加しています。例えば全国158都市のうち、賃料上昇した都市数は70都市にのぼります(※日本不動産研究所「全国賃料統計」より)

次にオフィス賃貸においては、コロナ時は空室率が上がっていましたが、近年は賃料底入れの傾向が見られます。特に東京のオフィス賃貸市場は、空室率の低下傾向が顕著です。例えば東京オフィス賃貸市場を観測してきたJLLによると、丸の内や新宿、渋谷の賃料が大幅に上昇しています。具体的には、丸の内で12.8%、新宿や渋谷で12.3%増加しています。

また物流施設や賃貸倉庫の市場動向は、首都圏は東京ベイエリアなどの内側では上昇していますが、圏央道エリアは下落しています。近畿圏については過去最大級の供給にも関わらず、需要も高水準です。特に郊外立地の需要が顕著です。また中部圏についても、好立地の新築物件がテナントの需要を喚起しています。

3. 地価や賃料と建築コストの関係

3-1. プロジェクトの見直しや凍結が続出

近年では、建設費の高騰が原因で中野サンプラザの建て替え計画の見直しが話題になりました。また新宿駅西南口の再開発についても、資材費や人件費の上昇で建築を請け負うゼネコンが見つからない状態が話題になっています。これは、コスト上昇分を施工業者が負担する商慣習が原因といわれています。このように、建築プロジェクトの見直しや遅延、凍結、断念などの計画変更は、全国各地で発生しています。

3-2. ウッドショックとウクライナ戦争

ウクライナ戦争

工事費の高騰の原因としては、建築資材や労務費の上昇があります。例えば建築資材については、2021年のウッドショック、2022年のウクライナ戦争の影響があります。

ウッドショックについては、2021年春頃から米国の住宅供給の急増で輸入木材の需要が高まりました。その結果、木材価格が高騰して混乱が生じた状況のことです。またウクライナ戦争の影響で、原材料が世界的に不足する状況が発生しました。特に日本はロシア産の製材の輸入量が多いという背景があります。製材は天井の下地材に使われる需要が高く、総輸入量の20%をロシアが占めています。

4. 投資環境としての日本の不動産市場

投資環境としての日本の不動産市場

4-1. 社会の安定性と外国人購入の開放性

日本の政治・経済は、世界的に見て非常に安定しています。また契約や権利関係が明確であり、外国人でも安全に不動産を購入できます。日本では、現在外国人による不動産購入に大きな制限や規制はありません。土地や建物は、日本人と同じ手続きで購入することができます。これは世界的にも珍しく、現状においては日本の不動産市場は、開放的な市場といえます。

4-2. 地域ごとの賃貸需要の傾向

日本の都市部は、交通インフラが非常に発達しています。例えば鉄道だけでなくバス網も充実しており、通勤に便利な駅近の賃貸物件が人気です。また若年層や単身者が増加しているエリアでは、ワンルームマンションなどの需要が高まる傾向があります。

一方地方では、病院や工場などの施設周辺が賃貸需要が高まる傾向があります。また車移動が多いため、駐車場の確保もニーズを捉える重要なポイントです。

4-3. 利回りと安定性のバランスが良い

期待利回りは、エリアの特徴が出ます。具体的には東京のワンルームマンション投資では、4〜6%前後の比較的安定した利回りが得やすいといわれています。またオフィス施設や商業施設なども投資家の人気は高く、安定的な収益が見込めると評価されています。

一方大阪や名古屋は、オフィスやロジスティクス分野への投資熱が高いのが特徴です。また福岡はコンパクトな都市構造を背景に、賃貸住宅が投資対象として人気です。

5. 日本のマンションの高騰について

日本のマンション高騰

5-1. マンション高騰の現状

日本の不動産市場におけるマンション価格の高騰が続いています。新築のマンション平均価格は7,820万円にまで上がり、この価格は2007年の平均価格の約2倍です。例えば港区の三田や浜松町、渋谷、千代田区の富士見は、坪単価が1,000万円を超えています。また戸あたり2億円以上の新築マンションも続々供給されています。

5-2. 外国人による投資目的の購入

不動産価格の高騰の大きな理由の一つが、外国人による投資目的の購入といわれています。特に東京はその傾向が強く、背景にはニューヨークやロンドンよりも価格が割安なことが挙げられます。居住目的ではなく投資目的の場合、売り出し価格を上回る価格ですぐに中古市場に出回ることがあります。これらは新築と中古が同時に販売されている状態で、業者が買い占めて転売しているものとみられています。

5-3. 政府の対策について

国土交通省は、現在東京都を中心に新築マンション購入の実態調査を実施しています。2025年11月14日には、より実態の把握を進めるため対象を関西にも拡大したことがわかりました。ポイントは、登記情報を数年分活用し、購入の所在地が日本か海外を判別する点です。それらを通じ、居住目的か否かの割合や増減の推移を把握します。また所有者の移転時期から、転売の実態も調査します。これらの調査を踏まえ、諸外国の不動産購入規制も参考にし、方針をまとめる予定です。

6. まとめ

日本の不動産市場の買い手は、国内外の富裕層や国内外の投資家、パワーカップルなどといわれています。また従来は相続税対策目的の高齢富裕層も大きなマーケットでした。そして人口減少が急速に進む日本では、主要駅前のコンパクト現象が起こっています。

しかし、マンション節税は実勢価格と評価額に1.67倍以上にある場合、評価額✕乖離率✕0.6で評価額を計算するようになりました。また先述の外国人によるマンション購入実態に基づく方針や、金利の上昇、タワマン規制や空室税など、変動要素がかりあるのも事実です。

日本銀行のREIT買い入れの終了も、今後の動きを占うトピックスとして注目されています。累計で6,823憶円に上ったJREITの買付けは、2024年3月19日に停止しました。今後日本銀行の利上げが実施された場合、投資物件を一旦イグジットしようとする動きが加速する可能性もあります。

 

◆<コンテンツ作成代行の相談はお気軽に!>◆
「自社サイトの集客力を強化したい」「Googleで上位表示を実現したい」。そんなお問い合わせを頂いています。まずはGoogle Meetで軽く雑談でもしてみませんか。いろんなアイディアの交換から新しいビジネスの種が生まれるかも知れません。ご質問・ご相談はこちらから宜しく御願いします!

カテゴリー
日本コンサル企画書