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半導体は、電気的性質を持った物質で、導体と絶縁体の半分の機能を備えています。普段は電気を通しませんが、ある条件を加えると電気を通すという特徴があります。その物質の仕組みを使って作られた電子部品が、半導体です。
一般的には、半導体の集積回路(IC)を「半導体」と呼ばれることもあります。コロナ禍で巣篭り需要が増え、スマホから車まで使われている半導体不足が問題になっています。
本記事では、半導体の種類や歴史、不足の原因、メーカー事情まで、詳しく解説します。
Contents
1. 半導体について
まず最初に、ここでは半導体そのものについて解説します。
1-1. 半導体とは
半導体とは、「電気を通す物質(導体)」と「電気を通さない物質(絶縁体)」の中間の機能を備えた物質です。主な機能は、電流を制御することです。
半導体はシリコンの結晶の結合が強く、電流はほとんど流れません。そこで不純物をごく少量入れることで、電流を流したり、流さなかったり任意で制御できます。
「導体」の代表的なものとして、銀や銅、アルミニウムといった金属があります。「絶縁体」の代表的なものとしては、ゴムやガラス、セラミックなどがあります。半導体には、シリコンやゲルマニウム、ガリウムヒ素などが含まれています。
また半導体は、トランジスタやダイオードなどのディスクリート半導体部品や、トランジスタなどから成る回路を集積したIC(集積回路)を総称したものを指すこともあります。
1-2. 半導体に電気が通る仕組み
半導体は文字通り、半分が導体のような特性を持っています。もともと「人間が電気を流したり止めたりできるデバイスはできないか」という発想から、半導体は誕生しました。
純粋な半導体はほぼ絶縁体に近く、電気は少ししか流れません。その半導体の代表的な物質は、シリコンです。シリコンは低温では電気が流れませんが、温度が上昇する(ジュール熱)と自由電子の移動が活性化し、電気が流れやすくなるのです。
1-3. 半導体の材料シリコン
パソコンやテレビ、スマートフォンなどの私達の身近な電気製品に幅広く使われている半導体。その半導体に最も多く使われている素材が、シリコン(元素記号=Si)です。
日本語でケイ素と呼ばれるシリコンは、地球上で酸素の次に多い元素です。地球地殻質量の74.32%は、酸素(46.60%)とケイ素(27.72%)で占められています。その多くは土や岩石に存在しますが、天然水や樹木、植物にも含まれています。
自然のシリコンは、酸素やアルミニウム、マグネシウムなどと結びついています。そのため、シリコン元素を抽出するために製錬が必要になります。IC(集積回路)などの半導体に使用されるシリコンは、「99.999999999%」(イレブン・ナイン)という「超高純度の単結晶構造」が要求されます。
そのため、抽出後に様々な製造工程を経て、精製されます。シリコンの精錬には電力が大量に必要になるため、海外から輸入しています。
1-4. トランジスタとは
■ 集積回路(IC)はトランジスタの集合体です。現在は、1チップに1億個以上のトランジスタが搭載されている製品もあります。
トランジスタは、電気の流れをコントロールする部品です。多くの電子回路で使用されており、電気信号を大きくする「増幅機能」と電気を流したり止めたりする「スイッチング機能」があります。
1940年代末に実用化され、それまで主役だった真空管にとってかわりました。ほとんどの集積回路(IC)は、トランジスタの集合体です。今では一つのチップに1億個以上のトランジスタが搭載されている製品もあります。
2. 半導体の種類
半導体には様々なものがありますが、ここでは「集積度」で分類して解説します。集積度とは、半導体集積回路1個当たりに組み込まれた素子の数です。
2-1. IC(Integrated Circuits:半導体集積回路)
ICとは、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの電子部品の繋がりを、1枚の基板(チップ)の上に実装したものです。「回路」とは、電子部品同士のつながりのことです。
論理回路(論理演算を行う回路)など、回路構成には共通のものが多くあります。集積回路は、既に基盤上に必要な回路が実装されている電子部品で、デジタル信号の処理や記憶が可能です。
有名なものとしては、「マイクロプロセッサ―」や「メモリ」、「センサー」などがあります。それらは、パソコンやスマートフォンなどの心臓部品として使用されています。
2-2. LSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)
LSIは、プリント基板上の複数のICを、一つのチップに集約したものです。スマートフォンやPC、ゲーム機等で、高性能化とコスト削減を目的に使われています。
3. 半導体の歴史
3-1. 1947年アメリカでトランジスタが誕生
1947年、アメリカのベル研究所の理論物理学者ジョン・バーディーンと実験物理学者ウォルター・ブラッテンが、高純度のゲルマニウム単結晶に、近づけた2本の針の片方に電流を流した時、もう片方にも電流が流れる現象を発見しました。これが、世界初のトランジスタの発見です。
1948年には、ウィリアム・ショックレーが接合型トランジスタを発明。そして1950年には、テキサス・インスツルメンツ社が世界初のシリコン型トランジスタを製品化しました。
3-2. 1952年アメリカでICが誕生
1952年5月7日、IC(集積回路)のアイディアがワシントンD.C.公表されました。公表したのは、イギリス国防省で働いていたレーダー科学者ジェフリー・ダマ-です。
日本では、1955年東京通信工業(現ソニー)が日本初のトランジスタを商品化しました。1958年、アメリカのウェスティングハウスが、集積回路の概念を発表しました。
そして同年12月、電気試験所がマルチチップ構造の集積回路の試作に成功しました。
3-3. 集積回路の規模の拡大と機能の多様化
その後ICの集積化が進み、LSI(大規模集積回路)へ飛躍していきます。1980年代にはVLSI、1990年代にはULSIへと技術革新を遂げていきました。
2000年代には、システムLSIの生産が本格化しました。システムLSIとは、多くの機能を1個のチップ上に集積したものです。ICの高機能化、多機能化の範囲は広い分野に及び、“産業の米”としての半導体は、より重要性を増しています。
4. 半導体の作り方
半導体は、どのような製造工程で作られるのでしょうか。そのプロセスを解説します。
4-1. ウェーハを作成する
オーストラリアや中国から輸入した(シリコンゴット)を、ワイヤーソーで薄く切り、ウェーハを作成します。
4-2. ウェーハの洗浄
研磨パッドと研磨剤を使って、切り出されたシリコンウェーハの表面を、鏡のように磨きます。半導体製造では微細なゴミも許されず、超音波洗浄機が使われています。
4-3. パターンの焼き付け
磨かれたウェーハの表面に、液状の感光剤であるフォトレジストを塗ります。そして光を照射し、回路パターンを焼き付けます。
4-4. エッチング
フォトレジストで形成された回路パターンに沿って、酸化膜と薄膜を削り取っていきます。
4-5. 2回目の洗浄
残留しているフォトレジストを除去します。
4-6. ウェーハの検査
この段階では、数百個のICチップがウェーハに形成された状態です。そのICチップの一つ一つに針を接触させて、電気的に問題がないかを検査します。
4-7. ダイシング
ダイヤモンドブレードを使ってウェーハを切断し、一つ一つのICチップに分離させます。
4-8. ダイマウント
分離されたICチップを、リードフレームの乗せます。
4-9. ワイヤーボンディング
金属の枠(リードフレーム)にチップを固定し、金線で接続します。そうすることで、チップとの配線が可能になります。
4-10. モールディング
キズがつかないように、また衝撃から守るため、樹脂でパッケージします。
4-11. 半導体の完成
温度、電圧試験、電気的特性試験、外観構造検査など何重もの試験を実施し、不良品を取り除きます。
5. 半導体不足はなぜ起きたのか
電子部品に使われる半導体の不足が、あらゆる方面で影響を及ぼしています。パソコンやスマートフォン、ゲーム機といったデジタル家電から、自動車や産業用機械まで、半導体チップ不足により供給がひっ迫しています。
もともと半導体市場は、4年サイクルで好不況を繰り返す「シリコンサイクル」があるといわれています。ただマクロで見た場合、市場は右肩上がりの成長トレンドです。しかも昨今は、業界の市場予測を上回る成長ペースが加速しています。
半導体だけでなく、半導体を製造するための製造装置・材料の市場の需要予測も、上方修正が続いています。世界の半導体製造装置・材料メーカーの業界団体SEMIによると、2021年の半導体製造装置の市場予測は、初めて1,000億ドル(11.5兆円)を超えました。
そんな半導体がなぜこのような不足状態に陥ったのか、以下解説します。
5-1. 新たな半導体需要の急拡大
2019年12月31日、中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎の集団が発生しました。この新型コロナウイルスの影響で、世界中で従業員の感染による工場の操業停止や物流の停滞といった事態が発生しました。その結果、組み立て工場の半導体部品調達状況に混乱が生じました。
2020年3月前後から、コロナ禍によるテレワークの普及と巣篭り需要によって、パソコンなどに搭載されるパワーマネジメントIC(PMIC)が不足し始めました。
PMICはPower management integrated circuitの略で、電源制御をするために使われる集積回路です。DC-DCコンバーター、省電力機能、保護回路などが1チップ化されています。
また同時に自宅で過ごす時間が増えたことによるテレビ需要が増加し、ディスプレイドライバーIC(DDIC)も不足し始めました。液晶や有機ELなどのFPD(Flat Panel Display)の需要拡大が、駆動するディスプレイドライバーICの不足に繋がったのです。
2020年9月頃には自動車市場が回復し、マイクロコントローラー(MCU)が不足し始めました。マイコンとも呼ばれるマイクロコントローラーは、近年あらゆる電子機器や家電製品、自動車に搭載されています。調達不足に陥った自動車メーカーは、2021年に操業停止や減産に追い込まれました。その結果、3~4ヶ月分を持つようになったのです。
5-2. 供給体制のひっ迫
パワーマネジメントIC、ディスプレイドライバーIC、マイクロコントローラーといった半導体は、老朽化が進んでいる一世代前の半導体工場で製造されています。
そこに急増した注文が集中し、生産が追い付かない事態が発生しました。
5-3. 対中制裁などの政治的要因
2020年12月、アメリカ商務省は中国企業へ事実上の禁輸制裁を実施しました。アメリカの安全保障上、利益に反すると判断した企業リスト「エンティティ―・リスト」の企業が対象になっています。
その結果、台湾や韓国の半導体企業へオーダーが殺到し、半導体不足が更に加速しました。
6. テスラが半導体不足に陥らなかった理由
6-1. 自動車メーカーの大量キャンセルが遠因に
日本の自動車メーカーは、半導体不足により大幅な減産・生産遅れを強いられました。その大きな原因の一つに、旧態依然とした日本の自動車メーカーの部品購入と生産システムが挙げられます。
半導体は、シリコンウェーハの上に露光して作られます。この製造工程は、500近くあるといわれています。しかも製品として発注先に納品するのには、さらに1~2ヶ月の時間がかかります。しかも受注生産です。
そんな半導体を、日本の自動車メーカーはコロナの影響による販売減少の影響で、大量キャンセルしました。その結果、半導体の発注先が需要旺盛なスマートフォンやパソコンメーカーに代わったのです。しかもそれらの情報機器メーカーは、長期供給契約を結び、安定確保に努めています。
6-2. 東日本大震災から学んだトヨタ
この背景には、「ジャスト・イン・タイム」があります。在庫を抱えず、必要な時に必要量を調達する仕組みです。しかし非常時においては、この生産システムはボトルネックになるリスクがあります。
今回トヨタの被害が軽微だった理由は、東日本大震災の教訓から学んだからです。品不足に陥る可能性のある部品は一定量の在庫を確保し、かつ複数の発注先を確保しているからです。
6-3. 特注品のテスラが非常時は強みに
一方テスラは、2021年第3四半期(7−9月)で前年同期の約1.7倍となる過去最高の約24万台の販売を記録しました。また2022年度第1四半期(2022年1月~3月)の生産台数と納車台数は、前年同期比で70%近い伸び率になり、30万台を超えました。
自動車は、各メーカー仕様の半導体+ファームウェア(パソコンのOSのようなもの)のセットが必要です。このセット供給には、半導体メーカーへの大量発注が必要条件です。
ところがテスラは弱小自動車メーカーだったので、大量発注が不可能でした。そしてファームウェアを自社開発したのです。そして半導体を調達し、ファームウェアと組み合わせ、危機を回避できたのです。
7. パワー半導体とは
7-1. パワー半導体について
高い電圧や大きな電流を扱うことができるのが、パワー半導体の大きな特徴です。通常の半導体とは違う構造を持ち、高い電圧や大きな電流に対しても壊れません。
一般的には、定格電流1A以上の半導体デバイスがパワー半導体とされています。
7-2. パワー半導体の代表的なデバイス
代表的なデバイスとしては、以下の2種類があります。
7-2-1. パワーダイオード
以前は、周波数が50/60Hzの商用電源の100Vrms交流出力を整流する素子として使われていました。整流とは、電流を一方向に整えることです。その後、パワートランジスタのON/OFFとコイルによる電流の整流素子として使用されるようになりました。
7-2-2. パワートランジスタ
スイッチングや増幅を行います。以下に大別されます。
① サイリスタ
② パワーMOS FET(金属酸化膜半導体電界効果型トランジスタ)
③ IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)
7-3. パワー半導体の用途
私達の生活に密着しているパワー半導体は、様々な分野で使われています。一般的な電子機器で代表的なものとしては、スマートフォンやパソコン、テレビやエアコンなどです。
また大電力の分野では、電気自動車(EV)や電車の車両、産業機器、5Gの基地局、太陽光発電などの電力制御に使われています。
8. メタバース(仮想空間)とは
メタバースとは、「meta=超越した」と「universe=宇宙」を組み合わせた造語です。バーチャル空間の中で、様々な活動ができるようになる技術を指します。メタバースのポイントを、以下に記します。
8-1. メタバースとは
メタバースは、簡単にいうと「仮想空間」です。インターネット上の3次元の世界で、「アバター」という自分の分身を介して入ります。
メタバース空間は現実世界に限りなく近く、アバターを動かして遊んだり、ミーティングをしたりできます。VRはゴーグルのようなデバイスが必要ですが、メタバースはVR機器の有無に関係なく使えます。
8-2. メタバースの活用分野
メタバースの活用が期待される分野としては、「ゲーム」と「ビジネス」があります。例えば、任天堂の人気ゲーム「あつまれ動物の森」は、ゲームの中に世界中の人が集まり、自由に遊ぶことができます。ゲームの中で、アバターの着せ替えを楽しめるのも、大きな魅力です。
ビジネスにおいては、仮想空間上のバーチャルオフィスが期待されています。会議や交流会、プレゼンなどが可能なサービスも出てきています。
9. まとめ
半導体は「産業のコメ」といわれ、電子機器には欠かせない工業製品です。また戦闘機やミサイルといった軍事兵器にも使用され、国の防衛上、重要な戦略物資という側面もあります。日本はかつて世界の半導体シェアで大きなシェアを持っていましたが、そのポジションを喪失してしまいました。ただ半導体製造装置においては、まだ大きなシェアを持っています。
今後の半導体製造の世界では、アメリカや台湾とより強く連携しながら、製造を促進していくことが予想されています。その日本の半導体復活の象徴がラピダスです。ラピダスについては、『ラピダスとは?先端半導体の国産化を目指す製造業復活の象徴へ』で詳しく解説しています。ぜひ、参考にして下さい。
サプライチェーンが広く普及する中、産業競争力を維持するためには、良い製品を作るだけでなく、どこと組むかというスキームの重要性も増しています。