電通作成!市場規模1.2兆円!興味深い健康ビジネス調査企画書

健康は、全ての活動の基本です。世界的にも稀な長寿国日本は、健康意識も高く、健康食品ビジネスも活発です。テレビを見ても、CMやテレビショッピングの相当な割合が健康食品関連で占められています。

健康産業新聞によれば、2018年の健康食品市場は前年比1.7%増の1兆2,475億円でした。特定保健用食品の6,500億円を合わせると、その市場規模は1兆8,975億円にもなります。

代表的な健康食品は青汁でその市場規模は1,000億円、その他にもプロテイン、ゴボウ茶、モリンガ、ルイボス茶が伸びてきています。そんな健康ビジネスのマーケティングのヒント満載なのが、今回の電通作成の企画書です。

 

1. 今回の企画書の特徴

今回の企画書は、健康ビジネスのヒントたくさんが掲載されています。ポイントとなるキーワードを、以下に記します。

・BtoB 企業・職域内健康市場
・BtoG/B 自治体・地域健康市場
・BtoC 個人健康市場
・健康コミュニティ構築
・ヘルスケアビジネス創出
・具体的ニーズ・シーズ調査
・定量調査
・定性調査
・商品サービスの需要性評価

 

企画書デザイン

 

2. 『「健康投資/健康経営」の視点からの健康寿命延伸産業活性化に向けた方策調査事業報告書』から学ぶ

では、電通が作成した企画書を以下具体的に見ていきましょう。

3. 表紙

今回の調査事業の全体像
「3つの有望市場」を想定し「【需要者サイド】及び【供給者サイド】から検証する」というフレームのもとでA(1) A(2) B(1) B(2) の4つの調査を実施した。

◆3つの有望市場
【「組織・コミュニティ」健康市場】
①BtoB企業・職域内健康市場
企業団体の勤務者とその家族等を対象に、企業健保組合や企業人事部等が実施する健康施策に関わる市場
②BtoG/B自治体・地域健康市場
地域住民を対象に自治体が行う施策や、地域事業者の連携でソーシャルビジネス的に実施されている健康施策に関わる市場

【「個人」健康市場 】
BtoC個人健康市場
健康に関心がある生活者個人を対象に、企業がビジネスとして提供している商品やサービスに関わる健康市場

◆【健康産業の需要者】(生活者・企業)サイドからの検証
(A)超高齢社会における現役・次世代高齢者の潜在的消費ニーズ調査
(1)超高齢社会における予防・健康増進サービスの潜在的消費ニーズ調査
生活者対象定量・定性調査
報告書1:『超高齢化社会における健康ビジネス ポテンシャル調査)』
健康寿命延伸に寄与関わる6つの商品・サービスカテゴリーの生活者から見た需要性及び健康ビジネスにおける有望ターゲット層、また健康ビジネスで生活者の需要を喚起するためのポイント等をレポートした。

(A)超高齢者社会における健康寿命延伸産業の事業環境整備に関する調査
(2)企業等における健康投資ニーズ・実態調査
有識者・企業経営層(需要者)ヒアリング調査
報告書2:『経済界・アカデミア・文化人による健康寿命延伸に向けた提言』
様々な領域の第一線の有識者から、健康寿命延伸に向けた提言をヒアリングした。

◆【健康施策の提供者】(自治体)サイドからの検証
(B)超高齢者社会における健康寿命延伸産業の事業環境整備に関する調査
(2)ヘルスケア分野における自治体と民間サービスの連携可能性調査
自治体における実証実験をもとに知見化
報告書3:『~健康寿命延伸都市の構築に向けて~持続的な地域の健康コミュニティ構築に向けたプロセス』
自治体における「健康コミュニティ構築の方法論と課題」を、特定健診の受診勧奨をフックとした、行政と民間の連携の実証実験をもとにプロセス化した。

◆【健康産業の提供者】(企業)サイドからの提供
(B)超高齢者社会における健康寿命延伸産業の事業環境整備に関する調査
(1)ヘルスケアビジネス創出のためのマッチング手法の有効性調査
インターネット定量調査
報告書4:『「健康投資/健康経営」の視点からの健康寿命延伸産業活性化に向けた方策調査事業
健康寿命延伸産業分野において、各プレーヤー間でマッチングを促すための手法を検討するための具体的なニーズ・シーズの調査

定量調査概要

◆調査目的
生活者(現役・次世代高齢者)の健康に関する意識・生活行動、健康関連商品サービスや施策の利用参加意向、及び、生活者を健康行動にドライブするためのインセンティブ(内面的)や生活者に魅力的な商品サービス要素等を検証し、以下2点について考察するための基礎資料とする
1. 商品サービスの「需要性評価」
2. 生活者の需要を喚起するためのポイントの発見
◆調査方法
インターネット調査
◆調査地域
全国
◆標本抽出方法
インテージモニターより抽出
◆対象者条件
・40代~70代男女
※【職業/調査協力履歴による除外条件】 本人もしくは同居家族が次の職業に従事している場合は除外 医薬品・健康食品、医療・福祉(医師・薬剤師・看護師など)、マスコミ・広告・新聞・放送、市場調査
◆標本サイズ
計2,027(有効回収数ベース) 母集団の性・年代人口構成比に準拠して割付・回収(ウェイトバック無)
母集団として、2010年度実施の国勢調査をもとに、人口動態等を加味して2014年度時点に修正したデータを使用します

定性調査概要

◆調査目的
生活者(現役・次世代高齢者)の健康に関する意識・生活行動、健康関連商品サービスや施策の利用参加意向、及び、生活者を健康行動にドライブするためのインセンティブ(内面的)や生活者に魅力的な商品サービス要素等を検証する
◆調査方法
FGI(フォーカスグループインタビュー)
◆調査地域
京浜(東京・千葉・埼玉・神奈川)
◆対象者条件
・50~60代男女
・年収はミドル層(世帯年収600‐1200万未満<夫婦どちらかが満期定年後は最終年度の世帯年収>)
・対象者の選定においては、検査・指導/アプリ・コンテンツ/運動/食事/リラクゼーション・レジャーの各分野について、取り組みをおこなっている人。
※【職業/調査協力履歴による除外条件】 本人もしくは同居家族が次の職業に従事している場合は除外。 医薬品・健康食品、医療・福祉(医師・薬剤師・看護師など)、マスコミ・広告・新聞・放送、市場調査
◆グループ数
1グループ6名×2グループ(計12名)
①50~60代女性グループ
②50~60代男性グループ
※「健康増進・予防に取り組んでいる人」~「関心はあるもののまだ取り組んでいない人」や年代について、バランスよく確保する
◆リクルート方法
WEBリクルート
◆実査日程・会場
2014年12月15日(月)、会場:インテージ本社(秋葉原)2階南インタビュールーム

調査目的と定量調査、定性調査による分析イメージ

Ⅱ 調査結果

Ⅱ‐1 健康意識と健康維持・増進のための商品・サービスの需要性について

健康意識と健康維持・増進のための商品・サービスの需要性について
①健康は人生において何よりも大切であり、健康関心度は高い
「人生において健康は何よりも大切だと思う」に対して「そう思う」(58.2%)と「ややそう思う」(39.7%)と合わせると97.9%の人が肯定。「健康に対する関心」も高く、3人に1人の35%が「そう思う」と回答。年齢が高くなればなるほど割合は高くなる。その背景として病気や老化によって、家族(特に子供、孫)や友人間の良好な関係が崩れることへの不安や、現在の身体の衰えや遺伝的な疾病のリスク不安がある。また「 そう思う」と回答した割合は男性より女性のほうが10%以上高いのが特徴的。

②今後健康にかける金額の意識は、医療費現状維持、健康維持・増進のための商品・サービスは増加
今後健康のために一か月に支払ってもよい金額と、現在支払っている金額との差の平均は、「病院で支払う医療費」で13円、「市販の薬」は205円、「その他の健康維持、増進のための商品・サービス」は905円。

③健康関連商品・サービスの成長性の高い分野
6分野の健康関連商品・サービスにおいて、直近一年利用より今後利用したいものが10%増加している以下の項目は、今後の成長のポテンシャルがある分野と考えられる。

・検査、健康指導/特別な健診・人間ドック」「 遺伝子検査」「自宅でできる健康診断キット」「健康セミナー」
・健康アプリ、コンテンツ/「運動記録アプリ」「食事・栄養管理アプリ」「健康コミュニティ」「その他の健康管理アプリ」
・運動/「ヨガ・ピラティス・ストレッチ」
・健康に配慮した食品や食に対するサービス/「有機食品・自然食品」「健康に配慮した食品」「健康に配慮した外食サービス」
・リラクゼーション、レジャー/「温泉」「健康ランド・スパリゾート」「岩盤浴・ゲルマニウム温浴」「マッサージ・カイロプラクティック・整体」「アロマテラピー」「健康イベント」「ヘルスツーリズム」
・健康機器/「家庭用フィットネス機器」「睡眠計」「活動量計・歩数計」

④成長性の高い分野の特徴は「利便性」「効果」「+アルファ機能」
6分野の健康関連商品・サービスにおいて、直近一年利用より今後利用したいものが10%増加している項目は、今後の成長のポテンシャルがある分野と考えられる。また、これらのサービスは、現状主に使用しているサービスに、利便性、効果、リフレッシュといった機能(後述するがこれらの機能は健康サービス利用促進のポイント)を訴求しているサービスと考えられる。

⑤新サービス案の利用意向は全般的に高い
新サービスの利用意向は、「非常に利用したい(=TOP1)」は6コンセプトともに5%前後。「利用したい」をいれたTOP1+TOP2の合計ではほとんどのサービスが5割程度となっており、利用意向は高いと考えられる。健康関心度の高いターゲット層で受容性が高い新サービスは「街角や自宅で簡単に健康チェック」「健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー」

①健康は人生において何よりも大切であり、健康関心度は高い

人生において健康は何よりも大切だと思う」に対して「そう思う」(58.2%)と「ややそう思う」(39.7%)と合わせると97.9%の人が肯定。「健康に対する関心」も高く、3人に1人の35%が「そう思う」と回答。年齢が高くなればなるほど割合は高くなる。その背景として病気や老化によって、家族(特に子供、孫)や友人間の良好な関係が崩れることへの不安や、現在の身体の衰えや遺伝的な疾病のリスク不安がある。また「 そう思う」と回答した割合は男性より女性のほうが10%以上高いのが特徴的。

②今後健康にかける金額の意識は、医療費現状維持、健康維持・増進のための商品・サービスは増加

③健康関連商品・サービスの成長性の高いサービス

参考:健康関連商品・サービスの成長性の高いサービス(表)

④成長性の高い分野の特徴は「利便性」「効果」「+アルファ機能」

新サービス案の評価
以下の6つの新サービス案を提示し、受容性評価を行った。

◆街角や自宅で簡単に健康チェック
①駅や商店街などの便利な場所でいつでも②安価で気軽に受けられる「簡易健康診断」や、自分の血液や唾液を採取して郵送すると③遺伝子情報から自分の健康状態や体質、さらには④病気のリスクを教えてくれる「遺伝子検査キット」。⑤検査結果はメールやWEB上で確認でき、⑥専門家から食事や運動のアドバイスやサポートが受けられる。
◆効果体験を後押しするフィットネス
ダイエットや生活習慣病・介護予防など、①個人の体調や目標に対応したエクササイズプログラム。食事や運動指導をはじめとする②総合的なプログラムで効果を体感し、③医療機関への受診や薬による治療の軽減を目指す。
◆日々の健康活動をデータで管理
①手軽に身に着けられるウェアラブル端末で、歩数や移動距離、消費カロリーなど、日常的な活動量やその強度を②自動的に記録できる。③スマートフォンやパソコンにデータを蓄積して、分析することで④体調管理などに活かすことが可能。また、⑤仲間と共有することで⑥楽しみながら続けることができる。
◆健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー
①温泉や食事を活用した、②滞在型の健康増進プログラム。事前に看護師による検診を受診して、湯治等のプログラムに参加する。終了後の検診で、③効果やその後の注意点を確認できる。健康に配慮しつつ地元の食材を使った食事や森林ウォーキング・乗馬体験など、④楽しく運動できるメニューも用意されている。⑤参加した者同士のつながりも期待できる。
◆毎日の食事から健康に、栄養管理ウェブサイト
①健康診断結果や体重、日々の食事などのデータをもとに、カロリーの摂取量を②グラフなどで確認できたり、身体の状態に合わせた③個別の栄養指導が受けられる。また、減塩、低カロリーなど、④健康的なメニューを定期的に紹介してくれる。
◆美と健康のトータルコンセルジュサービス
①健康と美容の両立を目的として、②スキンケアやエクササイズ、健康的な食事などを個人別にプログラム。また、食事のマナー教室、身だしなみやおしゃれ教室、メイク教室などを通じて、③気持ちにハリを持たせたり、身体を動かして、心身ともに健康的で④内面から美しくなることを目指す。

⑤新サービス案の利用意向は全般的に高い

Ⅱ-2 健康維持・増進のための商品・サービスのターゲット層について

健康維持・増進のための商品・サービスのターゲット層について

①ターゲット層を探るため「健康関心度×年収」セグメントを作成
健康維持増進のための商品・サービスは今後も成長性が期待できるが、今後支払金額「0円」の割合も各年代で半数となっているため、性年齢とは別に潜在的利用のターゲット層を明らかにするため「健康関心度」と「世帯年収」で12のセグメントを作成した。

②新サービスの受容性において、健康関心度の高い層はサービス利用のポテンシャルはさらに高い
新サービスの利用意向は、「非常に利用したい(=TOP1)」は6コンセプトともに5%前後。「利用したい」をいれたTOP1+TOP2の合計ではほとんどのサービスが5割程度となっており、利用意向は高いと考えられる。健康関心度の高いターゲット層で受容性が高い新サービスは「街角や自宅で簡単に健康チェック」「健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー」「美と健康のトータルコンセルジュサービス」、これらのサービスは利用金額も高い。

③「健康関心度×年収」セグメントによるターゲット層は、健康関心度の高い層
世帯年収が800万円以上で、健康関心度が「高」のセグメントでは3013円健康関心度が、「中」のセグメントで4132円と平均(905円)を大きく上回るグループが存在する。まず、健康関心度の高いターゲット層をターゲットとし、新たな健康産業を推進するのが望ましいと考えられる。

①ターゲット層を探るため「健康関心度×年収」セグメントを作成

②新サービスの受容性において、健康関心度の高い層はサービス利用のポテンシャルはさらに高い

③「健康関心度×年収」セグメントによるターゲット層は健康関心度の高い層

Ⅱ‐3 生活者の需要を喚起するためのポイントの発見

生活者の需要を喚起するためのポイントの発見

①健康関連商品サービス・施策に求める事柄は「価格」「利便性」「効果」
健康関連商品サービス・施策に求める事柄としては、「手ごろな価格である」「ワンコイン(500円)で利用できる」といった価格や、「利用方法が簡単である」「仕事や家事の隙間時間に利用できる」といった利便性とともに、「データをもとに自分の健康状態が理解できる」「効果の検証結果がある」といったデータや効果に基づいた要素が求められている。

②健康維持・増進の取り組み参加を促進する要素は、「自分自身の予測シミュレーション」
現在の健康状態のデータをもとに、将来の健康状態について自分自身の予測・シミュレーションをされると、動機付けになりやすい。

③健康関連商品における専門家による人的サービスは、今後の利用意向は高くなり成長分野
「体の健康問題に関するカウンセリング」「メンタルヘルスサポート」「健康セミナー」などの、人的サービス利用率は現時点では高くないが、今後の利用意向は現状の利用意向より高くなっており、市場の成長のポテンシャルがあると考えられる。

④健康関連商品における専門家による人的サービスの利用促進のポイントは「信頼性」
人的サービスとして、健康のプロ・専門家による指導を受けられるほうが、サービスに信頼性が感じられ、効果が期待できるので望ましいと考える。

⑤健康で気になることは、女性「病気や老化による家族へ負担」、男性「疾病リスク」
健康で気になることは、男性では親が病気で死亡し、自分にも同様の病気リスクがあると感じており、女性では具体的な病気自体のリスクよりも、将来何らかの病気になり、家族との健康な生活を維持できなくなること。

⑥健康関心度の高いセグメントは、積極的に情報収集
健康関心度の高いセグメントでは、多くの情報源の利用が高くなっており、健康に関する積極的な情報収集の傾向がある。

①健康関連商品サービス・施策に求める事柄は「価格」「利便性」「効果」
健康関連商品サービス・施策に求める事柄としては、「手ごろな価格である」「ワンコイン(500円)で利用できる」といった価格や、「利用方法が簡単である」「仕事や家事の隙間時間に利用できる」といった利便性とともに、「データをもとに自分の健康状態が理解できる」「効果の検証結果がある」といったデータや効果に基づいた要素が求められている。

②健康維持・増進の取り組み参加を促進する要素は、「自分自身の予測シミュレーション」
◆定性調査より

【男女共通】
■現在の健康状態のデータをもとに、将来の健康状態について自分自身の予測シミュレーションをされると、動機付けになりやすい。
→他の人のデータを見て試すよりも、自分にあてはめたシミュレーションをしてくれるほうが、気持ちが動く(53歳女性)
→このままでは危ない、病気になるという動機づけが必要(61歳男性)
【女性】
■女性は、健康維持・増進につながる手軽で楽しめる行動・習慣があることで、取り組みの意欲が高まりやすい。
→「ふくらはぎを揉むだけ」のように、手軽にできること。30分続けなくてはいけないようだと難しい(68歳)
→健康はずっと続く課題。わざわざ行くのでなく、家庭内で気軽にできて、楽しければ良い(57歳)
→理論やデータを踏まえた、科学的根拠があって、そのうえで手軽なものでないと、飛びつかない(63歳)
【男性】
■男性は、メタボリックや病気のリスクなど、ネガティブな診断をされることで、不安が高まり、取り組みの動機付けになりやすい。
※職場での健康診断・人間ドックの結果をもとに健康を考えるのが、習慣化していると見られる。
→メタボ検診(60歳)
→体に何かしらトラブルが起きること。健康な時にあえて健康を増進させようと思わない(50歳)
→体に何らかの致命的な支障が生じたり、病気になるかもしれない状態で、このままではダメだと気づいた時(55歳)

③健康関連商品における専門家による人的サービスは、今後の利用意向は高くなり成長分野

「体の健康問題に関するカウンセリング」「メンタルヘルスサポート」「健康セミナー」などの、人的サービス利用率は現時点では高
くないが、今後の利用意向は現状の利用意向より高くなっており、市場の成長のポテンシャルがあると考えられる。

④健康関連商品における専門家による人的サービスの利用促進のポイントは「信頼性」

⑤健康で気になることは、女性「病気や老化による家族へ負担」、男性「疾病リスク」

⑥健康関心度の高いセグメントは、積極的に情報収集

超高齢化社会における健康ビジネス ポテンシャル調査(定性調査結果報告書)

目次

調査概要

対象者プロフィール

対象者プロフィール

結果の要約

【1. 健康に関する意識の背景】
◆女性
・家族や友人との良好な人間関係が維持するため、健康でいることが前提と考えている。
◆男性
・健康診断・検査で判明した数値異常、生活習慣の改善指導、体力の衰えなどから、急に病気や老化のリスクに直面した。
【1‐1. 健康維持・増進に関する意識】
◆女性
・病気や老化によって、家族(特に子供、孫)や友人間の良好な関係が崩れることへの不安がある。
・とにかく病気にならないために、日常的に手軽にできることを習慣化しようとしている。
・若々しい自分を見せたい。老けたと思われたくない
◆男性
・身体の異常・変調・衰えが深刻化することが不安。その背景として、親が病気で死亡し、自分にも同様の病気リスクがあると感じている。
・そのため、具体的な病気不安を解消する対策をとろうとしている。
【2. 2健康関連商品・サービス6分野の取り組み実態】
◆女性
・自宅や身近な場所で気軽に行える健康サービスを利用。
・具体的な目的・効果を達成するよりも、気軽に健康の習慣を取り入れることが重要。
◆男性
・具体的な目的・課題意識があり、リスク改善の効果が期待できる取り組みを行う
【3. 新サービス案受容性が高いもの】
◆女性
・「美と健康のトータルコンセルジュサービス」…美と健康というテーマに関心が高い。
・「街角や自宅で簡単に健康チェック」…身近で安価な検査ができることが魅力。
・「健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー」…レジャー的要素を持つイベントとして楽しめることが魅力。
◆男性
・「健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー」…レジャー性も備えたイベントとして期待が高い。
・「日々の健康活動をデータで管理」…日々のデータから健康指導をしてくれることが魅力。
・ 安価・気軽な検査では信頼性が感じられず、正確で詳細なデータ分析にもとづく指導を好む
【4. 健康関連商品における専門家による人的サービスの利用に対する意識】
◇健康のプロ・専門家による指導を受けられるほうが、サービスに信頼性が感じられ、効果が期待できる
◇行政よりも医療・ヘルスケアに関連した企業がサービスを提供するほうが、信頼性が高い
◆女性
・コスト負担が大きい場合、人的サービスを伴わない別の選択肢も考える
◆男性
・無償より有料サービスであるほうが、信頼が高まる
【5. 健康維持・増進の取り組み参加を促進する情緒的要素】
◇現在の健康状態のデータをもとに、将来の健康状態について予測・シミュレーションをされると、動機付けになりやすい。
◆女性
・健康維持・増進につながる手軽で楽しめる行動・習慣があることで、取り組みの意欲が高まりやすい。
◆男性
・病気のリスクなど、ネガティブな診断をされることで、不安が高まり、取り組みの動機付けになりやすい。
【6. 健康に関する情報源】
◆女性
・主にインターネットが情報源だが、期間や数量限定の割安な価格、ポイントアップサービスなどが主。
◆男性
・テレビの情報番組が主な情報源。

Key findings

Key findings

結果詳細

1. 健康維持・増進に関する意識
【女性】
◆気になっていることは、具体的な病気自体のリスクよりも、将来何らかの病気になり、家族との健康な生活を維持できなくなること。

<その背景>
◆病気や老化によって、家族(特に子供、孫)や友人間の良好な関係が崩れることへの不安がある。
・自分が健康でなければ、姑を介護できない
・病気などで要介護状態になったら、子供に介護で迷惑をかけたくない
・介護されるような自分の姿を、子供にさらしたくない
・孫の面倒を見ることが幸せなのに、見られなくなったら残念
・同窓会で旧友に若々しい自分を見せたい。老けたと思われたくない

◆気になることとその背景にある気持ち
・1日30品目を摂り、栄養が偏らないようにしたい(52歳)
→40歳を過ぎてから太ってきて、体重が増え、疲れやすくなった。このままではまずいと思った
・健康診断でコレステロール値が高かったので、食事と運動で下げたい
・最近膝が痛くなってきた。運動不足になるので、膝の痛みをとりたい
・骨密度が75歳と診断され、骨折で寝たきりになるのが心配(53歳)
→来年から姑と同居して介護をするので、健康でいなくてはならない
→ひとり息子(高2)が将来結婚した時に、自分の介護のために息子に迷惑をかけたくない
・人間ドックの数値が気になる。正常値になるべく戻したい(57歳)
→52歳頃、体力が続かなくなった
→同窓会などで「老けた」と言われたくない、「若い」と言われると嬉しい
・高血圧気味なので、塩分を控えている(61歳)
→近くに孫(娘の子)がいて、仕事をしている娘の代わりに孫の面倒を見てあげることに幸せを感じる
・免疫力や基礎代謝を高めたい(63歳)
→自分の母親が認知症で、介護施設に入れるまで大変な思いをした。将来自分が子供に同じような負担をかけたくないし、介護される姿を
さらしたくない
・免疫力を上げたい。添加物を多く摂っていると免疫力が落ちて病気になりやすくなる(67歳)
→いつまでも若くいたい
→自分が介護されるようになったら、残された子供たちが大変。子供に迷惑をかけたくない

1. 健康維持・増進に関する意識
【男性】
◆身体の具体的な異常を自覚しており、それが深刻化することを気にしている。
・大きな病気で手術・治療を受けたり、筋力や体の機能の衰え、職場の健康診断・人間ドックでの数値の異常などを具体的な事実として感じている

<その背景>
◆親が病気で死亡し、自分にも同様の病気リスクがあると感じている。
◆健康上の不安要素を医師から診断され、運動・食事などの改善指導をされた。
→具体的な病気リスクに直面しており、改善の必要性を感じている

◆気になることとその背景にある気持ち
・健康診断で、コレステロールと中性脂肪が高かった。食事管理・運動など健康管理をきちんとするように、妻から厳しく言われている(50
歳)
→妻の父は52歳で肝臓病で亡くなった。現在、子供も1歳と小さい
→去年、尿管結石で1週間痛い思いをしてから、あんな痛い思いをするのは嫌だと、健康を気にするようになった。
・体脂肪が増えて脂肪が落ちない、筋力が低下している
・目の老化がひどく、白内障ではないか心配(54歳)
→毎週地元の小学生に剣道を教えているが、年齢とともに動きが鈍くなったと感じている
・動脈硬化にならないように、心臓の鼓動を安定させる薬、血圧を下げる薬、悪玉コレステロール値を下げる薬を飲んでいる(55歳)
→母は脳幹出血、父は喉の動脈瘤破裂でともに即死。自分も2年前、心臓の大動脈弁と腹部動脈瘤の手術をした
・人間ドックの結果、血糖値が高い(61歳)
→両親が糖尿病で亡くなり、自分も30代後半頃から人間ドックで糖尿病の因子を持っていると言われていた
・健康診断で、血圧、γ-GTP値が高い(61歳)
→48歳頃、体を動かす機会が少なかったので体重が80kg近くになり、血圧も上昇して、医者から運動するよう指導を受けた。
・食後の血糖値が高い(67歳)
→35~36歳頃、人間ドックで血糖値の高さを指摘され、栄養指導を受けた
→3年前まで北里大学病院に通院し、投薬治療を受けていた

2.健康関連商品・サービス6分野の取り組み実態
【女性】
◆健康上の明確な目的や効果を達成するための取り組みというよりは、目的はやや曖昧ながらも、自宅で(または自宅に近い身近な場所で)、無理せず気軽に行えるというメリットが伴う健康サービスを利用。
<利用動機・背景にある意識>
・「将来の病気リスクを少しでも減らして、病気になる不安を解消したい」
・「主婦という立場なので、家の中で時間をかけず簡単にできるものだったら、やってみたい」
・「家の中だけでは/自分一人では楽しくないので、周りの人と一緒に楽しめる/ストレス解消になることをやりたい」

【活動分野&利用したサービス内容&気持ちや目的】
検査、健康指導
・家庭用診断キット:自宅で血糖値を測定
・ワンコイン検査:血管年齢や血糖値を測定
→親が糖尿病なので、将来の自分の発症リスクを減らし、不安を解消したい
→わざわざ病院に行って検査を受けなくても、自宅での測定や簡単な検査で、手軽に不安解消になれば便利
健康アプリ、コンテンツの利用
・ヨガ、フィットネスなどの簡単な運動の動画:動画サイト、またはPC内蔵ソフト、ゲームソフト。動画を見ながら自宅で簡単に運動ができる
→運動したくても、家にいるとなかなか運動をしない。自宅で動画を見ながら、気軽に運動をするきっかけができれば、体を動かそうと思う
運動
・インストラクターがいるフィットネスクラブ/ジム
→自分一人での運動は、きついので怠けたり、諦めたりしがちだが、インストラクターや仲間がいると、楽しく運動できて、頑張れる、達成感がある、喜びを共有できるなど、モチベーションが上がる
健康に配慮した食品や、食に対するサービス
・きれいな水の宅配
・無農薬玄米の取り寄せ
・多種類のミネラルの摂取
→きれいなものを摂ることで、身体が浄化され、自然治癒力が高まり、病気になりにくい身体になる気がする
→自分が食べるものを自分でコントロールしているという安心感
リラクゼーション、レジャー
・スパ、健康ランド、源泉かけ流し温泉
※ヘルスツーリズムに関心はある。健康の効果よりも楽しさ、ストレス解消に対する期待が大きい
・血管の中から体を浄化でき、血液の健康にも良い
・気分がゆったりし、精神的開放感が得られ、ストレス解消になる。自宅にいても開放感は得られない
健康機器(家庭用健康家電)
・万歩計
・マッサージ器、マッサージチェア
→マッサージ器、マッサージチェアには、肩こりなどの症状を緩和する効果を期待。リラックスでき、ストレス解消にもなる

2.健康関連商品・サービス6分野の取り組み実態
【男性】
◆「自宅で気軽に取り組める健康法」を重視する女性とは異なり、男性はより具体的な目的・課題意識があり、効果が期待できる取り組みを行う傾向がうかがえる。
を行う傾向がうかがえる。
・職場で提携している病院での検査、提携するフィットネスクラブ、毎日計測できるアプリ、筋力アップができる健康機器、認知症予防としてのサプリメント、効果の得られる温泉など
<利用動機・背景にある意識>
・「将来の病気リスク、体調面の異常、筋力の衰えなど、明確な不安要素があり、その対策をきちんとしたい」

【活動分野&利用したサービス内容&気持ちや目的】
検査、健康指導
・会社提携病院でのカウンセリングつき検査
→両親が糖尿病だったので、自分も糖尿病になるのが心配
・無呼吸症候群検査
→いびきを家族に指摘され、重大な症状がないか不安になった
健康アプリ、コンテンツの利用
・オムロン「わたしムーヴ」(血圧、歩数、歩行距離などを毎日記録できるサイト)
→データが記録されるし、コメントで健康状態がわかるし、やった分だけ数値が改善されるのが面白い
運動
・フィットネスクラブ:筋肉を鍛えている
→50歳を過ぎ、筋力が落ちたので、昔の状態に戻したい/維持したい。昔のように体が動かないのが悔しい、もどかしい
・会社提携のフィットネスクラブで運動
→体重、高血圧が気になるので、病気予防のため利用
健康に配慮した食品や、食に対するサービス
・DHA・EPAのサプリを飲んでいる
→祖母が認知症だったので、自分も認知症になるのが不安
→認知症で妻や周りの人に迷惑をかけたくない
リラクゼーション、レジャー
・近くの健康ランド(ジャグジー、岩盤浴、ゲルマニウム温浴、マッサージなど)
→身体よりも心の健康。リラックスでき、ストレス解消になる
→悪い汗が出る気がする
・温泉巡り
→温泉の成分によって、効果がある気がする
健康機器(家庭用健康家電)
・踏み台型の昇降機(54歳)
→地元の小学生に毎週剣道を教えるため、衰えてきた筋力を強化したい
・内転筋トレーニングマシン(60歳)
→年を取ってからの転倒・寝たたきりを防ぐため、内転筋を鍛えたい

3. 新サービス案の受容性
【女性】
◆V案「美と健康のトータルコンセルジュサービス」は、具体的内容の是非よりも、美と健康の両方を追求するというテーマに関心が高い。
◆P案「街角や自宅で簡単に健康チェック」は、親と同じ病気を発症することを不安視する女性にとって、身近な場所で安価な検査からリスク診断ができることが魅力。身近な場所で健康チェックができることも、専業主婦はメリットに感じやすい。
◆U案「健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー」は、レジャー的要素を持つイベントとして楽しめることが魅力。

【街角や自宅で簡単に健康チェック】
○遺伝子情報にもとづいて病気のリスクを教えてもらえる点は魅力
→親が糖尿病であったなどの理由から、遺伝が関係する発症リスクが気になる人には魅力的
→遺伝子情報をもとに、自分では自覚しにくい専門的なアドバイスが受けられることにも期待
○身近な場所で、短時間で安価で検査を受けられ、メールやWEBで結果をすぐに確認できる
【日々の健康活動をデータで管理】
○スマートフォンやパソコンにデータを簡単に記録でき、自分で分析して体調管理ができる
→病院に行って検査を受け医師と対面してアドバイスを受けるよりも、自分自身で体調管理ができる手軽さが魅力
▲ 記録するデータが、「移動距離」や「消費カロリー」程度では、現行アプリと大差を感じない
【毎日の食事から健康に、栄養管理ウェブサイト】
○自分に合った個別の栄養指導が受けられる点は魅力
▲食事データの入力、食事メニュー指導を受けることは、面倒・煩わしさが感じられる
→毎日の食事内容をデータ入力するのが面倒。毎日食材を有効に使うことを考えると食事メニューの指導は煩わしい
【効果体験を後押しするフィットネス】
○フィットネスで体を鍛え、医療機関への受診や薬による治療の軽減を目指すことは共感できる
▲個人の体調や目標に応じたエクササイズプログラムは魅力的だが、フィットネスクラブ利用者にとっては現在利用している個人別プログラムとの特徴・メリットの違いが不明確
→場所についても、「自宅でできたら良い」「フィットネスクラブの方が良い」と評価が分かれた
【健康づくりを目的とした滞在型温泉ツアー】
○温泉・食事・運動などのメニューを、滞在型で楽しめる点が魅力
→健康効果を期待できるだけでなく、楽しむことで気持ちもリラックスできることが魅力的
▲「参加者同士のつながり」は期待されていない
【美と健康のトータルコンセルジュサービス】
○「健康と美容の両立」「健康的な食事」「おしゃれ・メイク」「気持ちにハリ」「内面から美しくなる」など、具体的な内容よりもテーマが女性として楽しめそうなものであり、関心が高い
→継続的なものより、単発のイベントとして気軽に参加し楽しめるサービスとして期待されている
→「●●教室」という点が強調され、レッスン・学習のイメージが強くなることへの嫌悪感も見られた

3. 新サービスの受容性
【女性】
P. 街角や自宅で簡単に健康チェック
①駅や商店街などの便利な場所でいつでも②安価で気軽に受けられる「簡易健康診断」や、自分の血液や唾液を採取して郵送すると③遺伝子情報から自分の健康状態や体質、さらには④病気のリスクを教えてくれる「遺伝子検査キット」。⑤検査結果はメールやWEB上で確認でき、⑥専門家から食事や運動のアドバイスやサポートが受けられる。

Q. 日々の健康活動をデータで管理
①手軽に身に着けられるウェアラブル端末で、歩数や移動距離、消費カロリーなど、日常的な活動量やその強度を②自動的に記録できる。③スマートフォンやパソコンにデータを蓄積して、分析することで④体調管理などに活かすことが可能。また、⑤仲間と共有することで⑥楽しみながら続けることができる