日本人の健康寿命は、男性が81.09歳、女性87.13歳です。高齢化が急速に進む中、健やかな生活を送るためには、健康でいることが重要です。世界的にも稀な長寿国日本は、健康意識も高く、健康食品ビジネスも活発です。例えばテレビを見ても、CMやテレビショッピングの多くが健康食品関連で占められています。
健康ビジネスとは、健康維持や予防に関わる商品やサービスを提供する事業のことです。その対象は、医療分野だけではありません。健康食品や美容、心のケアなど、多岐に渡ります。
日本人は世界的に見ても、健康意識の高い国民性で知られています。その健康を支える健康ビジネスには、どんなものがあるのでしょうか。本記事では、その現状とポイントを解説します。
Contents
1. 日本人の健康に関する現状
1-1. 健康の定義とは
そもそも健康とは、どういった状態を指すのでしょうか。1948年に発効されたWHO憲章では、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱 の存在しないことではない。」と定義しています。
1-2. 健康の3つの柱とは

健康維持の柱は、「食事」「運動」「健康診断」です。例えば食事の場合、主食と主菜、副菜を基本とし、必要な栄養素をバランス良くとることが大切です。そして野菜や果物、乳製品、豆類、魚を組み合わせ、脂質や塩分の過剰摂取は避ける必要があります。
また健康を維持する運動には、有酸素運動やストレッチング、筋肉トレーニング、バランス運動などがあります。例えば有酸素運動には、遅歩きのウォーキングやラジオ体操、エアロビクス、水泳、ダンスなどがあります。運動の効果としては、体力や生活習慣病の予防、身体の柔軟性、心肺機能の向上などがあります。
1-3. 日本人の平均寿命
厚生労働省の簡易生命表(令和6年)によると、2024年の日本人の平均寿命は以下の通りです。ちなみに日本人女性の平均寿命は、40年連続で世界1位を維持してます。
・男性/81.09歳
・女性/87.13歳
1-4. 日本人の健康寿命
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを、健康寿命といいます。2022年(令和4年)の健康寿命は、以下の通りです。
・男性/72.57歳
・女性/75.45歳
平均寿命と健康寿命の差は、男性で約8.49年、女性で約11.63歳あります。この差の期間には、医療費や介護費用が見込まれる期間です。
2. 健康ビジネスの市場について

健康ビジネスの市場規模は、拡大傾向にあります。大きな成長が見込まれており、ここでは全体像と各セグメントについて解説します。
2-1. 健康ヘルスケア産業全体の成長予測について
株式会社富士経済の調査によれば、健康ヘルスケアの市場規模は、2029年には2020年の約2.2倍に拡大すると予測しています。また経済産業省の予測では、公的保険対象外のヘルスケア市場規模は、2020年の約24.9兆円から2050年には約76.9兆円へと3倍以上の拡大する予定です。
2-2. AIやロボティクスによるヘルステックの誕生
コンサルティングのPwCの予測では、AIで2030年の世界のGDPが最大14%増加する可能性があります。例えばヘルスケア分野においても、AIは無限の可能性を秘めています。具体的には、人口集団単位のデータや症例履歴、CTスキャンデータ処理などがあります。また手書き記録のようなデータの活用も、大きな変革をもたらすと期待されています。このAIの主な目的は、早期検知と早期診断です。例えば、個人の健康データに類似データを参照することで、早期の異常発見が可能になります。
またAI搭載ロボットにも期待が集まっています。具体的には、遠隔手術や放射線照射治療、健康増進のためのデータ分析などです。AIは、模範解答がある作業を正確に実行できる特徴があります。その特徴を活かし、医療分野での様々な課題を解決できます。
2-3. 医療テクノロジーの進化
今後10年間で世界の医療は大きく変貌することが予想されています。その核となるのが、ヘルステックといわれる医療テクノロジーです。具体的には、AIやIoT、遺伝子医療や再生医療、脳波医療や免疫医療などがあります。またロボットやアプリ、3Dプリンターの活用もあります。
これらのテクノロジーに進化により、医療機関のDX推進が本格化します。また医療機器メーカーによる病院の買収といったM&Aが加速する可能性もあります。
2-4. 健康経営の拡大が進む
健康経営とは、従業員の健康管理を戦略的に実践する経営手法です。最その拡大の背景には、少子高齢化による人口の減少や、ワーク・ライフ・バランスの推進、国民医療費の増加があります。
では企業が健康経営を推進するメリットは何でしょうか。具体的には、労働生産性の向上や離職率の低下、ブランドイメージの向上などが挙げられます。また経済産業省は、「健康経営優良法人認定制度」を設けています。これは、優良な健康経営を実践している企業を認定する制度です。
健康経営の具体的な取り組みとしては、まず生活習慣改善の促進が挙げられます。具体的にはセルフチェックシステムを導入したり、健康セミナーの開催、食事指導などがあります。例えば味の素グループでは、社員食堂で健康メニューを提供しています。また従業員の運動不足解消のための運動機会の増進や、健康診断、メンタルヘルス対策などの取り組みもあります。
3. 健康経営の取り組み事例

3-1. Googleは血糖値をKPI指標に導入
Googleでは、人材の争奪戦を勝ち抜くために、健康経営に積極的に取り組んでいます。具体的には、「血糖値」を従業員のKPIとして導入しました。これは、NASAの宇宙飛行士の労働効率性の研究にヒントを得たものです。例えば血糖値を一定の状態にすると、仕事の集中力の継続につながるのです。そのため、3時間か4時間に一度の食事摂取による血糖値の安定を推奨しています。
3-2. 花王は健康づくりにマイレージ制を導入
花王では「花王健康マイレージ」を導入しています。これは、病気の予防に力を入れる従業員を応援する仕組みです。具体的には、禁煙や一日一万歩歩いたりすると、健康マイルが貯まります。そして貯めたマイルは、健康グッズと交換することができます。現在、被保険者の45%近くがマイレージプログラムに参加しています。
3-3. 味の素は産業保健スタッフによる健康サポート体制を整備
味の素は、産業保健スタッフによる健康サポート体制を整備しています。産業保健スタッフとは、産業医や衛生管理者、保健師などの心の健康づくり専門スタッフのことです。具体的には、ストレスチェックやメンタルヘルス対策、健康診断後のフォローアップや生活習慣改善支援を実施しています。
3-3. Apple Watchを全社員に配布した株式会社ランベル

健康経営への取り組みとして、Apple Watchを全社員に配布したのが株式会社ランベルです。導入後には「アクティビティAppで、1日の活動を可視化できるので楽しい」といった声が上がっているようです。
近年「Well-being」が注目されています。これは、肉体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態であることを指します。例えば心電図が計測可能なApple Watchを貸与する取り組みがあります。これは、6カ月間毎朝30秒間測定した心電図データ他を分析します。そうすることで、ストレスや疲労などの状況を把握することができます。
4. まとめ
健康ビジネスは、今後その市場が大きく拡大する見込みです。日本では少子高齢化が進み、一方ではAIに代表される革新的なテクノロジーの登場があります。また医療分野は新規参入が難しい側面がありましたが、異業種の参入も進む可能性があります。
例えば、医療に関するビックデータをAIで活用することで、がんの予防と治療が変わる可能性があります。既存の調剤薬局はM&Aが進み再編が加速します。また海外のGAFAMが、新たなプラットフォームを構築することもあるでしょう。
ヘルスケア産業は、私達の生活と密接に結びついています。だからこそ、その取り巻く環境の変化に注目する必要があります。かつて街中には多くの本屋さんがありました。しかしamazonに代表されるECサイトの登場で、その多くは姿を消しました。そういった社会的な大変化が、今訪れようとしています。医療分野の新しい取り組みには引き続き注視し、継続的に本サイトで情報発信していく予定です。
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