NRI作成!今後の国際標準のイノベーション経営の在り方のヒントとは



今後の日本経済を左右するキーワードの一つが、「イノベーション」です。

今回御紹介する企画書は野村総合研究所(NRI)のコンサルティング事業本部が作成したものですが、クオリティ&ボリューム双方でかなり見応えのあるものになっています。

日本も参加している国際標準化機構(ISO)でのイノベーション経営に関する検討委員会の検討内容も踏まえた上で、日本の実情に合わせた未来社会像を考察します。

 

◆人工知能が日本の産業力を強くする~イノベーションは辺境から起きる!

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【目次】
1. 今回の企画書の特徴
2. 『平成30年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費)(イノベーション経営の普及に係る調査研究)』から学ぶ
0.事業の背景・目的
1.第四次産業革命に向けたイノベーション経営の在り方に関する情報収集・整理
2.イノベーション経営の標準に関する具体策の検討
3.イノベーション経営の国内外への発信
4.未来年表づくり
5.オープン・イノベーション実践の場に関する実証調査
別紙

 

1. 今回の企画書の特徴

今回の企画書は、日本におけるイノベーション経営の定着化についてあるべき姿が描かれています。ポイントとなるキーワードを、以下に記します。

・イノベーション経営の類型化
・平成元年時点で世界時価総額ランキング50位以内にランクインしていた大企業は、平成30年では6社のみ
・日本のCEOの32%が、「イノベーションを最も強化したい」と考えている
・課題意識の代表は、「既存事業がリスクを取る能力を持っていないこと」
・日本の競争力の源泉であった技術優位性や労働集約的生産が、競争優位性にならなくなってきた可能性がある
・イノベーションの先のミッションの不在
・イノベーション経験者の不足・不在
・リソース補給体制の未構築

 

2. 『平成30年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費)(イノベーション経営の普及に係る調査研究)』から学ぶ

では、野村総合研究所が作成した企画書を以下具体的に見ていきましょう。

0. 表紙

1. 目次

0. 事業の背景・目的
1. 第四次産業革命に向けたイノベーション経営の在り方に関する情報取集・整理
2. イノベーション経営の標準に関する具体策の検討
3. イノベーション経営の国内外への発信
4. 未来年表づくり
5. オープン・イノベーション実践の場に関する実証調査
別紙

0. 事業の背景・目的

0. 事業の背景・目的/ISOにおけるInnovation managementの検討経緯を踏まえ、日本版のイノベーション経営の型を構築し、その普及を目指す

◆背景
・第四次産業革命の急速な進展に伴い、企業経営においてイノベーションを生み出す環境の構築は喫緊の課題となっている。特に、社会構造が複雑化していく中では単純に良質な製品・サービスを生産するだけでは国際競争力に劣後するという課題に直面している現状を踏まえ、社外のステイクホルダーと重層的な協力関係を構築しながら価値創造を行うオープン・イノベーションを実現するためには、従来の経営とは異なる対応が必要となっている。

・こうした中、国際標準化機構(ISO)においてイノベーション経営(Innovation management)に関する検討委員会(TC
279)が立ち上がっており、我が国もエキスパートとしてこれまで参加してきている。その検討内容が本年度中にも取りまとまる見込みであるところ、当該国際標準の内容を踏まえ、我が国の企業経営の実情に即したイノベーション創出のための「経営の型」を構築し、その普及に努めていく必要がある。

・また、企業におけるイノベーション経営を進めるとともに、政策立案側においても、中長期視点での未来志向での政策を企画立案し、官と民の垣根を越えて、オープン・イノベーション型で対話型の政策形成を行うことが重要である。このためには、今後我が国の成長にとって重要となる複数分野においての未来洞察を行うとともに、官の機能として、フュチャーセンターのような、企業や市民等と対話を促す場の装備も必要となってくる。

◆目的
・以上を踏まえ、本調査研究では、①第四次産業革命に向けたイノベーション経営の在り方に関する事例等の情報収集・整理、②ISO/TC 279の検討結果を踏まえたイノベーション経営の標準を普及するための具体策の検討、③国内外への発信方法の検討、④イノベーション創出のための生活者視点での未来社会像の検討、⑤官におけるオープン・イノベーション推進のための実践方法の検討等を行うことを目的とする。

1. 第四次産業革命に向けたイノベーション経営の在り方に関する情報取集・整理

1. 第四次産業革命に向けたイノベーション経営の在り方に関する情報取集・整理/実施概要

【実施概要】
◇イノベーションを起こしたといわれる企業が、(技術の観点ではなく)経営、リソース配分及び企業の組織構造の観点からどのような工夫をしてきたのか、企業経営者や有識者等へのヒアリングを含めた調査分析を行った上で、イノベーション経営の型を類型化した。

【実施方法】
◇情報収集による調査
・文献及び公開資料のほか、必要に応じて海外情報データベースや現地機関等を活用した情報収集等により調査・分析を行った。文献調査については、経済産業省が過去に作成した報告書及び委託報告書も活用して効率的に行った。

◇ヒアリング調査
・国内企業、国内有識者計30社/名ほどを想定した。

情報収集による調査

情報収集による調査/近年、ITベンチャーのプレゼンスが高まっている一方、かつて上位であった大企業のプレゼンスが低下している

◆平成元年の世界時価総額ランキング
順位、企業名、時価総額(億ドル)、国名
1. NTT/1,638.6/日本
2. 日本興業銀行/715.9/日本
3. 住友銀行/695.9/日本
4. 富山銀行/670.8/日本
5. 第一勧業銀行/660.9/日本
6. IBM/646.5/米国
7. 三菱銀行/592.7/日本
9. エクソン/549.2/米国
10.東京電力/544.6/日本
11.ロイヤル・ダッチ・シェル/543.6/米国
12.トヨタ自動車/541.7/日本
13.GE/493.6/米国
14.三和銀行/492.9/日本
15.野村証券/444.4/日本
16.AT&T/381.2/米国
17.日立製作所/358.2/日本
18.松下電器/357/日本
19.フィリップ・モリス/321.4/米国
20.東芝/309.1/日本

情報収集による調査/日本のみならず世界的にも、CEOはイノベーションを最も強化したいと考えている

情報収集による調査/一方、イノベーションについての課題意識も世界・日本共高まっており、特に、「既存事業がリスクを取る能力を持っていないこと」、「十分な投資や財政的な支援の不足」の回答割合は4年間で10ポイント以上上昇している

情報収集による調査/日本企業は高度経済成長期に米国に迫る程の国際競争力を有していたが、2000年以降の中国の台頭とは反対に、徐々にプレゼンスが低下

情報収集による調査/(参考)中国等の新興国によるキャッチアップにより技術の優位性を保持することが困難になっており、アイディア一つで「新たな価値軸」を作り出すイノベーションがますます重要に

◆中国企業のキャッチアップ例:Xiaomi(シャオミ)
・“中国のApple”とも呼ばれる通信機器・ソフトウェアメーカー
・AppleやSamsungの主要機種と同等の高い品質・デザイン性を格安で実現していることが特徴
・製品面で模倣性を指摘されることも多いが、GoogleのAndroid部門副社長を引き抜くなど、製品面だけでなく、マネジメント体制においてもグローバルトップ企業を追随

ヒアリングによる調査

ヒアリングによる調査/日本企業がイノベーション経営を実践する上での課題や、課題解決方策を明らかにするため、企業を取り巻く内外の関係者にヒアリングを実施

◆イノベーション先進企業
【経営層】
・イノベーションを興すための経営方針・組織・リソース配分・評価のあり方を中心に、実践内容や苦労しているポイントを把握

【ミドルマネジメント層】
・イノベーション活動内容(アクセラレータプログラム、経営層とのコミュニケーション等)に関して、工夫点や課題などを把握

【現場担当者】
・IR活動の一環として、イノベーション経営の取り組みを発信することの意義や投資判断時にポジティブに捉えられる要素などを把握

ヒアリングによる調査/経営層/ミドルマネジメント/現場担当者向けのヒアリング項目(基本項目)

【全体】
1. 貴社・貴組織における、“イノベーション”の定義・捉え方

【ポイント①イノベーション機会とゴールの特定と発信】
1. イノベーションの機会として捉えている対象分野や領域、イノベーション活動により生み出す提供価値(財務、非財務)、またそれら対象を設定するに至った背景
2.イノベーション活動をどのように関係者(社内関係者、社外関係者(投資家や協業先企業))に説明し、理解を得ているか
→特に、投資家に対してどのような点に留意して情報発信を行っているか

【ポイント②活動推進体制と仕組みづくり】
1.イノベーション推進体制設置の背景と役割・ミッション
2.既存事業の推進体制とイノベーション推進体制の考え方と重視ポイントの違い
→人、文化、プロセス・仕組み、責任・権限といった観点でどのような違いがあるか

【ポイント③一連の活動のレビュー・改善】
1.イノベーション活動成果の考え方と、これまでの活動成果実績
2.イノベーション活動の戦略・計画と、体制・仕組みをレビューし改善し続ける仕組みと、これまでの改善の変遷
→イノベーション経営や推進体制の変遷に影響を与える要因は何か(経営計画、組織文化・経験値等)

ヒアリングによる調査/加速支援者向けのヒアリング項目(基本項目)

1.貴社が提供しているイノベーションに係るサービス、ソリューションの概要

2.日本企業がイノベーションケイパビリティを高める上での課題

ヒアリングによる調査/情報収集及びヒアリング結果を踏まえ、日本企業が抱えるイノベーション経営実践上の課題とポイントを整理した

◆多くの日本企業でお伺いする悩み・問題点
【ビジョン・計画】
◇イノベーション機会や提供価値が不明確
経営層の指示で、(オープン)イノベーション推進組織を作ったが、どんな分野・領域を対象にイノベーションを興すのか、イノベーションの結果どんな価値を実現するのか指示はなく、当該組織の人材がイノベーション難民と化している。
◇イノベーションの先になるミッションの不在
ベンチャー企業と共創を図ろうとするも、自社のミッションが明確になっておらず、ベンチャー企業からの共感を得られない。
◇管理が数値目標のみ
「100億円規模の事業創出」といった数値目標だけが打ち出され、数十億円規模の案件は経営層から「自社がやる価値があるのか?」といったフィードバックを受け、事業化に至らない。
◇M&Aの目的化
M&Aを実施するも、その後の企業価値の高め方や成長の方向性が定まっておらず、買収先企業とのシナジーを発揮できずに撤退・売却せざるを得なくなる。
◇イノベーション関連イベントの目的化
オープンイノベーションやアクセラレーションプログラムを実施するも、社内の活動成果への期待がばらばらで期待に応えられない。イノベーション活動疲れが起きている。
【組織・リソース】
◇既存事業の枠組みによるイノベーション案件管理
イノベーション案件も既存事業と同様のプロセス管理が行われ、不確実性の高い案件は、通常の経営会議では投資・撤退の意思決定ができない、意思決定に時間がかかり活動スピードが落ちる。
◇イノベーション経験者の不足・不在
イノベーション活動経験者が少なく、イノベーションプロセスを構築できない、イノベーションプロセスを推進・管理できる人材がいない・少ない。
◇リソース補給体制の未構築
イノベーション専任組織が、必要なタイミングで必要なリソース(ヒト、カネ、モノ)を確保できる仕組みはなく、責任者が属人的に社内外から必要なリソースを引っ張ってきている状態。いつもリソース不足。
◇イノベーションプロセスの入口・出口が不明確
イノベーションプロセスの入口と出口の施策・体制が不十分で、育てる事業アイディアが枯渇する、育てた事業アイディアがP/L責任を負う事業部に引き取ってもらえない。
【見直し・改善】
◇イノベーション活動のチェック機能が無い
一旦やり始めたイノベーションの取り組みがやりっ放しで担当者任せとなり、徐々に活動が停滞、形骸化、縮小していく。

ポイント①【機会とゴールの特定と発信】/イノベーション経営にあたって、自社として注力する領域や技術・ビジネスモデル等と、目指すべきゴールを明確に決める

ポイント②【活動推進体制と仕組み作り】/特定したイノベーション機会とゴールをもとに、イノベーション推進体制の役割・ミッションを設定し、既存事業とは異なる4要素を備える推進体制と仕組みを整備する

ポイント②【活動推進体制と仕組み作り】/イノベーション推進体制が備える4要素(既存事業との比較)

ポイント②【活動推進体制と仕組み作り】/イノベーション経験値と組織文化に応じて、イノベーション推進体制の「人」を確保・活用 イノベーション推進体制の役割・ミッションに応じて、「プロセス」と「責任」、活動拠点に設定

ポイント②【活動推進体制と仕組み作り】/(参考)ステージゲートプロセス

ポイント③【一連の活動のレビュー・改善】/実践したイノベーション経営のレビューを行い、経営要素を柔軟にUpdateをする

「イノベーション経営の型」について

「イノベーション経営の型」について/企業が価値創造活動を実現するには、既存事業とは異なる「価値創造のためのマネジメント」をビルトインし、全体の構造を変革させていく必要がある

「イノベーション経営の型」について/クリステンセン教授は、既存事業で有効なマネジメントが新規事業では失敗をもたらすことを示し、既存組織の新規事業創出には既存事業とは異なるマネジメントが必要と説く

クレイトン・クリステンセン氏
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授、経営学者
◆イノベーションのジレンマ(1997年)
・既存事業で有効な「プロセス」と「優先順位」が、新規事業の世界では失敗をもたらす
・新規事業創出には、既存組織の「資源」の一部を利用し、既存組織とは異なる「プロセス」と「優先順位」を持つ体制が必要

エリック・リース氏
起業家、HBSアントレプレナー・イン・レジテンス
◆スタートアップ・ウェイ(2017年)
・既存事業と新規事業のマネジメントでは、マネジメントの構成要素である「人」「文化」「プロセス」「責任」が異なる
・新規事業創出には、組織内に新規事業の体制を用意し、起業マネジメントを行う必要がある

ジェームズ・マーチ氏
スタンフォード大学名誉教授、組織論、意思決定理論の権威
◆組織学習における知の探索と活用(1991年)
・イノベーションには知の探索と知の深化・活用をバランスよく実現する経営が必要
・企業組織は深化・活用に偏りがちで、組織の体制とルールもそれを前提としているため、探索を疎かにしない戦略と体制、ルール整備が重要

2.イノベーション経営の標準に関する具体策の検討

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際標準化の動き

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際標準化の動き/ISOにおいて、世界59国の参画による、イノベーションに関する国際標準化に向けた検討が進行している

◆ジュネーブ(スイス)に本部を置く非政府組織である国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)において、2013年よりイノベーション・マネジメント(Innovation Management)の国際標準化に係る議論が進められている(経緯は次頁)。

◆イノベーション・マネジメントに係る検討部会(ISO/TC279)で扱う4分野のうちの一つであるイノベーション・マネジメントシステム(Innovation Management System:IMS)では、イノベーションの「プロセス」に係る国際標準化の議論がなされている。

◆IMSは2019年春頃に「ガイダンス(義務化はされない)」として公表される予定(他の分野も順次検討・公表される予定)。

◆ISO/TC279参加国
参加国は増加している(2015年時点の参加国数:39カ国)
【Participating Members(43カ国)/(検討会議での発言権、標準の決定に係る投票権を有する)】
アルゼンチン、オーストリア、バルバドス、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、コートジボワール、キューバ、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ホンジュラス、ハンガリー、インド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、メキシコ、モ ロッコ、パナマ、ペルー、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、セルビア、スロベニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、UAE、イギリス、アメリカ
※日本は2015年秋よりParticipating Memberとして参画
【Observing Members(16カ国)/(検討会議への参加国、投票権は無い)】
キプロス、チェコ、エクアドル、香港、インドネシア、イラン、ケニヤ、リトアニア、マレーシア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ルーマニア、シンガポール、タイ、トリニダード・トバゴ

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際標準化の動き/イノベーション・マネジメントの国際標準化検討は、欧州におけるイノベーションに係る先行規格の動きを受けて開始された

◆2008年から、欧州のイノベーション戦略の一環として、イノベーションマネジメントシステムの標準化に着手し、2013年に欧州規格(CEN/TS16555-1)を策定。

◆この動きを受けて、同年に、国際標準化機構(ISO)が、Innovation Managementに関する専門委員会を立ち上げ、議論を開始。

【検討経緯の概要】

イノベーションと標準化を巡る国際的な動向
◆2005年改定のリスボン戦略(EUの経済・社会改革戦略)
◇成長のための知識経済とイノベーション促進
・経済成長と雇用の実現のために、知識経済とイノベーションが必要
◆2008年のEC委員会報告書(EUの経済・社会改革戦略)
◇世界市場を見据えたイノベーション関連の標準策定
・欧州標準化団体はグローバル標準策定への貢献を更に増やすべき
・新市場を収益化し、グローバル市場で先行者利益を獲得するための手段
・国際標準化の推進を通じ、複数の標準並立や、イノベーションや競争、貿易を阻害するルール策定のリスクを回避
◆2013年欧州規格
◇欧州規格の策定
・定期的な外部環境分析、チャレンジの特定、サステナビリティ、イノベーション戦略・目標設定を規定したCEN/TS16555-1を策定

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ISO/TC279における検討WGと進捗状況の概要
◆ISO/TC279
◇国際標準検討部会の立上げ:
・2013年よりISOが、Innovation Managementに関する専門委員会を立ち上げ、議論を開始(フランスの認証機関であるAFNORによる提案でTC立ち上げられた)
◇目的:
・設立以来長年経つ技術力ある中堅企業の再成長
・コラボレーションがイノベーションの前提であるため、コラボレーションのための共通言語が必要
・イノベーション成果を確約するものではないが、成功確率を向上する
・「一部の天才の仕事」から「だれでもどこでもイノベーションの時代」へ

既存企業がイノベーションを起こすための方法論が一般公開される時代⇒“スタートラインが100メートル先に設定される世界”

2.イノベーション経営の標準に関する具体策の検討/実施概要

実施概要
【実施内容】
・2019年春頃に国際標準化が予定される”Innovation Management System”を和訳した上で、我が国大企業がイノベーションを創出するための方法についての必要箇所を抽出した。
・調査項目1も踏まえ、「日本流イノベーション経営の型」の導出・策定をおこなった。
・その上で、日本企業の経営者、投資家等へ普及させるための具体策を検討した。
・また、経済産業省にて作成している「価値協創ガイダンス」との整合性の検討を行った。

【実施方法】
・ISO/TC 279で検討が進むInnovation Management Systemの各種スタンダードは未だ完成版は無いため、本事業スタート時に入手できる最新のバージョンを用いて、一般社団法人Japan Innovation Networkによる和訳を行った。
・また、Innovation Management Systemに基づき、日本企業がイノベーションを創出するための必要箇所も抽出した。
前項で調査した事項を踏まえ、「日本流イノベーションの経営の型」として「価値創造活動のための行動指針(素案)」を、ガイドブック形式で作成した。
・「価値創造活動のための行動指針(案)」の内容と「価値協創ガイダンス」の内容の整合性を検討し、大企業が投資家に発信することが望ましいポイントの整理を行った。

「価値創造活動のための行動指針(素案)」

「価値創造活動のための行動指針(素案)」/調査結果を踏まえ、IMSの要諦に基づき、日本企業(経営者)が新価値創造のために実践すべき事項のフレームワーク(7つの問いかけ)を検討した

「価値創造活動のための行動指針(素案)」/7つの問いかけに基づき、価値創造のための12の行動指針を設定した(具体的な内容は、「別紙 価値創造活動のための行動指針(素案)」を参照)

◆経営者への7つの問いかけ
・なぜ、取り組むのか
・何を、目指すのか
・誰が、取り組むのか。
・何に、取り組むのか。
・どのように、取り組むのか。
・どのように、続けるのか。
・どのように、進化させるのか。

◆12の行動指針
・自社の理念・歴史を振り返り、差し迫る危機と未来を見据え、自社の存在意義を問い直す
・存在意義に基づき、実現したい未来価値を構想・定義し、価値創造戦略をつくり、社内外に発信する
・不確実な未来の中から、事業機会を探索・特定し、短期的には経済合理性が見えなくても、挑戦すべき事業に本気で取り組む
・経営者自らが、戦略に基づき、情熱のある役員と社員を抜擢し、常に、守護神として現場を鼓舞し、活動を推進する
・資金・人材等のリソース投入プロセスを、既存事業と切り分け、スピード感のある試行錯誤を実現する【意思決定プロセス・支援体制】
・経営状況に関わらず価値創造に一定の予算枠を確保し、責任者に決裁権限を付与する【財源・執行権限】
・価値創造にむけ、社内事業開発と社外連携を通じて試行錯誤を加速する仕組を設ける
・自由な探索活動を黙認すると共に、リスクを取り、挑戦した人間を評価する仕組を装備する【人材・働き方】
・小さく早く失敗し、挑戦の経験値を増やしながら、組織文化の変革に取り組む【組織経験】
・スタートアップや投資家に対して、価値創造活動を発信し、自組織の活動を支える生態系を構築する
・スタートアップとの対等な関係を築き、協創を行い、創業者精神を社内に育む【組織文化】
・経営者が価値創造活動を見える化(文書化)し、組織として反芻(はんすう)し、活動全体を進化させ続ける

「価値創造ガイダンス」との整合性の検討

「価値創造ガイダンス」との整合性の検討/本調査で整理した12の行動指針と「価値協創ガイダンス」の整合性の検討を実施した

「価値創造ガイダンス」との整合性の検討/整合性検討結果は以下のとおり(1/2)

「価値創造ガイダンス」との整合性の検討/整合性検討結果は以下のとおり(2/2)

「価値創造ガイダンス」との整合性の検討/(参考)価値協創ガイダンスの全体像

3.イノベーション経営の国内外への発信

3.イノベーション経営の国内外への発信/イノベーション経営にかかる発信として、METI経済産業政策局が主催する「SDGs/ESG投資研究会」においてイノベーション経営を議題として取り上げた

4.未来年表作り

4.未来年表作り/実施概要

5.オープン・イノベーション実践の場に関する実証調査

5.オープン・イノベーション実践の場に関する実証調査/実施概要

5.オープン・イノベーション実践の場に関する実証調査

別紙

別紙目次

別紙 価値創造活動のための行動指針(素案)

行動指針1

行動指針1:自社の理念・歴史を振り返り、差し迫る危機と未来を見据え、自社の存在意義を問い直す
これまでの成功体験による成長・存続が見通せない不確実な世の中において自社が存在し続けるためには、自社の方針を検討・判断する時に、常に立ち戻ることの出来る”ブレ”ない存在意義を持つ必要がある。さらに、存在意義に基づき、将来起こり得る外部環境変化を踏まえ、自社が将来も変わらずに提供し続ける価値を見直すことが重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・存在意義を見直しているが、自社のアイデンティティが明確になっていない(例:新しい価値の創造、社会貢献という内容にとどまる)
・自社内で将来の事業環境や自社にとっての危機を調査・検討してはいるが、存在意義と結びつけて経営方針にまで落とし込めていない

<課題克服のための具体アクション>
・自社の創業の歴史を紐解くことで時代を超えた自社のDNAやコアコンピタンスを明確にし、見える化する
・危機や未来を社内だけでなく、社外取締役や株主、有識者といった第三者の視点・支援も取り入れながら、長期視点で起こり得る世の中の潮流を洞察し、時代を超えた自社のDNAに基づき、将来(例えば20-30年後)に亘って事業活動を続ける上で重視する提供価値(ミッション)を規定する

行動指針2

行動指針2:存在意義に基づき、実現したい未来価値を構想・定義し、価値創造戦略をつくり、社内外に発信する
経営者は、自社のミッションを実現した時の社会像(未来価値:ビジョン)を設定し、その実現を推進する主体が具体的なアクションを取れるよう、方向性を示すことが重要。そのため、経営者は、実現したい未来価値の領域や価値創造への資源配分方針、部門間や社内外連携の考え方を価値創造戦略として策定することが望ましい。さらに、経営者は、これらを社内外に発信することで、社内のみに固執することの無い、柔軟な推進体制の構築を促すことも求められる。変わらずに価値し続ける価値を見直すことが重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・実現したい未来価値の具体度が低く、自社との関係が見えにくい社会善になっている
・価値創造のゴール、活動領域、自社らしさや差別化要素が定まっておらず、具体的なアクションが想起できない
・実現したい未来価値や戦略が現場社員や外部企業には伝わっておらず、思いを共にして活動できる社内外のパートナーが見つからない

<課題克服のための具体アクション>
・「自社だからこそ」目指す意味を経営が自ら語れるような未来価値を構想・定義する
・価値創造活動の実行チームがゴールと活動内容を設定する際に指針となるような価値創造戦略をつくる
・社内外のイベントやコミュニケーション媒体を通じて、経営者が自社の描く未来価値と価値創造戦略についてコミュニケーションを取り続ける

行動指針3

行動指針3:経営者自らが、戦略に基づき、情熱のある役員と社員を抜擢し、常に、守護神として現場を鼓舞し、活動を推進する
価値創造活動には、短期的な事業上の成果を期待することは出来ない。また、成果を出すことに固執するあまり、尖った事業アイデアが“無難な”アイデアに落とし込まれることも避けるべきである。このため、当該活動には“既存事業の基準で評価される人材”が適任とは限らず、推進主体の価値創造に対する情熱と経験値が重要な要素となる。さらに、このような価値創造活動の特性により、既存部門からの理解を得られにくいことも考慮する必要がある。経営者は、価値創造活動の特徴を理解し、自社の価値創造戦略に基づいた適切な人材を抜擢すると共に、彼らの守護神として、活動の奨励や価値創造活動の正
当性を社内外に発信することが重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・役員と社員を配置する際、既存事業のエース級人材を選んでいる。自分の目で、価値創造に対する役員・社員の熱意を確認していない
・価値創造活動報告に対し、「すぐに儲かるのか?」、「リスクはないのか?」と聞いている
・選定した役員・社員に価値創造活動を任せ、自分の時間を割いていない

<課題克服のための具体アクション>
・経営者自らが役員、社員とのコミュニケーションを取り、情熱を確認し、見極め、抜擢する
・価値創造活動の経営者への報告・フィードバックで「聞くこと/聞かないこと」を決める
・経営者が時間を確保し、現場に足を運び、生の状況を把握し、役員と社員に自らの言葉で情熱と戦略を伝える

行動指針4

行動指針4:不確実な未来の中から、事業機会を探索・特定し、短期的には経済合理性が見えなくても、挑戦すべき事業に本気で取り組む
新規事業は短期的な経済合理性がないので社内でも潰され易く、投資家にも理解されがたい。経済合理性の見えにくい分野(新規事業)、経済合理性のある分野(既存の基幹事業)のどちらも取り組むことが重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・既存事業と同様の時間軸で新規事業の収益性を評価してしまう。不確実な領域での事業は失敗するリスクが高いと捉え、確実な成長領域にしか投資しない
・短期的な経済合理性が見えにくい価値創造活動は既存事業部からの理解を得にくい

<課題克服のための具体アクション>
・事業機会として捉える領域の成功の“打率”と“打数”の考え方を既存事業と別にする
・既存事業部の役員に、短期的には経済合理性が見えない分野であっても、将来の事業機会になりうる分野を探索・特定させ、中長期の事業戦略へ組み込む

行動指針5

行動指針5:資金・人材等のリソース投入プロセスを、既存事業と切り分け、スピード感のある試行錯誤を実現する【意思決定プロセス・支援体制】
効率性と実行を重視する既存事業に対し、価値創造は創造性と探求を重視する活動が必要になるため、既存事業とは別に、価値創造のためのリソース投入プロセスを設け、各案件でスピード感ある試行錯誤を行うための支援体制の整備が重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・既存事業と同じ基準で案件評価が行われ、不確実性の高い案件は排除される。経営者の知見がない分野の案件は評価されない。評価に時間がかかる
・価値創造プロセスに案件が集まらない。プロセス内での案件の中止はマイナス評価、再チャレンジ不可。プロセス内で案件が滞留
・案件推進にあたり、必要な資金と人材が集まらず活動が停滞する。知財活用の観点で本社からストップがかかり活動が中止する。

<課題克服のための具体アクション>
・既存事業とは別に、価値創造のための意思決定プロセスを整備し、経営者の既存知見に基づく判断が難しい案件でもスピード感のある意思決定ができる体制を整備する
・ステージゲートプロセスを用いて段階的に案件を評価・管理するプロセスを設計し、多くの案件を拾い上げ、プロセス内での案件の試行錯誤を促進する仕組みを整備する
・プロセス内の案件がスピード感のある試行錯誤をできるよう、資金と人材、知財といったリソース投入を可能にする支援体制を整備する

行動指針6

行動指針6:経営状況に関わらず価値創造に一定の予算枠を確保し、責任者に決裁権限を付与する【財源・執行権限】
価値創造の実現には、数多くの案件に対して適切なタイミングで資金投入を行う必要があるが、経営状況の変化と通常稟議がそれらの阻害要因となる。そのため、経営状況に関わらず資金投入を可能にする予算枠の確保と、案件状況を理解する責
任者への決裁権限の付与が重要になる。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・価値創造活動費はコストと捉えられ、経営状況が悪化するとコスト削減対象として活動費が削られ、活動が停滞、停止する
・案件投資は稟議を通す必要があり、案件状況の社内説明用資料作成に多くの時間を要する。稟議に時間がかかり、投資タイミングが遅れ、活動スピードが落ちる

<課題克服のための具体アクション>
・価値創造活動を中長期投資と位置づけ、既存事業とは別に社内外の財源から専用の予算枠を確保し、持続的な活動を可能にする
・一定の金額と総額の中であれば、稟議なしで投資できる権限を責任者に付与し、各案件の進捗状況に応じて、適切なタイミングで資金投入できる体制を整備する

行動指針7

行動指針7:価値創造にむけ、社内事業開発と社外連携を通じて試行錯誤を加速する仕組を設ける
企業が持続的に成長していくためには、社内で新規事業開発が継続的に行われるようになる必要がある。一方で、自社のリソースだけで新規事業開発に取り組もうとしても、人材の不足やスピード感の欠如から、新規事業が軌道に載らないケースもある。そのため、社内リソースと社外リソースを適切に組み合わせ、新規事業開発を推進するべきである。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
既存事業部のP/Lを痛める案件や事業領域が複数部門にまたがる様な案件は、既存事業部へ移管できず、価値創造活動が中断してしまう
・社外連携が目的化しており、連携数は増えるが、案件が塩漬けになることや、期待どおりの成果が得られない

<課題克服のための具体アクション>
・社内外のリソースを活用し、既存事業部に移管することが難しい案件を育てる手段を複数用意し、価値創造に向けた試行錯誤を継続させる
・社外連携においては、自社の目指す姿と、自分たちが連携先に提供すること、期待することを明確にし、連携先に共有し、互いの将来の事業戦略をつくる
・活動開始前に、連携先と、段階的に活動を評価・管理するプロセスを決めて、活動期間を設定し、推進する

行動指針8

行動指針8:自由な探索活動を黙認すると共に、リスクを取り、挑戦した人間を評価する仕組を装備する【人材・働き方】
価値創造の成功確率を高めるためには、非線形な価値創造プロセスの活動量を増やし、その活動を絶やさないことが重要。また、価値創造活動量は推進主体の情熱の度合いに密接に関係する。経営者は、推進主体が自社の価値創造戦略と紐付いて行う活動を邪魔せず、情熱を維持出来る環境を整備することが求められる。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・推進主体が価値創造活動を行う時間がない。業務時間外にボランタリーベースで活動している
・社外プログラムやネットワーキングなどの活動一つ一つに、細かな説明を求められる
・価値創造活動を奨励しておきながら、失敗を許さない風土がある

<課題克服のための具体アクション>
・自社の組織文化に即した自由な探索活動を支援するルールをつくり、適用対象を決めて、活動内容を細かく管理しない
・価値創造活動の成果は、既存事業の評価基準(売上、顧客数、ROI、市場シェアなど)ではすぐに成果が見えにくいことを理解し、価値創造戦略に基づいた成功の予兆を見える化できる指標(挑戦に係る活動量、失敗からの学びと活かし方など)を設け、評価する

行動指針9

行動指針9:小さく早く失敗し、挑戦の経験値を増やながら、組織文化の変革に取り組む【組織経験】
リスクを回避し、継続した活動を前提とする既存事業に対し、新規事業開発では、素早く、積極的にリスクを取りにいくことが求められる。そのため、リスクある事業に挑戦することを善とする文化を社内に醸成する必要がある。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・自社内に自分の経験を基に、価値創造活動に関してアドバイス出来る人材がいない・少ない
・価値創造活動を募集する仕組みをつくったが、手を挙げる社員が少なく、提案数が減っている

<課題克服のための具体アクション>
・より多くの役員・社員に、小さく早く失敗する考え方と進め方を学ぶ機会を提供する
・小さく早く失敗し、挑戦出来る機会を与え、価値創造活動の経験者を増やし、組織文化として定着させる

行動指針10

行動指針10:スタートアップとの対等な関係を築き、協創を行い、創業者精神を社内に育む【組織文化】
社会課題ドリブンのアプローチやスピーディーな活動を行うスタートアップと協創することは、自社内に価値創造の機会探索といった活動をスピーディーに行うことの出来る文化・能力を醸成出来る可能性がある。これを実現するには、大企業とスタートアップが互いに win-win となるような協創環境や手段を、自社の組織文化や価値創造の経験値に応じて適切に採ることが重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・大企業にはスタートアップを下請けとして扱うマインド(権利帰属は大企業、瑕疵はスタートアップに持たせるなど)が残っており、スタートアップも大企業との協創に関して「スタートアップは使われる側」と見ている
・創業者精神を持ち、自発的に行動する社内人材が少ない・育たない

<課題克服のための具体アクション>
・NDAの締結や提携・委託等に関する契約において、スタートアップに見識のある法務人材を巻き込むことや、段階的に契約形態や契約内容を変更できる仕組を作るなど、大企業とスタートアップが互いにwin-winとなるように整備する
・スタートアップとの協創経験を通じて、創業者精神を持ち、自発的に事業機会探索に取り組める能力を養い、社内で活躍の場を与える

行動指針11

行動指針11:スタートアップや投資家に対して、価値創造活動を発信し、自組織の活動を支える生態系を構築する
変化が激しく不確実な市場では、競争優位を築くためにあらゆる資源を囲い込み、製品やサービスの生産効率を重視する従来型の方法では立ち遅れてしまう可能性がある。そのため、このような市場で競争優位を築くためには、スタートアップや投資家からの共感を獲得し、あらゆる資源がフレキシブルに組み合わさることで新たな価値創出をスピーディーに実現できる外部パートナーとのネットワークを構築することが重要。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・スタートアップを探しまわっているが、うまく協業できそうな企業が一向に見つからない
・投資家から短期収益への影響を指摘されることを懸念し、価値創造活動への経営資源の投資が不十分となり、活動が思うように進まない

<課題克服のための具体アクション>
・スタートアップが活用する外部イベントやメディアを見極め、積極的に自社の価値創造活動を発信する
・個々の価値創造プロジェクトのテーマや実施状況を公表することで、スタートアップが参画しやすい状態をつくる
・投資家が自社の価値創造戦略と活動の内容について理解できるような情報公開を行い、情熱をもった責任者自らが投資家へ説明する

行動指針12

行動指針12::経営者が価値創造活動を見える化(文書化)し、組織として反芻(はんすう)し、活動全体を進化させ続ける
効率的かつ持続的な価値創造活動を実現するには、個人が試行錯誤を通して得た知を組織の知として蓄積・活用できるよう見える化(文書化)することが重要。また、活動結果と内外環境変化に合わせて、活動全体を進化させ続けることも必須。

<企業が陥りやすい「あるある課題」>
・価値創造活動が属人的な活動に留まり、組織的な活動につながらない。経営者と推進責任者の交代が、活動継続の最大の懸念事項
・価値創造活動を加速する仕組みが、次第に使われなくなる。複数部署で多様な活動が展開され、組織内で活動重複が起きている

<課題克服のための具体アクション>
・経営層が、価値創造活動を組織の知として蓄積・活用できるよう、各活動を通じて得た知識やノウハウ、ネットワークを見える化し、活用を促す施策を展開する
・価値創造活動に対して、測定可能な指標(KPI)を設定し、測定・分析、評価を行い、活動と評価結果を見える化(文書化)する
・経営者が定期的に、活動評価結果と内外環境変化を踏まえて、社外取締役と共に活動全体を振り返り、ビジョン・方針の見直しと、より効率的な価値創造活動を実現する仕組みを再構築する

別紙 未来年表づくり

METI未来対話mapとは

METI未来対話map

1. 終わりなき学びジャーニー社会

終わりなき学びジャーニー社会
◇社会や暮らしはどう変わる?
AIに代替される職業が増えるなか、スキルやノウハウの高度化が雇用の確保・自己実現につながるという認識のもと、子供だけでなく社会人になってからも学び続けることが必要な時代になる。一生を通して人が学ぶための環境や設備の整備はますます進むだろう。
◇今まで
・学びは子供時代に終える
◇これから
・一生を通して学び続ける
◇検討したい問題・課題
・教育機関のあり方の見直し(学び直し制度の充実/産業界との連携強化/ 入学・卒業のタイミング 等)
・組織の次世代人材育成戦略の検討(サバティカル休暇/兼業・副業の普及定着/リタイアOB・OGとのネットワーク強化等
・雇用保険制度のあり方(これまでの失業対策から能力開発重視へ)。
◇参考にしたインプット
・2020年:小学校プログラミング教育の必修化(未来事象)
・2020年:産学官が協力して、ITスキルやリテラシーを高めるためのセミナーやトレーニングコンテンツを展開し、ITを活用した地域活性化や新たな就業機会創出を目指す(未来事象)
・多くの仕事は自動化により仕事内容が変化する可能性が高いため、労働者は仕事内容の変化に適応する必要がある(未来事象)

2. 小型低速モビリティで個人の活動が広がる時代

小型低速モビリティで個人の活動が広がる時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
自転車型から車椅子型、ローラースケート型に至るまで、小型低速モビリティが充実。個人の行動範囲が広がり、活動的な生活へ。特にシニアは地域の関わりや消費も盛んになる。
◇今まで
・日々の行動範囲と活動は身体能力により限界がある
◇これから
・身体能力により行動範囲が制限されず、個人の活動が活発に
◇検討したい問題・課題
・運転可能な場所の設定(施設内、歩道、車道)など道路・交通関係の法・ルールの整備が必要
・シェアリングやメンテナンスに関する法・ルールの整備が必要
・公道での走行に関する手続きの簡素化が必要
・徒歩を想定していた施設配置の見直しや駐車場所の整備など、都市・地域計画の再設定が必要
◇参考にしたインプット
・2025年:路面の凹凸を読み取って自動運転する低速カート式の公共交通が、静岡県磐田市で実現する(未来事象)
・2020-2025年:高齢者のためのオンデマンド公共交通が実用化する(未来事象)
・2030年:自動運転車が普及し、国内700万人の移動弱者がゼロになる(未来事象)

3. 外出が稀有な体験コンテンツ化する時代

外出が稀有な体験コンテンツ化する時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
eコマース市場の拡大やAI、VR技術などの進化により、実店舗でのショッピングや留学も含めた教室での学習、対面での会議といった需要が減少する。人々は、外出にはネット上で得られない体験を求めるようになるだろう
◇今まで
・ショッピングや学習、外部の人との会議は外出して行うのが中心
◇これから
・外出にはネットでは得られない「体験」を求める
◇検討したい問題・課題
・店舗型の小売業などの売上が低下するといった産業構造の変化が生じうる
◇参考にしたインプット
・2019年:eMarketerによれば、eコマース市場は2015年と比べて約2倍の3.5兆ドルまで拡大すると予想(未来事象)
・2020年代:高等教育界は欧米の有名校がEラーニング、新興国での分校設立などを進める。日本はこの仕組みに関与できず蚊帳の外
・サブカル~カルチャー系専門学校は滞在ニーズが大きいのに受け入れ体制の不備で機会損失(未来事象)

4. インフラメンテナンス自動化の時代

インフラメンテナンス自動化の時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
高度成長期に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化。現場の人手不足や増加するメンテナンスコスト抑制のため、
ドローンやロボット、センサー等の先進技術を用いたメンテナンスや新設が一般化し全国の現場が劇的に安全・快適になるだろう。
◇今まで
・人手とコストのかかるつらい現場
・インフラ老朽化による事故発生の可能性も
◇これから
・先進技術を活用した快適な現場
・安全で強靭なインフラ
◇検討したい問題・課題
・人口減少の中で、どのインフラを残し、どのインフラを捨てるべきか地域社会で判断する必要が出てくる。効率的管理に向けたインフラデータベースの構築も重要に
・建設業における担い手不足。自治体でも技術職員が不足し、中小自治体への支援体制構築も必要。
・AI、ロボット・センサー等の革新技術の実装(安全基準についての検討を含む)
◇参考にしたインプット
・2023年:建設後50年以上経過する社会資本の割合は、道路橋で約43%、トンネルで約34%、河川管理施設で約43%、下水道管で約9%、港湾岸壁で約32%(未来事象)
・2025年:建設業における技能労働者が、47万人~93万人不足する(未来事象)
・2020年代:ドローンや三次元データを駆使した建設プロセスにより2025年までに生産性2割アップを目指す(未来事象)
・2020年代:道路・トンネル・橋梁・上下水道など全てのインフラ台帳をデジタル化し、点検・補修作業におけるAIやロボット・センサー等の革新技術の採用を進める
これらにより、センサー等で収集した利用頻度や損傷度等のデータをもとに、必要度に応じたメンテナンスを実施する(未来事象)

5. 手ぶら生活社会

手ぶら生活社会
◇社会や暮らしはどう変わる?
今は保険証等が入った財布が買物や通院では不可欠だが、ゆくゆくは個人情報として顔など身体的特徴までもが集約され、生体認証を通じ代金の支払いなどができる
◇今まで
生活するためには財布など荷物が不可欠
◇これから
手ぶらで生活できるようになる
◇検討したい問題・課題
・個人情報の取扱の検討(法整備)
・生体認証技術の強化が必要。システムハッキングされる可能性が高まるため、予防する必要性
・大量のデータの管理主体の検討
・既存の金融業界にプラットフォーマーが参入(産業のあり方変化への対応)
◇参考にしたインプット
・2018年:生体認証を取り入れた決済の実証等が行われている(未来事象)
・2020年:行政手続のデジタル化(未来事象)
・2021年:マイナンバーカード普及がフィンテック、電子政府のカギ(未来事象)
・2025年:「誰でもどこでもキャッシュレス」(生活のあらゆる場面において、現金に依存することなく、簡単に、安く、安全に支払・送金ができる)(未来事象)

6. 人事は経験と勘からサイエンスへ

人事は経験と勘からサイエンスへ
◇社会や暮らしはどう変わる?
企業側の希望、個人の希望・スキル等を集めたデータベースとAIを用いたマッチングが拡大し、新卒・中途採用・人事配置を
はじめとする様々なミスマッチが解消され、労使双方にとって満足度の高い働き方が実現するであろう
◇今まで
経験と勘に基づいたマッチング
◇これから
マッチングは、AIが科学的に行う
◇検討したい問題・課題
・AIによるマッチングアルゴリズムの評価・改善方法の検討。不服が出た場合の対処方法の検討
・人員や予算、専門知識の限られた自治体や企業では導入のハードルが高い可能性
・想定外の人事で、組織の中での逆転人事が減り、組織の活性度が逆に停滞する可能性も
◇参考にしたインプット
・2020年代:AIが「スキル」「能力」分析の精度を高め、効果的にマッチング(未来事象)
・2020年代:AIを活用した学習効率の向上(未来兆し)
・2020年代:政府とコンサルが共同で、データ解析やデジタルツールを駆使した未来の仕事創造、人材育成の施設を創設(未来兆し)
・2040年代:記憶の移植が可能になる(未来兆し)

7. 失敗奨励社会

失敗奨励社会
◇社会や暮らしはどう変わる?
リスクの「見える化」が進み、ロボットなどあらゆる分野に保険市場が広がることにより、安心してトライ&エラーに取り組む基盤が整備される社会となるだろう
◇今まで
リスクを恐れて委縮・躊躇する社会
◇これから
リスクを恐れずに新たな取組ができる社会
◇検討したい問題・課題
・過去に実績のないイノベーションに対するリスクの定量化手法の確立
・挑戦しないリスクの可視化、人事評価手法の確立。社会全体でリスクへの挑戦を評価する風土の醸成
◇参考にしたインプット
・2020年:ロボット総合保険会社の登場(未来兆し)
・2020年:ウェアラブル機器を活用し、健康状態を細やかに評価することで、保険会社が個々人に適した保険を提案(未来事象)
・AI次世代ロボットに有用なデータを取得し、これを効果的に学習させ、有意な「学習済みモデル」を確立できるか否かが競争軸に(未来事象)

8. 企業が次世代教育を主導する時代

企業が次世代教育を主導する時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
第四次産業革命が進展し、ビジネスに必要な能力が急速に変化。従来の学校はその変化に対応できず、教育と企業ニーズにミスマッチが発生。企業は、有望な人材の「獲得」から「早期発掘・育成」する時代となるだろう
◇今まで
・教育と企業ニーズのミスマッチ
・人材争奪戦が過熱
◇これから
・企業自身が教育
・企業ニーズを満たす人材を育成
◇検討したい問題・課題
・企業が人材育成を主導する中、教育制度のあり方を再検討
・企業による教育に対する政府の関与のあり方を検討
・企業による教育の質の担保について検討
◇参考にしたインプット
・2017年:深刻なエンジニア不足の社会問題に対し、学びながら働けるダイソンの学校。学費負担なしで給与も支給
・2018年:個人のスキル・知識をシェアするサービスが発表される。スキルシェアでスキル格差が狭まる時代へ

9. 超富裕層特区による外国人誘致社会

超富裕層特区による外国人誘致社会
◇社会や暮らしはどう変わる?
日本は5つ星ホテルが少なく、海外の超富裕層を呼び込めていないとの課題あり。その解決に向けて、超富裕層にターゲットを絞った特区を地方につくる社会が到来するだろう
◇今まで
・平均層を狙った画一的サービス
◇これから
・富裕層を狙って個別にカスタマイズされたサービス
◇検討したい問題・課題
・日本の強みの再認識。観光政策の再構築
・超富裕層を受け入れるインフラ整備(超高級ホテルの建設、専用空港など交通インフラの整備、サービス人材の育成)
◇参考にしたインプット
・2020年:訪日外国人旅行数の目標:4,000万人(未来事象)
・2030年:訪日外国人旅行数の目標:6,000万人(未来事象)
・2030年代:大都市圏の中に、海外富裕層向けの不動産・観光や世界水準の教育機関等を誘致するコアエリアを指定(未来事象)

10. 「マイナリティ」という概念の消滅社会

「マイナリティ」という概念の消滅社会
◇社会や暮らしはどう変わる?
単身高齢者、外国人、LGBT等、現在では「マイノリティ」に位置づけられるグループの生活整備が進み、「マジョリティ⇔マイノリティ」という分類がなくなるだろう
◇今まで
・「マイノリティ」受け入れ先は限定的
◇これから
・自分にあったコミュニティ、場所を自分で選択
◇検討したい問題・課題
・マジョリティとマイノリティとの軋轢解消(生活環境、就労環境、社会保障等)
・言葉・宗教等に合わせたインフラ整備
◇参考にしたインプット
・2020年:LDKの外部化による街のイエ化が始まる(単身世帯の増加にともない、街には家族的なコミュニティ機能が求められるようになる)(未来兆し)
・2030年:外国人の円滑な居住先確保。保証人不要物件、ゼロゼロ物件だが、一月当たりの賃料が割高な物件を用意等(未来事象)
・LGBTツーリズム、携帯電話サービスの同性愛家族割引キャリア、LGBT老人ホーム(未来兆し)

11. 子育てを社会でシェアする時代

子育てを社会でシェアする時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
女性の社会進出や核家族化の進展により、夫婦のみで子育てを行う世帯が増加。他方、働き方の多様化やSNSの活用により、勤務体系が異なる人同士でベビーシッターを交代したり、SNSで子供の送り迎えをする人の募集をかけるなど、地域全体で子育てをシェアする世の中が到来するであろう
◇今まで
・子育ては家族内で行うもの
◇これから
・子育ては家族以外ともシェアして行うもの
◇検討したい問題・課題
・子育てをお願いできる、信頼できる人をどのように見分け、依頼するか(安全性の担保)
・子育て世帯と高齢者世帯の共助の機会や仕組みづくり(共働き世帯と高齢世帯のタイムシェアボランティアなど)
・学校や図書館、公民館などのコミュニティ拠点において、高齢者と子供が多世帯交流できる機会の拡大
◇参考にしたインプット
・2030年:シェアリングサービスの拡大(未来事象)
<共働き世帯と子育てツール>
・2018年:共働き世帯は年々増加
・2018年:送迎・託児の頼り合いのアプリなどもできる

12. 全員が地域課題に取り組む時代

全員が地域課題に取り組む時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
これまで地域コミュニティの中心だった「専業主婦」が激減し、アクティブシニアも地域ボランティアよりは仕事を継続することとなり、商店街・消防団・地域清掃・自治会・町内会活動等のコミュニティ維持活動は、住民全員で取り組んでいくこととなるであろう
◇今まで
・地域活動は、仕事をしてない、専業主婦や高齢者にお任せ
◇これから
・仕事の有無にかかわらず、小学生から高齢者まで、全員で参加(or全面的に外注化)
◇検討したい問題・課題
・女性と高齢者の就業率が高まった地域では、地域コミュニティ活動は、民間企業やNPOにアウトソースし、ますます連帯が脆弱化
・連帯を強く求める地域では、コミュニティ維持のためのボランティア活動が義務化されたり、住民税が引き上がるなど、二極化が課題に
◇参考にしたインプット
・2035年:消防本部の規模により、ピークの時期は異なるが、救急搬送人員数は全体として2035年まで増加する(未来事象)
・2040年:中山間地域では、集落機能の維持が困難になるような低密度化が発生するおそれ(未来事象)
<コミュニティによる活動の事例>
・岩手県二戸市門崎集落は、19戸の農家からなる水稲、りんどう、葉たばこ、野菜を組み合わせた複合経営の農村集落。1994年頃から、盆や正月に息子夫婦や孫が帰省しなくなったことに危機感を持ち、集落に若者が帰ってきやすくするための活動を開始。住民全員で集落をくまなく歩き、集落点検地図を作成し、強みと弱みを把握。年間15回にも及ぶ全戸参加の話し合いで計画をとりまとめ。「集落の景観づくり」「集落のふれあいの場づくり」「集落のコミュニティづくり」のための各種整備事業や年間を通じた幅広い世代が交流するイベントや都市住民との相互交流を実施。この結果、取組を始めた1996年以降、4名の若者が都会からUターン就農。集落の人口も減少することなく横ばいで推移(未来事象)

13. インドと中国が世界カルチャーを牽引する時代

インドと中国が世界カルチャーを牽引する時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
世界のトレンドの発信源は、ミラノ・パリ・ロンドン・ニューヨークであったが、中国やインドのグローバルでのプレゼンスが向上し、文化にも影響。食やファッション、エンターテイメントなどの文化流入が世界中で拡大し、アジアがトレンドを引っ張る時代に
◇今まで
・欧米文化が主流
◇これから
・インド・中国文化が主流
◇検討したい問題・課題
・日本の相対的な経済的地位は下がるが、文化的影響力は向上させる可能性があり、外交・知的財産戦略等の見直しが必要
・ビジネスにおいては、これまでの「欧米」中心の戦略からの脱却がさらに進み、マーケティング・販売拠点等の見直しが必要
◇参考にしたインプット
・2020年:中国経済が米国を抜いて世界第1位に。消費総額も世界の22%に(未来事象)
・2030年:中国語やヒンドゥー語が公用語の企業が5割を超える(未来兆し)
・2030年:米中両国のGDPは合計で世界の45%程度にもおよび、それぞれ日本の約4~5倍になる(未来事象)
・2035年:ASEANが情報発信地として世界の注目を集めるようになる(未来兆し)

14. オーダーメイド型農業時代

オーダーメイド型農業時代
◇社会や暮らしはどう変わる?
「食べたい人達」側のニーズに応じて、CtoCで直接農作物や食品がやりとりされるようになる。直接個別契約で信頼できる農家と消費者の関係が主流に。自分の生体情報による作物のオンデマンド注文も
◇今まで
・供給側が主導権を握る農業
◇これから
・生活者ニーズから始まる農業
◇検討したい問題・課題
・安全性担保のため、ブロックチェーンや情報を監視する技術や需要の予測精度を高める技術の開発等が必要
・プラットフォーマーがCtoCも囲い込む可能性が強くなり、既存の流通事業者の存在価値の再定義
◇参考にしたインプット
・2030年代:消費者ニーズを把握・共有するスマートサプライチェーンが構築される(未来事象)
・2030年代:農業の生産・流通・販売の効率化(未来事象)
・2030年代:誰もが取組やすい農業(未来事象)
・2030年代:生産・流通・販売の連携・効率化(未来事象)

15.生活習慣病ソリューション輸出立国へ

16.海外近距離化社会

17.クルマが社会インフラになる時代

18.あらゆることがつながる時代

19.受身消費社会

20.格差拡大により不安定化する社会

21.誰もがプロジェクト単位で働く時代

22.リアルとバーチャルの二重生活社会

23.AIとの共存による自分アップデート社会

24.全員先生・全員生徒の寺小屋社会

25.誰でも地域伝道師社会

26.再生可能エネルギーが支える暮らし

27.国土をシミュレーションによって最適に有効活用する時代

28.国がオークションをしかける時代

29.ホームメイド食物の時代

30.エンドレス病気社会

31.事故・災害リスク自動回避社会

32.ナノ・コントロール医療社会

33.リアルタイム監視社会

34.善良な行動履歴が主要な経済価値へ

35.子どもがビジネスリーダーになる時代

36.「暇」が社会問題になる時代

37.国を越えたコスモポリタン教育社会

38.AIがパートナーになる生活

39.労働力のマルチプレーヤー化

40.人が住まなくなる地域だらけの時代

41.タワマン廃墟社会

42.身体機能の拡張がスタンダードになる社会

43.人が空を飛んで通勤や通学する時代

44.車が「家」になる社会

45.民族・価値観単位の経済圏形成時代

46.介護不要時代

47.AI統治社会

48.“死者”が生き続ける社会

49.水資源希少化社会

50.メガとしばかりの世界

別紙 オープン・イノベーションの実践の場に関する実証調査

問題意識

1. 中長期視点での政策立案環境の必要性
(個別のタマ志向に流されない、骨太な世界観の提案が今後は必要になる)
2. 若手職員等を中心としたボトムアップでの政策立案基盤へのチャレンジ
3. 一省庁、国と地方、官と民を超えて、お互いが未来社会を築くメンバーとしての対話を行う場の重要性 (未来は他者によって描かれるものではなく自分と共同体でつくるもの)
4. スタートアップ、NPO、科学者など、外部の最先端知見の組織的な取込みの不足
5. ワークショップや対話型政策形成を行うための物理的な「場」の必要性 *先進事例参照

目的と概要

未来対話ルーム

組織内外の多様な関係者が集まり、対話型で未来の経済社会システムの政策立案の議論を行う「場」(フュチャー・センター)

①未来社会について、チャタムハウスルールを適用して身分や肩書を超えた議論を慫慂
②官と民で対話型での政策形成を実践する「場」
③最先端のビジネスモデル、科学技術、社会課題等を語る人材を招聘、省内の情報センサー機能
④ボトムアップ型で政策形成行うための人材育成機能

・未来社会を語る、創る
・肩書や身分を捨て、本音を引きだす
・生煮えでも、アイデアを形にし、対話し、修正し、また、創る
・政策作りの肥やしとなる場(新しい価値の発見(人、アイデア、気づき))
・中と外のバウンダリー的な場

空間のコンセプト

未来対話ルーム 「Suna‐Ba」をイメージした空間

・大人によってある程度計画された、安心で創造的な遊び場
・集まりたくなる場所で、アイディアを出し合い共創する場
・野中郁次郎先生の知識創造理論(「場」の理論)の実践
・産政局が挑戦している規制のサンドボックスの実装

3つのゆるやかなゾーニングによるオープンスペース

A. シナリオ/未来対話マップを中心に身体知を使う
B. ダイアログ/テーブルを囲んだアナログな対話(付箋・模造紙)
C. フォーカス/様々な情報を扱いデジタルな共創

場の使用イメージ①

場の使用イメージ②

プログラム・マネジメント方法

1. 先端知識習得/未来ディスカッション

有識者を招いて未来対話マップを「政策を考える前の論点整理ツール」として活用、どんな論点がありうるかをディスカッションする。ゲストは学識経験者(未来学者、経済学者、機械学習・AI研究者等)NEDO、KHK、産総研や他機関における専門家を想定。

2. 先端知識習得/未来を先取る人と話そう

作成されたシナリオを深く理解し、それが起こる社会を迎え入れるためのアクションを抽出する。シナリオの1つをテーマとして取り上げ、そのシナリオを先取りしている実践者を呼んで行うmeetup形式のプチワークショップを行う。

3. 新視点抽出/未来年表対話セッション

未来年表を作成・活用している企業や他省庁の方と、省内の未来年表プロジェクトチーム及び関心がある人を集めてセッションを開催。未来年表のブラッシュアップだけではなく、両者の年表を活用した政策立案の足掛かりとする。

4. 新視点抽出/仮想次世代会議(VR活用)

現時点の政治的意思決定の場に、将来世代の利益を代表するアクターを現出させるフューチャーデザイン。仮想将来人として思考することで、より持続的な社会をデザインすることが可能になる。

5. 新視点抽出/地域未来の100年ライフデザイン

経産省が2018年に行った調査事業「みんなの人生100年プロジェクト」のアウトプットを活かし、100年人生を前提としたときの個人・社会のライフデザインについて、官民連携で社会実装までを目指す。

6. 人材育成/若手向けの研修

新人研修や2年目研修での新政策立案研修の際に使用。新政策立案研修において、これまでは「法案の検討」がテーマであったが、法案に限らず、将来を見据えた論点整理や対応する政策の立案の検討が必要。さらに、対話型政策立案の人材を育成していく。

7. 人材育成/朝活勉強会

短時間で学べること、お互いに学びあえるような気楽な勉強会。朝食を食べながら、コンテンツは持ち寄りながら持続的に開催する。

運営プログラム案

8. 人材育成/OIアカデミー

オープンイノベーション(OI)を実践するための、リーダーシップ、ファシリテーション、各種必要スキルが習得できるアカデミー。グローバルトレンドの収集も含め、最先端の知見と有効な手法を実践を通して学ぶことができる。

9. 新視点獲得/高校生ナイト

現役高校生が集まり、未来/社会/産業について、企業や官僚に意見をぶつけまくる夜会。企業側にとってはリアルな高校生の話を聞けることが参加モチベーションに。内容は簡単なブックレットにまとめ発信&アーカイブしていく。各産業の論点とそれに対する高校生の視点を掛け合わせて政策立案へ。

10. 知識連結/地方経済産業局との意見交換

経産省の重要な情報源である地方局の中の問題意識の高い若手に参加してもらい、地方の現場を知っている職員から見ると、ミクロではこういう点が問題になりうるという話を語ってもらう。

11. 知識連結/調査報告共有会

課内の取組、所管している政策、委託調査報告書等の共有会を定期的に開催。省内に死蔵してしまっている情報を活用し、複合的な知識を持つことで、新しい政策立案の観点を広げる。各種調査報告書なども共有する。

12. 知識連結/未来対話ランチ

カジュアルに継続できる学び・ネットワーキングの創出。毎週異なる1つのシナリオをテーマに掲げて、そのシナリオに関係のありそうな記事、製品、文献などを紹介しあい、ランチを食べながら気軽に話して意見交換を行う。

13. テーマ共創プロトタイプ/官民フューチャーダイアログ

専門家による官民共創プログラムの実施
定期的にテーマオーナーを募集し、プログラムをパッケージ化。テーマに合った人選と参加者を募り、セッションを開催、アウトプットとして政策形成につなげる。

運営プログラム案

【人材育成】オープンイノベーション・アカデミー 2019(案)
対話型政策立案や省内外の交流、官民によるオープンイノベーションを推進するための、基礎知識や必要なスキルを習得。グローバルトレンドの収集も含め、最先端の知見と有効な手法を実践を通して学ぶ。講師はオープンイノベーションは先駆的実践者や研究者など。

◆オープンイノベーションの基礎知識
・オープンイノベーションの潮流
・国内外動向
・「場(BA)」の理論
・構想力と目的工学

◆イノベーションリーダーシップの技術
・イノベーションリーダーシップとは
・目的工学の実践例
・デザイン思考を学ぶ
・ファシリテーションの技術

◆フューチャーセンターの実践
・官民FCトライアル
・共創型プロジェクトの実装
・企業FCへの短期インターンシップ
・リビングラボへの参画

運営体制案

場のプロトコル/チャタムハウスルール等

◆チャタムハウスルール
会議の参加者に遵守が求められることがあるルールの一つ。 イギリスのシンクタンク、チャタムハウス(王立国際問題研究所)で採用されたことに由来する。 チャタムハウスルールの下では、参加者は会議中に得た情報を外部で自由に引用・公開することができるが、その発言者を特定する情報は伏せなければならない。

◆未来志向の対話のためのルール
・相手を尊重し、未来のために思考する
・自己のバイアスに囚われない(真摯に聞く)
・1人の発言はなるべくコンパクトに
・否定的・評論家的な発言はしない
・メンバー全員の知恵を引き出す
・なるべく可視化、ビジュアル化する

◆フューチャーセンター利用規約
省外の参加者を受け入れる場合は、記録の際の肖像権や、ワークショップ等の秘密保持および知的財産保護など、基準となるルールを開始前に示す必要がある。

評価方法 KPI

組織内外の多様な関係者が集まり、対話型で未来の経済社会システムの政策立案の議論を行う「場」(フーチャーセンター)

組織内外の多様な関係者が集まり、対話型で未来の経済社会システムの政策立案の議論を行う「場」(フュチャーセンター)

【Purpose: 目的】
・中長期視点での政策立案
・スタートアップ、NPO、科学者など外部の最先端知見の組織的な取込み
・ボトムアップでの政策立案基盤づくり
・官と民で対話型での政策形成の実践

【People: 人々】
・経産省内若手職員(未来年表PJ)
・経産省内職員のゆるやかな運営コミュニティ
・他省庁の若手職員や連携テーマの関係者
・スタートアップ、NPO、科学者などイノベーター
・外部のイノベーションパートナー

【Performance: 変化(KPI)】
◇定量
・参加者数(内/外)
・プログラム実施数
・コラボレーション数

◇定性
・新しい視点や方向性の獲得
・新しいスキルの獲得
・関係性やテーマ創出
・人財の成長

望まれるアクティビティ
【Place: 空間(場)】
〇審議会や研究会を補完するためのワークショップを開催
―有識者15~20名程度と職員10名程度が複数グループでフランクで本音の議論を行う
〇省内の新政策検討の際に、未来年表を活用して中長期視点での議論に活用
―未来年表を活用して省内職員(若手)で議論を行い、政策課題の特定や課題解決策を検討
〇国内外の有識者等による「未来」のインプットに活用
―30~50名程度の規模で、最先端のビジネスモデル、科学技術、社会課題等を語る人材を招聘して、勉強会、BBLや小規模セミナー等を開催
〇省庁横断で連携して政策を議論する場として活用
―1省庁のみで解決することが難しい政策課題(例:モビリティ、ヘルスケア等)について、複数省庁横断で連携し、課題解決策を検討する
〇ベンチャー企業や大企業の新事業創出部門等と霞が関の連携拠点として活用
―外部センサーとして、大企業とベンチャー、ベンチャーとエンジェルなど、新たな事業創造のマッチングやその場で出た課題解決に経産省職員が即座に対応する場として活用
・インプットだけではなくアウトプットもこまめに。聞くだけではなく若手職員がプレゼンしフィードバックをもらう
・各省庁の横のつながりの場。それぞれの政策や調査、未来感を共有
例:月1でテーマを決めてディスカッションする(スタートアップ、ヘルスケア、中小企業)
・産業構造は今後も同じではない。業種横断的な産業構造変化をはかる人をよぶ。

空間の機能要件
・人が集まるマグネットパワーとしての「未来対話マップ」参加者によってアップデートされるダイナミックなもの
・50人程度のワークショップがスムーズに開催できる
―セミナーやピッチ(ステージや演台)
―グループディスカッションやプロトタイピング
―ホワイトボードなどのツール
・アドホックなミーティングが可能
・場のホスピタリティ(多様な人たちがここに来たくなる)
―ドリンクやお菓子
―ガジェットや書籍など
―安全で創造的な場の雰囲気

【Program: 行程】
・ランチョン勉強会
・ベンチャーとのディスカッションイベント
・有識者/科学者とのディスカッションイベント
・アカデミー(ファシリテーションスキル等の獲得)
・若手職員向け研修(未来志向、政策立案スキル)
・高校生プログラムや大学との連携
・官民連携プログラム

【Process: 方法】
・スタート時は定期的にゆるやかなイベントを開催
・内外の持ち込みイベントの開催
・外部FCとのプログラムのタイアップ
・省庁横断の若手同期コミュニティの活動場所

【Promotion: 展開】
・スタート時は省内への広報がメイン
・口コミ、イベントを通してファンを増やす

(参考)オープンイノベーションの場の先進事例

BLOX HUB (デンマーク)
コペンハーゲンの中心部に2018年5月にオープンした産学官民連携のオープンイノベーションセンター。都市のイノベーショ
ンを目指し、デザインセンターなど国家組織、ベンチャーやスタートアップなどの民間企業、各種ラボ、教育施設、住居やカフェ、カンファレンスやギャラリーもある市民に開かれた場。

BLK71&79 A*STAR (シンガポール)
A*STARは科学技術研究の監督・支援を行う法定機関として2002年に設立。バイオテクノロジー、情報通信、エレクトロニ
クスなど特定の分野に集中した研究開発政策を進める中、人材育成、研究開発の強化、国際的な人材交流や共同研究の
促進、マッチングや知的財産管理なども行っている。

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