14人の起業メンターアドバイス付!福岡イノベーション模様とは

先日、ある経営者と話をした時、「日本は、完全に衰退期に入っていますね。将来的には、真剣に海外移住を検討しています」という話が印象的でした。実際税率が安いシンガポールを始め、一部日本の富裕層が海外へ出て行っています。

語学力と資産がある市民層の海外流出を防ぎ、日本社会が再度活性化するには、個人的には大きく3つのポイントがあると思います。それは、イノベーション促進による経済活性化と雇用の創出、累進課税と相続税で3代でゼロになる現行税制の変革、移民の受け入れです。つまり、エコシステムの強化、起業モチベーションの仕組み、リソース確保です。

今回の企画書で興味深いのは、シリコンバレーでは当たり前のことですが、起業成功者がメンターとなって指導教育に関わっている内容が開示されていることです。マネーフォワード、ドリームインキュベータ、元日本アジア投資、法律事務所といった起業に必要な経験とノウハウ保有者と起業予備軍とのマッチングの試みは、今後更に加速すると思われます。

 

【目次】
1. 今回の企画書の特徴
2. 『平成26年度補正「先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業(ITベンチャーのスタートアップ促進事業)」「②先輩起業家等によるスタートアップ支援モデル実証事業」‐調査報告書‐』から学ぶ
3. 表紙
4. 目次
5. 調査報告書の概要
6. IT起業家候補・駆け出しベンチャーと先輩起業家等とのマッチング報告
7. 起業・スタートアップを促進する環境・イベント開催に関する報告
8. カリキュラム・マニュアル作成報告
9. 総括と課題

 

1. 今回の企画書の特徴

今回の企画書は、福岡エリアにおけるイノベーションエコシステムの状況がよくわかる内容です。注目すべきポイントは、アメリカのように起業に成功した先輩ビジネスマンがメンターとして、その心構えから実践ノウハウまで伝授する点です。ポイントとなるキーワードを、以下に記します。

・福岡市は、グローバル創業・雇用創出特区
・革新的なStart Upに対する支援体制
エコシステム
・起業家が起業家を生む好循環
メンター
シード期における金融的な支援
日本政策金融公庫の創業融資
スタートアップアクセラレータ
ベンチャーキャピタリスト
エンジェル
・オープンイノベーション
・StartupGo!Go!実行委員会
・西日本鉄道

 

2. 『平成26年度補正「先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業(ITベンチャーのスタートアップ促進事業)」「②先輩起業家等によるスタートアップ支援モデル実証事業」‐調査報告書‐』から学ぶから学ぶ

では、株式会社ディー・ブレイン九州が作成した企画書を以下具体的に見ていきましょう。

3. 表紙

第1章 調査報告の概要
1.1 背景と目的
福岡市は「グローバル創業・雇用創出特区」に指定されたこともあり、多くのIT企業を中心とした起業が活発になってきている。しかし、創業を促進するイベントなどは活発に行われているものの、起業後に実際にビジネスを世界に向けて立ち上げていこうという革新的なStartupに対する支援体制は整っているとは言い難い。

特にシード期における金融的な支援としては、日本政策金融公庫の創業融資や資本性ローンに依るところが多く、スタートアップアクセラレータやエンジェルがほとんど存在しない地方においては、東京に行くしかないというのが現状である。

また、東京においては多くの大企業がオープンイノベーションに積極的に取り組みを開始しているが、九州においてはまだそのような動きが本格化していない。今回のアクセラレーションプログラムはこれらの課題に対して、先輩起業家等とStartupGo!Go!実行委員会、日本政策金融公庫、西日本鉄道が連携することで、革新的なStartupを成功に導く解決策を提示するものである。

福岡市の中心地に位置する「天神から」世界を目指すStartupを生み出すアクセラレーションプログラムを開始し、「グローバル創業特区」に指定された福岡市における民間主導のインキュベーション事業として起業家が起業家を生む好循環を創りだし、エコシステムを構築することを目的としている。

革新的ベンチャーを生み出しているシリコンバレーでは、卓越した能力を持つ人材の企業に対し、事業開発資金として少額出資を行い、起業成功者がビジネス構築のノウハウを伝授するスタートアップアクセラレータが多数存在しており、起業家が起業家を生む好循環を形成している。

九州でもベンチャーに出資するVCはあるものの、東京に比べると格段に数が少ないのが現状である。東京においては創業時にリスクマネーを供給するエンジェルやスタートアップアクセラレータが多く存在し、起業家が起業家を生む好循環を生み出しつつあるように思われる。

創業を促進する取り組みが活発で起業家が増え始めている地方こそ、スタートアップアクセラレータの継続的な取り組みとファンドを組成するなどリスクマネーの供給能力の獲得が求められているといえよう。

1.2 実施内容
IT起業家候補・駆け出しベンチャーと先輩起業家等のマッチングを行い、ビジネス構築などのアドバイスを行うメンタリングにあたっては、次のような方針を基に先輩起業家等の選定を行った。StartupGo!Go!などのイベントを通じてすでに関係のある先輩起業家等、東京の第一線の方、九州を代表する方を中心に人選し、Startup 企業にとって今後の事業展開に重要な影響を与えるような人脈を提供することを主眼に置いた。

先輩起業家等による研修を開催し、指導・相談対応を行った。プログラムマネージャー、ディレクター、サブプログラムマネージャー、コミュニティマネージャーも参加し、フォローアップを行っている。個別の相談に対しては、別途先輩起業家等との面談の機会を設定して指導・相談対応(メンタリング)を行った。

必要に応じてプログラムマネージャー、コミュニティマネージャーが先輩起業家、専門家と協力してネットワークの提供、メンタリング、事業開発・製品開発の指導、マーケティングの支援、法律・税務等の相談等を実施した。資金調達の相談については連携先である日本政策金融公庫が創業融資、資本性ローンなどの対応を行った。

IT起業家候補・駆け出しベンチャーの募集においては、過去の StartupGo!Go!のイベントに参加した起業家や、日本政策金融公庫福岡創業支援センターが相談対応をしている起業家などを中心に募集を行い、30人ほどの起業家をプログラムの参加者として登録、研修プログラムを提供した。

平成27年10月にDEMO DAYを開催し、投資家等とのマッチングを行った。起業・スタートアップを促進するイベントを数多く開催した。これらのイベントにおいては海外で活躍する最先端の情報をもったStartup起業家、エンジェル、シードアクセラレーター、ベンチャーキャピタリスト等の招聘を行い、スタートアップが生まれ、成長を促進する環境の創出を図った。

起業・スタートアップを促進する環境の提供として、平成27年6月から福岡市の中心地天神において、西日本鉄道が保有する賃貸ビルを改装してコワーキングスペース「天神 COLOR」をオープン。入居者は事前に審査を行い、革新的なITを主体としたStartupを対象として入居を認めている。原則としてアクセラレーションプログラムへの参加を行うこととしている。

委託事業の連携先である西日本鉄道は、鉄道事業、商業施設の運営、不動産事業、旅行事業など多岐に渡る事業分野を持っている。西日本鉄道に対する事業提案を競う「西鉄オープンイノベーションコンテスト」を開催し、オープンイノベーションの促進を図るとともに、Startupと大企業との協業の可能性を探った。

西鉄オープンイノベーションの模様

1.3 実施体制
九州最大のスタートアップイベントを実施した「StartupGo!Go!実行委員会」(事務局 株式会社ディー・ブレイン九州)、イベントの共催者である日本政策金融公庫福岡創業支援センター、「平成27年6月に天神にコワーキングスペースを開設した西日本鉄道の 3者がパートナー契約を締結して実施した。

実施に当たっては、以下のような人員体制を中心に行っている。

<事務局・プログラムマネージャー>
StartupGo!Go!実行委員会実行委員長、株式会社ディー・ブレイン九州代表取締役社長 岸原稔泰
全体の統括及び Startup の募集・指導相談対応、先輩起業家との調整、専門家との調整、イベントの企画等を行った。

<ディレクター>
日本政策金融公庫福岡創業支援センター 所長代理 中原健
プログラムの企画立案、Startupの募集・指導相談対応、先輩起業家との調整、専門家との調整、イベントの企画、ウェブの運営管理、広報等を行った。

<サブプログラムマネージャー>
黒川合同会計事務所 税理士 寺井博志
プログラムマネージャー、ディレクターの補助。

<コミュニティマネージャー>
StartupGo!Go!実行委員会 安達誠寛
コワーキングスペースに常駐し、コワーキングスペースの運営管理、入居者の募集、入退去の管理、Startup企業の状況把握、Startup同士の連携を図るとともに、プログラムの企画立案、Startupの指導相談対応、先輩起業家との調整、専門家との調整、イベントの企画、ウェブの運営管理等を行った。

<アドバイザー>
西日本鉄道 都市開発事業部本部ビル事業部営業第二課
コワーキングスペースでのコミュニティの形成支援、プログラム構成の検討、西日本鉄道内の調整等を行い、プログラム全体にアドバイスを行った。

第2章 IT起業家候補・駆け出しベンチャーと先輩起業家等とのマッチング報告
2.1 アクセラレーションプログラムの実施

第1回メンター/株式会社マネーフォワード 代表取締役 辻 康介氏
開催日時/平成27年7月9日(木)18:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/12名
実施内容/講演フリーディスカッション(質問形式)
実施概要/創業時の資金調達方法及び使途について、創業時のメンバー編成、集め方、事業化に向けての取り組み方向性の合わせ方、サービス開発などについて、プログラム参加者からの質問を基に回答する方式で実施。0から1を創りだすところが大変。Must haveのサービスを創ることが大事。

ターゲットを具体的に設定することで、サービス内容が洗練される。初期ユーザーを集めることは、すごく大変。資金がなかったので、メディアの人に会って、売り込むことで、露出につながったなどのお話をいただいた。

第2回メンター/REAPRA PTE.LTE CEO 諸藤周平(SMS創業者)
開催日時/平成27年7月14日(火)18:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/11名
実施内容/講演、個別メンタリング4者
実施概要/講演では、事業化するにあたって考慮している点として、レッドオーシャンではないこと。マーケットが成熟しておらず、その後の拡大が期待でき、さらにプレーヤーいないこと。絶対あるはずだということを数値化して、ニーズとマネタイズの仮説を立てる。提供価値が何かで、マーケットサイズを設定する。いくつかのプロダクトをminimumの資金で走らせて、実証実験をして検証する。といった話をいただいた。

その後の個別メンタリングでは、グループウェアを開発している企業に対してグローバル化のアドバイス、医療分野での事業展開を考えている企業に対して業界の特性についてのアドバイス、パソコン周辺機器を製作しようという企業に対してパテント戦略についてのアドバイス、東南アジアでマーケットプレイスを展開しようとする企業に対していかに競争優位性を保つかといったアドバスと海外での人脈を紹介いただいた。

第3回メンター/株式会社ドリームインキュベータ シニアマネージャー 田上和宏氏
開催日時/平成27年7月25日(土)講演 13:00 メンタリング 15:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/10名
実施内容/講演、個別メンタリング4名
実施概要/講演では、投資家の視点として、回収手段はIPOかM&A。大きなポイントはビジネス面と経営者(実行力)、ビジネス面として、現状分析、市場規模、特化しているか、アセット積上げ型か、フック(差別化)と回収エンジン(収益化)は何か、将来の変化への対応を考えているか。

高校の同級生である孫泰蔵氏はいち早くスマホのゲームが主流になることを読んでいたといった話をいただいた。個別メンタリングでは、サブカルチャー分野のIoT企業に対して資本政策のアドバイス、顧客評価システムの開発会社には、ターゲッティングについてアドバイス、動画を使った塾展開を行っている企業には、どのような価値を提供して差別化するかのアドバイス、コスメ分野で起業した会社には、アプリによる事業展開についてのアドバスなどを行っていただいた。

第4回メンター/コイニー株式会社 代表取締役 佐俣奈緒子氏
開催日時/平成27年8月7日(金)15:00~17:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/13名
実施内容/講演、個別メンタリング2名
実施概要/日本は海外に比べ、決済方法の種類が多い一方で、使える場所が少なかったので、全国どこでも使える決済方法を創り、決済環境をかえたいと思い、コイニー㈱を創業した。人材採用にあたってはブログを閲覧し、気になる人にアプローチしたほか、友達に紹介を依頼した。

人を口説く秘訣は、悪いこと、出来ないことをオープンにすること。金調達する際は、事業がVCにあうのか、エンジェルに合うのか、間接金融に合うのかを検討した方がよい。スモールビジネスに対する営業戦略は、足を使った営業の方が効率的と考えている。当社のサービスは、提携先が売ってくれている。

個別メンタリングにおいては、顧客評価システムの開発会社に対して、プレゼンテーションの方法として、プロブレム、ソリューション、ビジネスモデル、技術、マーケティング、競合、チーム、マイルストーン、タイムライン、スケジュールの順に説明するとよいといったアドバイス、現金による電子書籍の決済システムを提供する企業に対しては、業界の慣行やビジネスモデルなどの質問に対してアドバイスをいただいた。

第5回メンター/セカイラボPTE.Ltd COO 大熊 一慶
開催日時/平成27年8月28日(金)18:00~19:30
開催場所/天神COLOR
参加人数/6名
実施内容/講演
実施概要/オフショア開発の元請になり、自社開発、または外注している。オフショア開発は、立ち上げに時間がかかる、また、コミュニケーションコストが高い。オフショア開発の問題の9割は、コミュニケーションであり、発注者が精密に目的、内容等を説明することが大事である。10人規模になった際に、問題点の共有が困難になった。次の壁は、30人規模。規模が大きくなるにつれ、ビジョンの共有が難しくなったといった話をいただいた。

第6回メンター/株式会社ヌーラボCEO 橋本 正徳氏
開催日時/平成27年9月15日(火)メンタリング 18:00、講演 19:30
開催場所/天神COLOR
参加人数/9名
実施内容/個別メンタリング5名、講演
実施概要/個別メンタリングにおいては、グループウェアを開発する会社には、受託から自社プロダクトへの移行に対するアドバイス、全国の特産物集めたマーケットプレイスを開発する会社には、初期のユーザー獲得方法についてのアドバイス、サブカルチャー分野のIoT企業に対してはユーザー対応についてアドバイス、謎解きアプリを開発する企業に対しては初期ユーザーの獲得について詳しい人脈の紹介、東南アジアでマーケットプレイスを展開しようとする企業に対してはユーザーインタビューについてのアドバイスをいただいた。

講演については、初期ユーザーの獲得にメディアが有効であったこと、海外展開の方法、ペルソナの検証の方法などについて話をいただいた。

第7回メンター/元日本アジア投資ベンチャーキャピタリスト(現中国銀行)石元 玲氏
開催日時/平成27年9月19日(土)メンタリング 13:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/3名
実施内容/個別メンタリング3名
実施概要/個別メンタリングにおいては、東南アジアでマーケットプレイスを展開する企業に対して決済手段、資本政策のアドバイス、コスメ分野で起業した企業に対しては、アプリによる事業展開についてアドバイス、現金による電子書籍の決済システムを提供する企業に対しては事業の方向性に関してのアドバイスをいただいた。

第8回メンター/本荘事務所 本荘修二氏
開催日時/平成27年9月26日(土)メンタリング 13:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/6名
実施内容/個別メンタリング6名
実施概要/WiFiのシェアリングサービスを展開する会社に対して、ユーザーの獲得方法についてアドバス、顧客評価システムを開発する企業に対して、誰に対してソリューションを提供するのかを明確にするようアドバイス、デーティングアプリを開発する企業に対しては、サービスの提供方法、ユーザーの獲得方法についてアドバイス、ハンドメイド商品のキュレーションサイトを運営する企業に対しては、初期ユーザーの獲得についてアドバイス、プレゼンデータの自動生成システムを開発する企業に対しては、マネタイズに対するアドバイス、リモートワークをキュレーションしたサイトを運営する企業に対しては、メディアとしての展開方法などについてアドバイスをいただいた。

今回のメンタリングについては、主にDEMO DAYに出場する企業を中心にプレゼンに向けたブラッシュアップを目的として行った。

第9回メンター/Goodpatchアカウントマネージャー、UXデザイナー佐宗純氏
開催日時/平成27年10月9日(金)16:30
開催場所/天神COLOR
参加人数/17名
実施内容/講演、ワークショップ
実施概要/ビジョンとしてハートを揺さぶるデザインで世界を前進させるを掲げている。事業内容としてはUIデザイン、サービスデザインを軸にしたデザイン制作、開発を行っている。

ワークショップにおいては、ペルソナ役のユーザーを実際に用意して、考えたコンセプトやプロトタイプに対して繰り返しフィードバックをもらい反映させる、つくっては修正する、PDCAサイクルを高速で回す開発手法を学んだ。

第10回メンター/阿部・井窪・片山法律事務所 服部誠弁護士
開催日時/平成27年10月20日(火)講演 19:30
開催場所/天神COLOR
参加人数/10名
実施内容/講演
実施概要/契約書をしっかりと締結すべき。口頭でも契約は成立する。見積もりやチャットなどでも、内容によっては合意があったとみなされる。しかし後日争いになることも。報酬の金額・方法を明確に。請負は完成をすることを前提、費用も含む。委任は業務をすること自体を請け負ったのか。委任か請負かは実態をみて判断する。中途解約になった場合、出来高に応じて報酬が請求できるような条文を入れておく。委任の場合は条文が入ってないと請求できない。完成を目的とするか、部分部分で業務を行ったとするかが争点になる。

下請法では、著作権は下請事業者にあるとしている。デザインも少し変えただけも著作権違反に問える。支払い遅延が発生した場合は、迅速かつ執拗な催促をすることが大事といったお話しいただいた。

第11回メンター/リープマインド株式会社 代表取締役 松田 総一氏
開催日時/平成27年10月23日(金)講演 19:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/17名
実施内容/講演
実施概要/Deep Leaningは、ニューラルネットワークの超パワーアップ版。ニューラルネットワークは神経回路。Google が YouTubeの動画をランダムに見続けることで、ネコの概念を獲得した実験が有名。DLは自己学習してINPUTするところが大きな違い。

ニューロンの繋がりの「重み」を判断して出力、違っていれば立ち戻って再出力。次元を深くしていくと、データが抽象的な形になっていくことで概念を覚えさせる。抽象化すると計算量が減る。概念を覚えさせるには、Teachが必要。なぜ必要になってきたのか?クラウド以前とデータの量・複雑さが変わってきている。画像解析はいいアルゴリズムなどが日々開発されて実用化が進んでいる。次は音声認識でデータ量、処理能力が増えていく、さらに進むと自然言語処理。統合知能と進んでいく。差別化の要素としてはデータ量。といったお話しをいただいた。

第12回メンター/Femto Growth Capital LLP ゼネラルパートナー 磯崎哲也氏
開催日時/2015年11月19日(木)19:00~21:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/30名
実施内容/個別メンタリング2名、講演
実施概要/個別メンタリングにおいては、登山者向けのアプリを提供している企業に対して、投資家の視点でどのような点について見ているかアドバイス、WiFiのシェアリングサービスを展開する企業に対して、マーケットサイズによる企業価値の評価などについてのアドバイスをいただく。

講演においては、株式とはどう山分けするかという経済的権利、会社をコントロールする権利。エンジェルと思ったら悪魔だったということもある、自分の一部を分けることに等しい。株式はベンチャーにとっての最大の武器、創業者が持っている株式はベンチャーの打てる残りの弾の数である。

ベンチャーファイナンスの特異性、90年代までは金融機関がVCをやっていた。アメリカも70年代は同じだった。セコイヤやジョンドーアなどがでてきて事業に詳しい人たちがVCをはじめてきた。アメリカも昔はM&Aに批判的だったが現在はM&Aのほうが多くなっている。日本もいずれそうなる。M&Aで儲かった人はまた起業する人が多い。それはベンチャーがもっともエキサイティングだから。エンジェルとして投資する人も多い。といった話をいただいた。

第13回メンター/株式会社アドライト 代表取締役 公認会計士 木村 忠昭氏
開催日時/2015年11月19日(木)19:00~21:00
開催場所/天神COLO
参加人数/5名
実施内容/個別メンタリング5名
実施概要/個別メンタリングにおいては、謎解きアプリを展開する企業に対しては、ビジネスモデルについてのアドバイス、現金による電子書籍の決済システムを提供する企に対しては誰に対するソリューションであるかといったアドバイス、登山者向けのアプリを提供する企業に対しては、資本提携先、スケールの方向性などについてアドバイス、グループウェアを開発する企業に対しては、資本政策についてのアドバイス、東南アジアでマーケットプレイスを展開する企業には、投資家に対するプレゼンテーションについてのアドバイスをいただいた。

第14回メンター/DRAPER NEXUS VENTUE PARTNERS,LLC マネージングディレクター 中垣 徹二郎氏
開催日時/2016年1月8日(金)メンタリング 14:00 講演 16:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/講演30名
実施内容/個別メンタリング3名
講演実施概要/個別メンタリングにおいては、東南アジアでマーケットプレイスを展開する企業に対して現地でのマーケット調査の重要性についてのアドバイス、個人間の不動産流通支援サイトを展開しようとする企業に対しては、サービスのコンセプトの構築についてのアドバイス、簡易的にサイトを立ち上げられるCMSを展開する企業には、マーケティングに関してのアドバイスをいただいた。

講演においては、スタートアップは破壊的イノベーションの源泉。実行リスクが高くて市場リスクが高い事業があるとして、その両方のリスクを取れるのはスタートアップのみ。すべての事業分野において新しいDisruptionが始まる。CVCが、物凄い伸びてきている。コマツ、クラレ、日立ソリューションなどの事例の紹介。オープンイノベーションを成功させるためには、Startupと大企業の役割分担についての正しい見解、中長期かつ戦略性ある活動が必要といった話をいただいた。

第3章 起業・スタートアップを促進する環境・イベント開催に関する報告

3.1 起業・スタートアップを促進する環境の提供
平成27年6月に福岡市の中心部に位置する明治通りビルにおいてコワーキングスペース「天神COLOR」がオープン。西日本鉄道が所有しているビル。レンタルオフィス、学習室として活用しているビルの2Fを改装して開設。運営を StartupGo!Go!実行委員会、日本政策金融公庫と連携して行うこととなった。

「天神から世界を目指す」Startup を生み出すことを目的としている。アクセラレーションプログラムを同年7月から開始し、創業後の成長に向けた支援を行う。

<施設概要>
【場 所】 天神明治通りビル2階(福岡市中央区天神 1 丁目 15-5)
【面 積】 119.97 m²(36.29 坪)
【営 業時間】24時間利用可能
【付 帯設備】デスク、椅子、ロッカー(有料)、給湯室、トイレ、空調、Wi-Fi 環境
【募 集人員】27名
【使 用料】
《フ リ ― 席》 月額12,000円(税別)
《固 定 席》 月額15,000円(税別)
《商業登記》 月額+5,000円(税別)
※1 共益費 月2,000円。入会費1ヶ月分。ロッカー使用月1,500円。
※2 1年更新、契約更新は最大2年まで。

「天神 COLOR」オープニングセレモニーの開催
開催日時/平成27年6月1日(月)式典 14:00、ピッチ 15:00、懇親会 17:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/70名
来賓 福岡市長 高島宗一郎氏、西日本鉄道 取締役 専務執行役員, 高崎 繁行氏、日本政策金融公庫 福岡支店支店長 池隅剛志氏

3.2 起業・スタートアップを促進するイベント開催
(1) StartupGo!Go! in 北九州
開催日時/平成27年5月23日 13:00 ワークショップスタート、14:30 イベント開始
開催場所/fabbit(北九州市小倉北区)
参加人数/ワークショップ10名、イベント50名
開催内容
基調講演/株式会社グルーブノーツ代表取締役社長 最首 英裕氏
講演概要/「新たなビジネス領域としてIoTがキーワードになることが増えています。数多くのIoTビジネスに関わっている経験から、実験ではなく、現実にIoTをビジネスにしていくということはどのようなことなのか。ビジネスはどのように変化しつつあるのか。これまでの常識が大きく変わろうとしているなか、経営者として何を考え、行動すべきなのか」について講演いただいた。
ピッチ 九州工業大学 佐藤 寧教授、JOYAS CEO 内村 康一氏、Reif Co., Ltd. 竹本良美 取締役。
ネットワーキングパーティーワークショップにおいては「IoTとオモチャ」をテーマにアイデアソンを実施した。

(2) Supecial MonthlyGo!Go!
開催日時/平成27年6月10日(水)19:00
開催場所/福岡市スタートアップカフェ
参加人数/30名
開催協力/株式会社サムライインキュベート
開催内容/「Startupが一緒に働くということ」をテーマに開催

リソースが限られたスタートアップ。限られたリソースを最大化するためには、スタートアップ同士が協力することが必要。そのためにシード期においては、コワーキングスペースでの協働が有効といわれている。コワーキング、インキュベートの先駆けであるサムライインキュベートの両角氏と、支援企業である株式会社tritrue共同創業者CTO廣瀬誠氏にパネルディスカッションを行っていただいた。また、6月からスタートしたアクセラレーションプログラム&コワーキングスペース「天神COLOR」の内容説明会を実施。

(3) アメリカへ Go!Go!
開催日時/平成27年7月11日(土)16:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/50名
開催趣旨/サンフランシスコ・シリコンバレー視察に参加したStartup関係者がその経験、感じたこと等をセミナー参加者に共有し、福岡のエコシステム構築をさらにすすめることを目的とする。
【主催】StartupGo!Go!実行委員会
【協力】福岡市スタートアップカフェ、福岡地域戦略推進協議会(FDC)
【後援】福岡市
開催内容
スペシャルゲスト講演 btrax ブランドン片山ヒル氏
基調報告 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 執行役員九州カンパニーカンパニー社長 鎌浦慎一郎氏「アメリカGOGO日記」視察参加者によるパネルディスカッション高島市長のコメント

(4) アニス・ウッザマン氏へのピッチ、Kyushu Startup Pavilion(KSP)2015
開催日時 平成 27 年7月 30 日(木)ピッチ 16:30、KSP19:00
開催場所 ピッチ:天神COLOR、KSP:エルガーラホール
参加人数 アニス・ウッザマン氏へのピッチ3名、KSP250名
【ピッチ主催】StartupGo!Go!実行委員会
【KSP主催】トーマツベンチャーサポート株式会社株式会社ドーガン
【KSP主催】福岡市、StartupGo!Go!実行委員会
開催内容
アニス・ウッザマン氏へのピッチ(開催場所 天神COLOR)

基調講演 Fenox Venture Capital 共同代表パートナー&CEO アニス・ウッザマン氏
スタートアップ ピッチ 株式会社炭化、株式会社セフリ株式会社リーボウミーベ株式会社株式会社ユニゾンシステムズ、有限会社QPS 研究所、株式会社トゥトゥモロウ

(5) MonthlyGo!Go! Aug with FECC
開催日時/平成27年8月1日(土)16:30
開催場所/福岡市スタートアップカフェ
参加人数/30名
【共催】福岡市雇用労働相談センター(FECC)
開催内容
いつでも弁護士に無料で相談ができるという、スタートアップ支援事業を行っているFECCとのコラボ企画として開催。「優秀な人材を東京から福岡へ」をテーマに開催。
パネルディスカッション「東京からの優秀なスタートアップ人材の獲得」
パネリスト
株式会社グルーヴノーツ 会長 佐々木 久美子氏
株式会社グッドラックスリー CEO 井上 和久氏
ウミーベ株式会社 CEO カズワタベ氏
プレゼンテーション1「成長を目指すベンチャーの幹部人材採用ルール」
株式会社アマテラス 代表取締役社長 藤岡 清高氏
プレゼンテーション2「採用・引き抜きにおける”落とし穴”」
FECC 代表相談員 弁護士 田邊 俊氏

(6) Special Go!Go! with Samurai & Tech in Asia
開催日時/平成27年8月20日(木)17:00
開催場所/石蔵酒造 博多百年蔵
参加人数/50名
【協力】株式会社サムライインキュベート、Tech in Asia
開催内容
なぜ、起業したのか??
なぜ、その業界を選んだのか??
なぜ、エコシステムは重要なのか??
なぜ、その場所を選んだのか??
なぜ、上手くいくと思ったのか?
先輩起業家に加え、日本のNo. 1インキュベーター、サムライインキュベート、シンガポールを拠点に活動するTech in asiaからゲストを招き、福岡のスタートアップとともにスタートアップの「Why」を切り口にこれからのスタートアップの在り方に迫った。

Tech in asia プレゼン
Tech in Asia chief editor for Japan and South Korea JEFFREY QUIGLEY 氏
パネルディスカッション1
Tech in Asia chief editor for Japan and South Korea JEFFREY QUIGLEY 氏
Lingua Franca Holdings Pte.Ltd 代表 藤山英昭氏
モデレーター 株式会社サムライインキュベート 寺久保 拓磨氏

Tech in AsiaのWEBサイト

基調講演
ピクシブ株式会社代表取締役社長 片桐 孝憲氏
パネルディスカッション2
ピクシブ株式会社代表取締役社長 片桐 孝憲氏
株式会社落し物ドットコム 代表取締役 増木 大己氏
モデレーター 株式会社サムライインキュベート 両角 将太氏
ピッチコンテスト
株式会社 Qurate、シェア WiFi 株式会社、株式会社ぺんぎー、株式会社 anect、ドレミングアジア株式会社、株式会社ぽちっとかんぱにーネットワーキング

(7) 天神COLORアクセラレーションプログラム DEMO DAY
開催日時/平成27年10月3日(土)17:00
開催場所/九州大学 大橋キャンパス 多次元ホール
参加人数/320名
開催内容/天神COLORアクセラレーションプログラムに参加するStartupによるピッチコンテスト。在京のVC担当者が10社以上参加し審査員を務めた。

出場Startup21社
anect株式会社、Doreming asia株式会社、合同会社Essence、株式会社Medy、株式会社ジョイアス、株式会社thee moment、テラスマイル株式会社、株式会社ELGAME、株式会社キャンディ、株式会社Qurate、シェアWiFi株式会社、株式会社フレクションコンサルティング、 株式会社ホットエージー、エナリズム、SEREAL、株式会社コラボプラネット、株式会社リフラックス、パルメクス株式会社、DIA、remoru

参加ベンチャーキャピタル12社
K&P パートナーズ、グロービス・キャピタルパートナーズ、ドリームインキュベータ、サイバーエージェントクラウドファンディング、ベンチャーユナイテッド、YJキャピタル、DBJキャピタル、プライマルキャピタル、サイバーエージェントベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタル、NECキャピタルソリューション、みずほキャピタル

※本イベントは「StartupGo!Go!2015~尖レ~」の同時開催イベントとして開催された。

(8) StartupGo!Go! in 熊本
開催日時/平成27年11月23日(月)16:30
開催場所/未来会議室
参加人数/40名
【共催】未来会議室
開催内容
メインスピーチ 「起業でもなんでもいまの時代に大切なこと」勝屋 久氏
熊本出身の経営者によるパネルディスカッション
株式会社IBJ代表取締役副社長中本 哲宏氏
株式会社エスケーホーム代表取締役社長瀬口 力氏
モデレーター K&P パートナーズ株式会社代表取締役 松村伸也氏

ピッチコンテスト8社
Palmex、Hidamari、オーケープランニング、あきまろ舎、内村氏、フロンティアビジョン、林和文氏、ジョイアス

(9) Get in the Ring National Final
開催日時/平成27年12月18日(金)17:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/30名
開催内容
Get in the ring は2012年にオランダで生まれた、オランダ政府公認の団体が運営するスタートアップを支援するためのイベント。ピッチの場を提供し、勝ち残ったスタートアップにはさまざまなサポートを提供する。

Get in the ringは地方決勝、国内決勝、地域決勝、世界決勝となる。今回は福岡にて国内決勝にあたるJAPAN FINAL を開催。 優勝者には1月に韓国で行われる Regional Final の出場権を得る。さらにそれも勝ち残れば、今年はコロンビアで行われる決勝へ。1対1のボクシング形式によるピッチ対決の結果、ローバーと株式会社フレクションコンサルティングが平成28年1月21日に韓国で行われるResional Finalへ出場することとなった。

(10) ハッカソン、地域スタートアップ支援機関連携イベント
開催日時/平成28年1月20日(水)ハッカソン15:00、連携イベント18:00
開催場所/天神COLOR
参加人数/10名
開催内容/ハッカソンでは、未踏OBであるテクニカルロックスターの部谷氏をモデレーターとして、自社が開発した IoTプラットフォームであるMilkcocoaを使った事業開発をテーマに開催した。

地域スタートアップ支援機関連携イベント。Startup Go! Go!と(一社)未踏においてはそれぞれ、ITスタートアップ企業の発掘・育成に取り組んでいる。

「地域スタートアップ支援機関連携イベント」として、天神を拠点とした起業家育成プログラム「天神 COLOR」を実施しているStartup Go! Go!と、未踏のOB/OG人材等の会員ネットワークを有する(一社)未踏の取組をご紹介し相互連携を通じた地域活性化を目指すと共に、イベント終了後の交流会等を通じて参加者の皆様のビジネス機会の拡大を目指して開催した。

(11) IPO&Startup セミナー
開催日時/平成28年1月22日(金)15:00
開催場所/福岡証券取引所
参加人数/40名
開催内容
基調講演 「Fintech の衝撃~テクノロジーが変える金融の未来」
株式会社マネーフォワード取締役 マネーフォワード Fintech 研究所長 瀧 俊雄氏
パネルディスカッション
赤れんが法律事務所 弁護士 杉山 央 氏
株式会社アカウンティング・アシスト 公認会計士 茂田井 純一氏
岡三証券㈱ 企業公開部長 小塚 正樹氏
株式会社ジャフコ 九州支社長 山形 修功氏
福岡証券取引所 営業部 牛島 亮太氏
モデレーター 重見公認会計士事務所所長 公認会計士 重見 亘彦氏

3.3 オープンイノベーションの促進
九州においては、まだ大手企業とStartupが協業するオープンイノベーションが進んでいない。コワーキングスペース「天神COLOR」の開設、アクセラレーションプログラムの運営を通じえ連携している西日本鉄道に対して、Startupがビジネス提案を行うビジネスプランコンテストを開催し、九州では初となる大手企業による本格的なオープンイノベーション推進、Startup支援イベントを開催した。

(1)「西鉄オープンイノベーションコンテスト」開催概要
運営体制
【主催】西日本鉄道、StartupGo!Go!実行委員会
【後援】福岡市、日本政策金融公庫
応募資格
下記①は必須条件とし、加えて②または③のいずれかを満たすこと
[1] 設立7年以内のベンチャー企業
[2] IT関連技術を有する企業
[3] 西鉄グループと事業の連携が可能な企業
選考基準
革新性、事業及びマーケットの成長性、西鉄グループとの連携の実現可能性など。
スケジュール
平成27年11月27日(金) 募集開始
平成27年12月18日(金) プレエントリー締切
平成28年1月12日(火)「鉄ッカソン」(西鉄社員とのアイデアソン)開催
平成28年1月12日・13日 ブラッシュアップ
平成28年1月15日(金) 最終締切
平成28年1月29日(金) 最終選考(ピッチコンテスト)
開催場所 西鉄グランドホテル
開催内容 スタートアップによるピッチ(プレゼン) 、パネルディスカッション

審査員
(審査委員長)本荘事務所代表 本荘 修二氏
株式会社ドリームインキュベータ シニアマネージャー 田上 和宏氏
日本政策金融公庫 創業支援部ベンチャー支援GL 永沼 智佳氏ほか、西鉄グループより数名
パネルディスカッション「オープンイノベーションで変わる大企業と起業家の関係」
株式会社からくりもの 代表取締役社長 岡本 豊氏
株式会社グルーヴノーツ 代表取締役会長 佐々木 久美子氏
西鉄エム・テック株式会社 取締役 米田 幸司氏
モデレーター StartupGo!Go!実行委員長 岸原 稔泰

11社のファイナリストの中から以下の通り最優秀賞と優秀賞、特別賞を授与した。

ファイナリスト11社
株式会社Liquid、株式会社スカイディスク、イジゲン株式会社、株式会社オフィスat、株式会社みらいDeやさい、株式会社ビッグバン コーポレーション、株式会社アイコトバ、株式会社Qurate、リーボ株式会社、株式会社thee moment、LeapMind株式会社
最優秀賞 LeapMind株式会社
優秀賞 株式会社Qurate株式会社thee moment
特別賞 株式会社オフィス at

第4章 カリキュラム・マニュアル作成報告
本委託事業を通じて実施してきたアクセラレーションプログラムを踏まえて、スタートアップの起業時における成長加速のためのプログラムとしては、先輩起業家からのアドバイスが非常に有効であることが明確となった。

それは、最先端の事業分野を開拓しようとする起業家にとって同じような分野で事業経験のある起業家の話を聞くことが多くの気づきを得るものであり、そのような気づきを与えられるのは自ら新しい事業領域を切り開いてきた起業家であるということであると言える。

また多くのスタートアップに対して投資をしてきたベンチャーキャピタリストや経営幹部であった方々からも、多くの貴重なアドバイスをいただいている。成功・失敗を繰り返す起業家に寄り添いながら様々な苦難をともに乗り越えてきた方々の話も、創業間もない起業家にとって大変参考になる貴重なアドバイスをいただくことができた。

アクセラレーションプログラムを実施してきた結果、以下のようなカリキュラムを構築し、短期間(3か月程度)の間に週1回全12回程度の講義・メンタリングを創業間もない起業家に対してプログラムを提供することが、成長加速のために有効であると思われる。

また、本委託事業の中で現在の福岡の起業家が置かれている状況などを考慮して、どのようなスキル・教育が必要かを、IT人材の教育、起業家の育成などを手掛けている特定非営利活動法人AIPに委託して調査した。調査研究の結果、次のようなカリキュラムを実施することも有効であると考えられる。

①起業家向けカリキュラムの構築の検討(特定非営利活動法人AIP調査から抜粋)
福岡市はその地理的な特徴(九州の商業・工業・政治の中心地、アジア地区へのアクセスの利便性 等)から、九州他県・山口から多くの人材が流入する近年成長目覚しい地域である。

2014年(平成26年)には国から国家戦略特別区域として選定され「グローバル創業・雇用創出特区」として、創業の支援と雇用の創出に取り組んでおり、さらなる注目を集めている。

起業を支援するための法律・資金・設備・フォロー人材は、特区指定後様々な場面・場所等で整ってきており、実際の起業事例も増えてきている。 起業に関して、起業前・起業後に必要となる知識やスキル等の教育は上記と合わせて行われているが、ICT(情報通信技術)の活用を含んだ総合的な教育はあまり行われていない状況となっている。

起業(スタートアップ)にはビジネスプランや人材等ももちろんながら、具体的な行動のスピードが必須である。ICTは、その行動スピードやビジネスそのものを大いに助けるものである。様々な起業に関する条件等が整ってきた現状だからこそ、総合的な育成のための仕組みが必要であり、ICTを含む教育カリキュラムが必要だと考える。

起業にあたっては、ビジネスプランを構築する、そのプランを実現(具体化)する、ビジネスを継続していく、等が必要となる。これらを実現するには、前述のICTの活用も含めて以下が必要だと考えられる。

a)市場・ユーザのニーズ把握、マーケティング(コミュニティ活用) b)思い描く案(ビジネスプラン)の具体化 c)企業運営(経営・経理・人事) d)行動の手法(マネジメント・ファシリテート)e)ICT 理解・活用。

a)市場・ユーザのニーズ把握、マーケティング(コミュニティ活用)
市場・ユーザが何を求めているのかを把握することが、新たな価値・既存以上の価値を提供するためには必要である。また把握の後、その価値を市場やユーザに伝えていくためにマーケティングに関する知識や手法理解が必要となる。

現代においては、ニーズ把握やマーケティングにはソーシャルメディア (SNS)や個人が集まって目的・目標等を共有して行動するコミュニティも力 が大きく無視できないものがある。古典的マーケティングやSNSについての教育はすでにある一定数あり、カリキュラムではまだあまりまとめられてないコミュニティに関するものを構築に含む。

b)思い描く案(ビジネスプラン)の具体化。自らが思い描くビジネスプランを具体的な形にしていくことは必須である。マインドマップ等の手法による、思考の見える化や構造化によってプランを具体化する。

c)企業運営(経営・経理・人事)。起業後は当然ながら事業を継続していくことが求められる。経営・経理に関しては特に小規模起業の場合は起業者本人が行わねばならず、経営手法のみならず簿記等に代表される経理知識等も必要となる。

手法や知識を学んだとしても、実際に経営を始めなければ理解し辛いことが多々ある。カリキュラムでは「会社」というものを、「経営」「経理」というものを、実際に経営者にならないと体験できない部分を疑似体験できるカリキュラムとする。

また、起業後に規模を拡大していく上で、人材の雇用が発生すると思われる。効果的な採用は相手のスキルや人間性の把握だけではなく、その後の会社運営を見据えた取り組み・準備が必要である。そのためには起業段階から、組織の人事ポリシーや評価基準等を意識・準備することが必要となる。 カリキュラムでは、人事に関する内容も含むものとする。

d)行動の手法(マネジメント・ファシリテート)
起業後ビジネスを進めていくにあたって、様々なプロジェクト(スケジュールが有限な取り組み)を運営していく必要がある。運営・マネジメントにおいてはプロジェクトの基本であるPMBOKを理解することは必須ではあり、近年マネジメントだけでは十分でなく、ファシリテートも必要であるといわれている。

カリキュラムでは、マネジメントとファシリテートをそれぞれ構築に含むことで「成功」し「幸せな」プロジェクトを実現する方法を学ぶ。

e)ICT理解・活用
すでに記述したように、現代の起業においてはICTの活用は必須である。クラウドパワーによって過去のICTシステムのようにゼロベースで全て構築していく時代は終わり、既存のサービスとの連携や活用も視 野に入れることが大事になってきている。

当カリキュラムでは、クラウドの基礎知識や最新の開発手法、品質について学ぶ。

(1)サービス構築・運営を支えるDevOps入門
開発と運用の壁を取り払い、ITサービスの品質やリリースを格段に向上させる概念をDevOpsと言う。

DevOpsを活用すると、クラウドインフラ環境を自動化させ開発とのシームレスなプラットフォームを作ることで、新しい形のシステム管理が可能となる。講座ではクラウドインフラ環境をモデルとして従来型のドキュメント指向ではなく、DevOpsで使われるInfrastructure as a Codeを中心にインフラ環境の自動化を、実際に環境構築をしながら理解していく。また社内への導入、顧客への提案をするための知識や導入モデルを理解し、ケースワークを通じて全体像を学習する。

(2)経済とコミュニティ
ビジネスにおいて、人と人との繋がりは必須と言うのは昔から変わりない。それが現代において、SNS等の力もあり、その繋がりは多種多様になり、さらに重要度を増している。講座では、リアルとSNS等を活かした新しい繋がりに関して、実際に福岡での多くのコミュニティに深く関わり、県外や、海外にも繋がりを持つ講師が、現状や活動のコツ、今後のビジネス(経済)としてコミュニテ ィの可能性について紹介する。

(3)実践型プロジェクトマネジメント
PMBOKをベースとして、プロジェクトとはそもそもどういったことを指し示すのか、理想的なプロジェクトを行うには何が必要なのかを学ぶ。 また受注側のみならず発注側からの視点や、双方の留意点をグループワークを通じて体験・理解していく。

実際のプロジェクトの例なども豊富に取り入れ、見過ごしがちなポイン ト等を理解していく。

(4)プロジェクトを円滑に進める プロジェクトェクト・ファシリテーション
プロジェクトをマネジメントする上で、マネージャやリーダーがチームに対してどのようにかかわるか、プロジェクト・ファシリテーションの視点から意識すべき点や具体的な方法を習得する。具体的な技術とその実践例の紹介と解説は座学を中心に行い、その内容を実践的に得るために体験型の演習を交えて行う。

(5)実体験で経営を学ぶマネジメントゲーム
マネジメントゲームは、経営シミュレーションを通して経営戦略・経営 用語をゲーム感覚で学ぶことができるビジネスゲームである。「会社」というものを、「経営」「経理」というものを、実際に経営者にならないと体験できない部分を疑似体験することができる。

3期の会社経営を行い、会社の仕組み、営業センス、決算処理など、会社 経営の流れを一通りすべて経験し、体感することで経営者感覚を磨いていく。

(6)組織の評価と運営、人事マネジメント
チーム運営、組織運営、企業経営には、人材をどのようにマネジメントするかが重要なポイントである。経営ビジョンや理念が重要な様に、人材の育成・評価・処遇などに一貫性を持たせる人事ポリシーを持つことも重要となる。

実在の企業をケースメソッドとして、参加者でディスカッションをおこない人事ポリシーをつくり、人事において重要なポイント等を学んでいく。

第5章 総括と課題
StartupGo!Go!実行委員会(事務局:株式会社ディー・ブレイン九州)と西日本鉄道、日本政策金融公庫が連携して、本委託事業を 11か月にわたって実行してきた。スタートアップコミュニティと大手電鉄会社、政策金融機関の連携という組み合わせも全国にない珍しい組み合わせであったが、結果的に地域におけるスタートアップ支援体制として非常に有効に機能したのではないかと思われる。

スタートアップにリーチしているコミュニティに対して、地元の信用ある大手企業がリソースを提供し、創業初期の資金調達を政策金融機関が提供するという組み合わせは絶妙の組み合わせであったと言える。

先輩起業家やVCなどの専門家を招聘するにあたって、西日本鉄道が開設したコワーキングスペース「天神COLOR」を拠点として利用できたことは、本委託事業の遂行に非常にプラスに働いた。やはり拠点があることで求心力が生まれ、熱意ある人が集まってくるという効果があるものと思われる。

今回アクセラレーションプログラム、各種イベントに多くの先輩起業家、専門家にお越しいただいた。彼らの多くは、自らが受けてきた先輩起業家等からのアドバイスや人脈の紹介が今の事業の立ち上げに大きく貢献しており、自らが受けた恩を感じ、次に続く起業家に対しても同じく支援をしようという思いで、快く我々の要請を受けていただいた。また、福岡市が「グローバル創業・雇用創出特区」に選ばれ、実際に起業家が多く表れていることもあり、地域的に注目を集めているのであればと、遠くからも福岡に足を運んでいただいた。

現代のスタートアップにとって、最先端の事業分野を自ら切り開いて失敗を繰り返しながらも事業を推進している先輩起業家の生の話を聞き、アドバイスをもらえることは、何よりも事業の推進に有効であったものと思われる。

メンタリングを受けたスタートアップの中には、アドバイスを受けてピボットした者や、紹介してもらった人脈で取引を獲得した者、紹介をしてもったメディアへの掲載などに繋がっているものも少なくない。また、ビジネスの経験が少ない彼らにとって、弁護士による法務の講義、公認会計士による資本政策の講義などは、スタートアップの経営を行っていくにあたって基本的な知識を得るために必要不可欠なものと思われる。

今回のメンターを選ぶにあたっては、地元の方を中心にするのではなく、なるべく東京、海外でも第一線で活躍する方々にお越しいただくよう尽力した。地方のスタートップにとって、東京や海外などのスタートアップとの情報格差は大きな課題である。

スタートアップの世界では、最新の情報をいかに早く取得できるかが重要である。そういった情報は起業家同志、専門家によるスタートアップコミュニティの中にいなければ得られないことも多い。そういった情報格差をなくすためにも、東京、海外で活躍する第一線の起業家、専門家に地方に来てもらうことは非常に重要である。

また、目線を上げるためにも、大きくビジネスを展開している方に直接話をしてもらうことも重要であろう。シリコンバレーでも、身近にいる彼ができるなら自分でもできるはずだといった意識を持てる環境が重要だといった話も聞いた。そういった意味でも第一線の人材の話を直接聞ける、交流する機会をつくることは、とりわけ地方においてスタートアップを活性化するために重要であると思われる。

世界的なスタートアップブーム、国家戦略特区の指定もあり、福岡でスタートアップが盛り上がっていることは間違いない。今後の課題としては以下のような項目があげられる。

1. 福岡市以外の九州の地方都市への波及
2. シード・アーリー期におけるリスクマネーの供給
3. オープンイノベーションの推進
4. 海外、特にアジアへの進出、アジアからの起業家、投資家の受け入れ

1. 福岡市以外の九州の地方都市への波及
我々は今回、福岡市だけではなく、北九州や熊本などでもスタートアップイベントを開催した。これは、福岡市だけが盛り上がっていても、九州のスタートアップの盛り上がりが底の浅いものとなるであろうし、福岡市以外の地方にもスタートアップの機運を盛り上げようという目的で開催した。

北九州ではセンサー技術を持つ大学教授のシーズ、熊本では東京のIT企業で活躍した人材によるサービスなどの発表があり、福岡以外の地方都市においてもスタートアップの盛り上がりを感じさせるものとなった。宮崎県では宮崎スタートアップバレーといった組織が立ち上がっており、今後連携イベントを開催する計画である。その他の地域においても連携してイベントを開催してほしいといった要望もあり、九州全体でスタートアップを盛り上げていくような活動が今後も求められている。

2.シード・アーリー期におけるリスクマネーの供給
とりわけ地方においてはエンジェルやシードアクセラレーターが存在せず、シード期、アーリー期におけるエクイティによるリスクマネーの供給主体が存在しないという大きな課題がある。

現状スタートアップに資金を供給しているのは、日本政策金融公庫国民生活事業の創業融資や資本性ローンによっていることが大きい。これらの課題を解決する手段としては、シード期に投資をするエンジェルやベンチャーキャピタルに地方にも投資をするよう促し、そのような場を作ることが考えられよう。本委託事業においても、アクセラレーションプログラムのDEMO DAYを開催し、東京のベンチャーキャピタル11社にお越しいただいた。

総じてベンチャーキャピタリストには九州・福岡のスタートアップに関心を示していただき、投資も検討いただいているところも出てきている。しかし、シード期、アーリー期の投資はハンズオンが重要であり、距離のハンデがあるのは否めない。

現状のスタートアップの盛り上がりを維持し発展させていくためには、シード・アーリー期におけるエクイティによるリスクマネーを供給するシードアクセラレーターが地方こそ必要不可欠であろうと思われる。

3.オープンイノベーションの推進
今回、西日本鉄道と連携して本委託事業を行うことを機会に、幅広い事業分野を持つ西日本鉄道に対してスタートアップがビジネスプランを提案する「西鉄オープンイノベーションコンテスト」を開催した。

九州において、大手企業が本格的にオープンイノベーションに取り組む初めての事例ともなった。これからの時代において、スタートアップの革新性と大手企業のリソースを合わせたオープンイノベーションの流れを促進することは非常に重要である。

今回のコンテストにおいては、優秀なビジネスプランを表彰することが目的ではない、コンテストという形式を通じて、コラボレーションするきっかけを作ることが大きな目的である。

西鉄社員側からもスタートアップからも、いままで接触する機会すらなかった。こういったコンテストを機会に、知り合いになれたことは大きな収穫であったといった声を多く聞くことができた。まずはお互いのことを理解しあうこと、個人と個人の関係の構築に努めること、コンテストが終わっても相談しあえる関係作りができることを主眼として企画を組み立てた。

西鉄社員とスタートアップが参加してのアイデアソン「鉄ッカソン」を開催するなどは、本コンテストならではの企画となったと思われる。今回の取り組みは九州におけるオープンイノベーションのはしりに過ぎない。今後もこのような取り組みを通じて多くの大企業がスタートアップとのコラボレーションを行っていく環境が求められよう。

オープンイノベーションの推進にあたっては、あくまでも対等な関係であり、パートナーとしての関係作りが重要である。大企業側にはリスクを許容する度量と目利きの力も必要となるであろう。オープンイノベーションがうまく進むよう仲介する存在も必要となるであろう。今後はスタートアップ側、大企業側の両者に対しての啓蒙活動と円滑油となる仲介者の存在が求められる。

4.海外、特にアジアへの進出、アジアからの起業家、投資家の受け入れ
スタートアップの世界ではスマートフォン、SNSの普及もあり、容易に海外にサービスを展開できるという環境がある。福岡はアジアに近い、国際空港が非常に便利という地理的な優位性がある。経済成長著しいアジア地域の中産階級向けの市場をスタートアップが開拓するというビジネス展開も十分考えられる。東京にない福岡の特徴を出すという意味でも、非常に重要な要素であると思われる。

また、海外に進出するというだけではなく、海外の投資家、起業家を福岡に呼び込むということも考えられる。国際的なスタートアップ都市として認知されることは、地元のスタートアップのチャンスを広げることにもつながり、全体のレベルアップにもつながるものと考えられる。国際的なスタートアップ都市となるためには、英語による情報発信や海外からの人材受け入れのインフラの整備といったことも求められよう。以上のような課題が、本委託事業を実行する中で確認することができた。今後もこれらの課題の解決を通じてさらなるスタートアップの成長促進を図るとともに、先輩起業家が起業家を育てるエコシステムの構築を地方においても実現していくことが求められよう。

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