外資コンサル企画書マッキンゼー① 『製油所国際競争力』企画書から学ぶ

外資系コンサルティング企業の企画書は、調査・分析・提案レベルにおいて日本国内最高レベルです。それは落札価格が、数千万円レベルであることを考えても当然といえます。第1回目は、外資コンサルの代表格マッキンゼー・アンド・カンパニーです。

経営コンサルタントの大前研一氏、DeNAを創業した南場智子氏、オイシックスを創業した高島宏平氏など多くの経営者を輩出しており、ビジネス界の一大ブランドを形成しています。ここでは、政府官公庁が依頼した公開企画書データをベースに、外資系コンサルティング企業の企画書作成のノウハウを学ぶために考察していきます。

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【目次】
1. 外資コンサル企業の企画書の特徴
1-1. 外資コンサルの企画書の目的
1-2. 数字やグラフを最大活用する
1-3. エビデンス(裏付け)の重要性
1-4. マッキンゼーの企画書は白黒で構成されている?
2. マッキンゼーの企画書実例『我が国製油所の国際競争力』から学ぶ
2-1. 表紙/我が国製油所の国際競争力
2-2. 内容
2-3. 日本の製油所は世界的に見れば中規模
2-4. 日本の原油処理能力の稼働率は欧州と並んで低位
2-5. 日系企業の資本収益性は海外他社と比較して高くない
2-6. 内容
2-7. 日本の製油所の石油精製マージンは米国と比較して低く、欧州とはほぼ同水準
2-8. 内容
2-8-2.世界の今後の石油需要はアジア太平洋地域が牽引
2-9. 内容
2-10.世界の石油化学品市場規模は過去10年間でほぼ倍増した
2-11.世界のエチレン需要の増加の半分はアジア、特に中国による
2-12.2015年には中東・北米のエチレンプラントがコスト競争力で優位になると見込まれ、日本のプラントは後塵
2-13.内容
2-14.日本の製油所の将来展望
2-15.2020年に日本の製油所の原油処理能力稼働率を90%とする場合の原油処理能力(推計)
2-16.製油所と石油化学プラントの統合運営による運営最適化およびコスト競争力向上
2-17.海外進出においては世界の石油精製・元売市場で生かせる最も有効な強みを特定する
2-18.日本での石油精製・元売・石油化学事業をキャッシュ創出事業として、それを原資に将来の成長ドライブ事業を育成
3. 今回の企画書のポイント

 

1. 外資コンサル企業の企画書の特徴

1-1. 外資コンサルの企画書の目的
外資系コンサルティング企業のコンサルタントが会う相手は、大手企業の経営層がほとんどです。彼らコンサルタントは、高い報酬の見返りとして、ハードワークと高水準の経営分析および経営提案力が要求されます。その作成する企画書のGOALは、クライアントである企業の幹部に経営判断の元になる現状データと課題設定、そして具体的ソリューションと根拠データを提案し、早く経営改善の実行に移してもらうことです。

1-2. 数字とグラフを最大活用する
外資コンサルの企画書の大きな特徴は、数字やグラフが多用されていることです。これは重要な経営判断には、客観性が求められ、客観性の大きな根拠は事実だからです。そしてその事実を普段忙しい大手企業の経営層に認識してもらうには、数字やグラフ、図版が効果的であることを知っているのです。

1-3. エビデンス(裏付け)の重要性
外資コンサルの企画書を研究すると、その根拠の多様性と層の厚さに圧倒されます。大手の外資系コンサルティング会社は、グローバルなネットワーク力を活用したリサーチを強みにしているケースも多いのです。

1-4. マッキンゼーの企画書は白黒で構成されている?
マッキンゼーが作成する企画書データは、白と黒で構成されているという話があります。今回ご紹介する企画書データを見てもわかる通り、それは噂に過ぎないのですが、ある意味本質を突いているエピソードでもあります。つまり必要以上の演出をせず、シンプルかつストレートにクライアント企業の経営陣に現状や問題点、解決のポイントを早く理解させるために計算して構成されているということです。ここが、広告業界の企画書と大きく異なる点です。外資系コンサルの企画書は成果にコミットするための行動誘発道具であり、感情を煽るのではなくクライアントの向こう側にいる株主からそのアクションと予算を追求されても整然と応えられるロジックと証拠に満ちている必要があるのです。

 

2. マッキンゼーの企画書実例『我が国製油所の国際競争力』から学ぶ

では、実際にマッキンゼーが作成した企画書を見ていきましょう。今回は、2014年2月25日に総合資源エネルギー調査会の資源・燃料分科会の石油・天然ガス小委員会の討議用資料として作成されたものです。

2-1. 我が国製油所の国際競争力

2-2. 内容

◆我が国製油所の規模・稼働率・資本収益性
◇我が国製油所の現状と課題
◇我が国製油所の将来展望

2-3. 日本の製油所は世界的に見れば中規模

2-4. 日本の原油処理能力の稼働率は欧州と並んで低位

◆地域別原油処理能力稼働率

2-5. 日系企業の資本収益性は海外赴任と比較して高くない

2-6. 内容

◇我が国製油所の規模・稼働率・資本収益性
◇我が国製油所の現状と課題
◆我が国製油所の石油精製マージン
→我が国製油所の輸出競争力
→我が国製油所と石油化学
◇我が国製油所の将来展望

2-7. 日本の製油所の石油精製マージンは米国と比較して低く、欧州とはほぼ同水準

2-8. 内容

◇我が国製油所の規模・稼働率・資本収益性
◇我が国製油所の現状と課題
→我が国製油所の石油精製マージン
◆我が国製油所の輸出競争力
→我が国製油所と石油化学
◇我が国製油所の将来展望

2-8-2 . 世界の今後の石油需要はアジア太平洋地域が牽引

◆世界の石油需要

2-9. 内容

◇我が国製油所の規模・稼働率・資本収益性
◇我が国製油所の現状と課題
→我が国製油所の石油精製マージン
→我が国製油所の輸出競争力
◆我が国製油所と石油化学
◇我が国製油所の将来展望

2-10. 世界の石油化学品市場規模は過去10年間でほぼ倍増した

◆世界の石油化学品の収益プール

2-11. 世界のエチレン需要の増加の半分はアジア、特に中国による

◆世界のエチレン需要

2-12. 2025年には中東・北米のエチレンプラントがコスト競争力で優位になると見込まれ、日本のプラントは後塵

◆世界のエチレン生産コストカーブ

2-13. 内容

◇我が国製油所の規模・稼働率・資本収益性
◇我が国製油所の現状と課題
◆我が国製油所の将来展望

2-14. 日本の製油所の将来展望

【内容】
1. 国内事業の競争力強化
・原油処理能力および装置構成の最適化
・製油所のコスト競争力強化

2. 石油化学分野との更なる統合
・製油所と石油化学プラントでの原料融通、共同運営等によるコスト削減などの運営最適化
・製油所と石油化学プラントでの生産計画の一体化等による収益向上

3. 海外における成長機会への参入
・海外の石油精製・元売市場における「パートナー」となるために最も有効な強みを特定(例.プラント運営スキル)
・海外での事業機会を追求する仕組みの構築

2-15. 2020年に日本の製油所の原油処理能力稼働率を90%とする場合の原油処理能力(推計)

◆2020年に日本の製油所の原油処理能力稼働率を90%とする場合の原油処理能力(推計)-石油製品の国内需要の見通しを前提

2-16. 製油所と石油化学プラントの統合運営による運営最適化およびコスト競争力向上

◆統合による価値創造軸&統合メリットの領域(例示)
A. 原料最適化、原料融通化
・原料の種類と数量の最適化、原料の輸送距離の最小化

B. 製造最適化
・カットポイントの最適化、副産品のトレードオフの最適化、ブレンドの柔軟性向上

C. エネルギー共有化
・ユーティリティの共有、コジェネの規模拡大

D. 固定費最適化
・労務およびメンテナンス等の最適化

E. インフラ共有化
・桟橋、タンク、テクニカルサービス等の共有

F. 経営資源とナレッジの共有化
・プラント運営に関するベストプラクティス等のナレッジ共有による経営の質の向上

◇統合効果が大きな分野の実現には、製油所と石油化学プラントでのLPの統合による最適化等が必要

2-17. 海外進出においては世界の石油精製・元売市場で生かせる最も有効な強みを特定する

◆日本の石油精製・元売企業の最近の海外進出事例
【北海】
・鉱区権益取得
・ガス田権益買収
【ノルウェー】
・鉱区権益取得
【中東】
・探鉱鉱区取得
・潤滑油販売会社
【ミャンマー】
・探鉱鉱区取得
【インド】
・潤滑油製造販売
【インドネシア】
・軽油の輸入・販売
・潤滑油製造販売
【韓国】
・パラキシレン製造合併
【ベトナム】
・探鉱鉱区取得
・潤滑油製造販売
・製油所・石油化学
【マレーシア】
・探鉱鉱区取得
【シンガポール】
・原油調達
【オーストラリア】
・探鉱鉱区権益取得
【グリーンランド】
・探鉱鉱区権益取得
【カナダ】
・LNG輸出
【米国】
・太陽光発電用電池供給
【メキシコ】
・潤滑油販売会社
・陽光発電用電池供給

2-18. 日本での石油精製・元売・石油化学事業をキャッシュ創出事業として、それを原資に将来の成長ドライブ事業を育成

 

3. 今回の企画書のポイント

今回のマッキンゼーの提案企画書の構成は、大きく3部構成になっています。

1. 我が国製油所の規模・稼働率・資本収益性
2. 我が国製油所の現状と課題
3. 我が国製油所の将来展望

1については、以下のロジックになっています。

・日本の製油所の規模は、中規模である
・日本の原油処理能力は、稼働率は欧州と並んで低位である
・日系企業の資本収益性は、海外他社と比較して高くない

2について、以下のロジックになっています。

・我が国製油所の石油精製マージン
→日本の製油所の石油精製マージンは米国と比較して低く、欧州とはほぼ同水準
・我が国製油所の輸出競争力
→日本の製油所はアジアの輸出市場において競争力が高くない
・我が国製油所と石油化学
→2025年には中東・北米のエチレンプラントがコスト競争力で優位になると見込まれ、日本のプラントは後塵

3について、以下のロジックになっています。

・国内事業の競争力強化
→原油処理能力および装置構成の最適化
→製油所のコスト競争力強化

・石油化学分野との更なる統合
→製油所と石油化学プラントでの原料融通、共同運営によるコスト削減などの運営最適化
→製油所と石油化学プラントでの生産計画の一体化等による収益向上

・海外における成長機会への参入
→海外の石油精製・元売市場において「パートナー」となるために最も有効な強みを特定
例.プラント運営スキル
→海外での事業機会を追求する仕組みの構築

要は国内の石油精油企業は、機能を強化し、コストを上げ、製油所と化学プラントの連携を推進し、ポジショニングを確立した上でグローバルなパートナーと組みながら新しい市場を獲得していくということです。これらの指摘は、他の業界にも通じる普遍性があります。

日本政府の施策立案に今回の提案がどの程度影響力を持ったかどうかは、2014年3月以降の政府の施策との相関関係を検証すればある程度わかるかも知れません。

いずれにしても、外資コンサルトップクラス企業のロジックの組み立て方、情報収集力、エビデンスの見せ方等、非常に参考になる要素がたくさんあるといえます。

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