自動走行システムとは?社会実装に向けた研究開発・実証事業調査から学ぶ

安全で無公害のクルマ社会を目指して、自動運転(自動走行)の流れが加速しつつあります。日本においては、国土交通省が『自動走行ビジネス検討会』を設置し、様々な取り組みを発表しています。そもそも自動運転車は、1987年にヨーロッパでEUREKAプロメテウス計画として開発が進められました。

自動運転が一躍有名になったのは、2016年5月に発生したテスラ・モデルSが18輪トレーラーと衝突した事故でしょう。この事故はテスラのドライバーがレベル3の自動運転車と勘違いしていた可能性が指摘されています。2018年12月、Googleの関連会社のWaymoが自動運転配車サービス『Waymo One』を一般向けに提供開始し、将来的には完全無人化であることを発表しました。

日本では、2019年2月28日国交省と経済産業省が1月22日から新東名高速道路で実施していた「トラック隊列走行の後続車無人システムの公道実証」を実施終了しています。

今回の企画書は、デロイトトーマツが作成したデータです。早くから自動走行社会への検討を開始していたヨーロッパを中心に、自動走行に関する幅広い情報の収集・分析と日本政府への提言を行っています。それでは2018年3月にデロイト トーマツ コンサルティング合同会社が作成した企画書をみていきましょう。

 

◆自動走行の宅配ロボット公道で実証実験へ(19/06/25)

◆運転手いない!?自動運転「ロボットタクシー」実力(16/02/29)

 

【自動走行システムについて】
自動運転(自動走行)システム―内閣府
自動走行システム推進委員会・WG-科学技術政策―内閣府
(SIP)自動走行システム/大規模実証実験―Nedo
自動運転システムとは?仕組みや種類、レベルごとの事故責任

【自動走行システムの事例】
自動車(クルマ)のIoT化(自動運転など)による運行効率化・交通事故削減【活用事例】
実験事例|自動運転システムの実験事例を紹介
自動運転|AI活用事例 集めました

 

【目次】
1. 今回の企画書の特徴
2. デロイトトーマツの企画書実例『高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業調査報告書』から学ぶ
2-1. 表紙/高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業調査報告書(シミュレーション技術を活用した開発高度化、認証の実態調査)
2-2. XiLSとバーチャル認証に関し、国際動向を踏まえた日本企業の課題抽出と必要な取り組みを整理
2-3. ①シミュレーション技術を活用した開発の国際動向調査・分析
2-18.②欧州におけるシミュレーション技術を活用したバーチャル認証に係る動向の調査・分析
2-28.Appendix①XiLS関連の協調PJ
2-34.Appendix②バーチャル認証関連の協調PJ

 

1. 今回の企画書の特徴

コンサルティング企業が作成した企画書には、学べるポイントが豊富です。

・テーマに沿った情報構成力
・課題設定力
・解決策に関するロジックの可視化
・テーマに関するグローバルな情報収集&整理&可視化

今回の企画書の事例も、世界的な自動走行のトレンドやプロジェクトのスキーム、解決の方向性に関して、高度な仕上がりになっています。表現に一部難解な部分がありますが、日常の企画書作成業務において、相当参考になる部分があると思われます。

 

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2. デロイトトーマツの企画書実例『高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業調査報告書』から学ぶ

では、実際にデロイトトーマツが作成した企画書を見ていきましょう。

2-1. 表紙/平成29年度高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 平成30年3月

2-2. XiLSとバーチャル認証に関し、国際動向を踏まえた日本企業の課題抽出と必要な取り組みを整理

◆プロジェクトの全体像

【①シミュレーション技術を活用した開発の国際動向調査・分析】
①‐1)欧・独 XiLS関連の協調PJ調査
欧州やドイツにおけるXiLS関連の協調PJ・カウンターパートの洗い出しと、それぞれの取り組み内容整理・分析

①‐2)独・米各社のXiLSの取り組み状況の整理・分析
ドイツ各社(自動車メーカ、サプライヤ、エンジニアリング各社等)やテスラ・WaymoのXiLSの取り組み状況の整理・分析

①‐3)①‐1)、①‐2)に関する日本企業との比較と課題抽出・整理
以上1)2)に関する日本企業との比較、日本企業の課題抽出と必要な取り組みの整理

【②欧州におけるシミュレーション技術を活用したバーチャル認証に係る動向の調査・分析】
②‐1)欧・独 バーチャル認証関連の協調PJ調査
欧州やドイツにおけるバーチャル認証関連の協調PJ・カウンターパートの洗い出しと、それぞれの取り組み内容整理・分析

②‐2)欧・米各社のバーチャル認証関連の取り組み状況の整理・分析
ドイツ各社(自動車メーカ、サプライヤ、エンジニアリング会社、認証機関等)のバーチャル認証関連の取り組み状況の整理・分析

②‐3)②‐1)、②‐2)に関する日本企業との比較と課題抽出・整理
以上1)2)に関する日本企業との比較、日本企業の課題抽出と必要な取り組みの整理

2-3. シミュレーション技術を活用した開発の国際動向調査・分析

2-4. 欧州・独における政策的取組と独・米の“産”の取組とを両面から調査

◆調査アプローチ
【Politics(1)】
◇調査内容
欧州やドイツにおけるXiLS関連の協調PJ・カウンターパートの洗い出しと、それぞれの取り組み内容整理・分析

◇調査視点(一部案)
欧州委員会及び独政府のプロジェクト、標準化団体等のコンソーシアム活動の調査
・プロジェクトの背景
・参画プレイヤ
・実施手順・状況等

【Economy(2)】
◇調査内容
ドイツ各社(自動車メーカ、サプライヤ、エンジニアリング会社等)や、テスラ・WaymoのXiLSの取り組み状況の整理・分析

◇調査視点(一部案)
XiLSを活用した開発の対応範囲
・車両性能の観点(運動性能、燃費、熱エネルギーマネジメント、NVH等)
・車両開発フェーズの観点(先行開発段階、量産開発段階等)

開発ツール・環境の整備状況(どの工程でどのようなツールが使われているか等)

XiLSを前提としたOEM、サプライヤ、エンジニアリング会社などの関係者間の役割分担
・OEMの役割
・サプライヤの役割(車両性能目線で部品性能を検証しOEMに提案等)
・OEM/サプライヤ以外のエンジニアリング会社等の役割(OEMの要求事項管理等を行う主体等)
・XiLSに関する関係者間の取引実態、社内での連携実態

ドメイン別開発部隊(エンジン、シャシー、ボデー等)とドメイン横串部隊(ドメイン横断I/F、標準プロセス、ツール等)とのパワーバランスの実態

Tier2以下のサプライヤにおけるXiLSへの対応状況(特に、環境整備、人材確保の観点)

【まとめ(3)】
◇調査内容
日本企業の課題抽出と必要な取り組みの整理

◇調査視点(一部案)
論点設定を行い、論点毎に海外と日本を比較することで、日本企業の課題と必要な取り組みを整理
論点例)シミュレーション技術のスコープ、サプライヤ含めた開発プロセスと役割分担、モデル言語、モデルやツールのIF

2-5. 【Politics】昨今の欧州委員会主導のPJは、乱立したツールの互換性を整備し、開発環境を効率化することにフォーカス

◆欧州委員会主導のプロジェクトの整理

◇モデリング言語
EUROSYSLIB(→Modelica Associationへ移管)

◇ツール間I/F
STAUMECS(→ASAMへの移管) Modelisar(→Modelica Associationへ移管)EMPHYSIS ACOSER

◇ツールP/F
AMALHEA(→Eclipseへ移管)LC-GV‐02‐2018

2-6. 【Politics】過去の政府系PJの成果物は、コンソーシアム等へ移管され“自走”した検討体制が構築済み

◆ASAMへの移管事例

◇政府系PJ/STAUMECS(1996~1999)
・欧州FP4の一環で実施
・自動車開発におけるテストツールやデータの互換性を担保するため、データ仕様やツールインターフェースの標準化が検討
・欧州支援のもと、BMWがPJを主導
→欧州系OEM(Daimler、VW等)やツールベンダ・エンジニアリング会社(AVL、Siemens等)が参画

◇民間による自走/ASAM(1998~)
・STAUMECSの活動引き継ぎを目的として、社団法人ASAM e.V.が設立
・活動目的はSTAUMECS同様、データ・ツール・モデル間の互換性を高めること
・現在は、OEMをはじめとしてグローバルで100以上の法人が参画

<ASAM標準化領域>
・ECU計測・校正用パラメータの標準(例・CDF、CPX等)
・ソフトウェア開発用各種標準仕様(CC、FSX、ISSUE等)
・ECU診断用データモデル仕様(MCD‐2D等)
・テスト自動化用の各種標準仕様(ACI、ASAP3、ATX等)
・ECUネットワーク・システム用Data Model(MCD‐2NET等)
・データ管理・分析関連標準仕様(CEA、ODS等)

◆Modelica associationへの移管事例

◇政府系PJ/Modelisar(2008~2011)
・欧州TEA2の一環で実施
・自動車のシステムと組込ソフト設計のI/F標準として、Functional Mock-up Interface(FMI)を開発
→FMU(Functional Mockup Unit)を一つのモデル単位とし、ツール間の交換や接続が可能
・欧州系OEM(Daimler、VW、Volvo)やツールベンダ・エンジニアリング会社(Dassault、AVL等)が参画

◇民間による自走/Modelica association FMI(2011~)
・Modelisarの活動を引き継ぎ Modelica association内のPJ「FMI」が立ち上げ
・FMIの継続的な改定を行い、FMIの浸透・標準化を推進
・欧州系OEM(Daimler)やツールベンダ(Dassault、Modelon等)が参画

◇民間による自走/Modelica association/SSP(2013~)
・FMI準拠モデルを要素レベルとして、システム全体のモデル構成管理と、Co-simulationのパラメータデータ管理を検討
・OEM(BMW、VW、Honda)やTier1(Bosch、ZF)、ツールベンダ・エンジニアリング会社(AVL、ETAS、dSPACE等)が参画

◇民間による自走/ASAM/XIL‐MA(2014~)
・FMIでサポートされているシミュレーションのうち、アプリケーションテストに関する補足を行う
・欧州系OEM(BMW、Daimler、Audi)やTier(Bosch、Conti)、ツールベンダ・エンジニアリング会社(AVL、ETAS、dSPACE等)が参画

2-7. 【Politics】“自走”が進む欧州標準化団体では、モデルベース開発(MBD)の効率向上を目的に、各レイヤで標準化を促進

2-8. 【Politics】会社を跨いだモデル流通促進・開発効率向上を目的に、Pro STEP SmartSEでは、モデル流通プロセスの標準化を促進/Vision/Vision実現にあたってのステップ

2-9. 【Economy】個別コンポーネントレベルに対するXiLSの適用は既に広範に浸透済み

2-10. 【Economy】自動運転システム・RDEに代表されるドメインを跨がざるを得ないシミュレーションの取組みが今後必要になる/従来の開発/今後の開発

2-11. 【Economy】特に自動運転技術においては、シミュレーションツールに対するユーザーの不満がある一方で、ベンダーはその不満に対応しきれていない状況/ツールのユーザー(OEM・サプライヤ)のニーズ/ツールベンダーの対応/自動運転車開発競争に勝つためには、シミュレーションを含む膨大なテスト走行が必要

2-12. 【Economy】自動運転システム開発向け各ツールの互換性欠如を解決するため、メガサプライヤ主導でオープンソースのツールチェーン構築の取組みが新たに発足/OpenADx(Eclipseで進行中のプロジェクト)概要

2-13. 【Ecomony】自動運転・電動化の進展に伴う制御の複雑化が、今後E/Eアーキテクチャやモデリング言語に変化を及ぼす/車両制御の複雑化とその影響

2-14. 【Economy】今後メガサプライヤは、E/Eアーキテクチャの変化を梃に、ドメイン跨ぎの車両開発までケイパビリティ拡大を目指す/欧州メガサプライヤにおけるMBDへの取り組み体制/従来の車両開発の役割分担/近年のメガサプライヤ動向

2-15. 【まとめ】欧州では、自動運転等の新技術の実装に伴うクルマ作りの複雑化をきっかけに、メガサプライヤのケイパビリティ拡大やツールI/Fの標準化が進展/シミュレーション技術のスコープ/開発プロセスと役割分担/モデル言語/モデルI/FやツールI/F

2-16. 【まとめ】現状でも日本が欧州に後れを取っている開発スピードについて、今後さらに差を広げられる可能性が高い

2-17. 【まとめ】MBD人材の育成により業界全体のシステム思考の底上げを図りつつ、欧州で検討中の自動運転領域について、DB構築を利する議論を早急にすべき

2-18. ②欧州におけるシミュレーション技術を活用したバーチャル認証に係る動向の調査・分析

2-19. VR認証についても同様に、欧州・独における政策的取組と独の“産”の取組とを両面から調査

2-20. 【Politics】欧州では、セーフティ領域を中心にバーチャル認証に取り組んでおり、パッシブからアクティブセーフティへと領域拡大中/パッシブセーフティ(衝突安全、横滑り防止装置)、アクティブセーフティ(自動運転)/ADVANCE、VITES、HUMOS、APROSYS、IMVITER、FIMCAR、SAFEEV、SENIORS、Euro NCAP Pedestrian Testing Protocol、UN Regulation NO.13-H、No140、ENABLE S3、PEGASUS

2-21. 【Politics】プロジェクト“IMVITERVR”では、型式認証へのVT導入(=VR認証)のフローチャートを作成し、VT導入による安全レベル向上のロードマップを発表/実車を表現したモデルの構築/実車とモデルの比較テスト/モデルを用いた形式認証(=VR認証)

2-22. 【Politics】自動運転システムの安全性評価方法を検討する“PEGASUS”では、ISO26262や形式認証との協調的な活動を実施/当該取り組みが成功すれば、バーチャル認証へ適用される可能性も否定できない

2-23. 【Politics】一方で燃費・排ガスについては、ディーゼルゲートの影響を受け実車試験が重要視/ディーゼルゲートを受けた欧州ガス試験の対応/RDE試験方法/RDE規制値

2-24. 【Economy】VR認証が導入済みである横滑り防止装置(ESC)において、各社がシミュレーションによる認証取得を実施/欧州OEMのシミュレーションによるESC型式認証/Daimler・Bosch Opel Citroen

2-25. 【Politics/Economy】ESCの事例から紐解くと、今後VR認証が進展するのは、「セーフティ×認証試験のコスト高×成熟した技術」を満たす領域だと想定/欧州政府の意向/VR認証導入で享受できるメリット/VR認証導入の難易度/自動運転についても、技術が確立した段階でレギュレーション化が急速に進展する恐れあり

2-26. 【まとめ】欧州では既にセーフティへ領域で拡大しているVR認証が、今後自動運転領域まで適用範囲拡大が見通される一方、日本は未対応の状況/欧州の動向まとめと日本の課題/VR認証の範囲/認証スキーム/テスト実施体制・責任範囲

2-27. 【まとめ】今後、自動運転についても、VR認証の適用が急速に進展することを見据え、日本としても対応の準備を進めることが肝要/欧州で検討が進んでいる部分(VR認証導入のフローチャート等)については日本に取り込みつつも、並行して日本側のVR認証対応準備(法整備、民間企業のMBD浸透等)に取り組むべき

2-28. Appendix ①XiLS関連の協調PJ

2-29. 欧州委員会主導のXiLS関連協調PJの概要/EUROSYSLIB/Modelisar/AMALTHEA/背景・目的/主な実施内容/参画プレイヤ

2-30. 標準化団体主導のXiLS関連協調PJの概要/ACOSAR/EMPHYSIS/LC‐GV‐02‐2018

2-31. 標準化団体主導のXiLS関連協調PJの概要/AUTOSAR WP-1/ASAM

2-32. 標準化団体主導のXiLS関連協調PJの概要/Modelica Association/FMI/SSP/LANG

2-33. 標準化団体主導のXiLS関連協調PJの概要/【ProSTEP】Smart SE/【SystemX】SIM/【Eclipse】APP4MC

2-34. Appendix ②バーチャル認証関連の協調PJ

2-35. 欧州委員会主導のバーチャル認証関連協調PJの概要/ADVANCE/VITES/HUMOS2

2-36. 欧州委員会主導のバーチャル認証関連協調PJの概要/APROSYS/IMVITER/FIMCAR

2-37. 欧州委員会主導のバーチャル認証関連協調PJの概要/SAFEEV/SENIOR/ENABLE S3

 

※参照サイト
【最新版】自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る
【世界の自動運転企業リスト】自動運転に取り組む各社の事業概要
自動運転車-Wikipedia
自動車:自動走行ビジネス検討会-国土交通省
自動運転を巡る動き
【最新版】自動運転レベル0~5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説
自動運転とは?なぜレベル2が限界なのか?各レベルの定義を解説
自動運転システムとは?仕組みや種類、レベルごとの事故責任