労働条件を決める雇用契約書。押さえるべきポイントとは?

雇用契約書とは、企業などの雇用主と雇用される労働者との間で結ぶ契約書のことです。

日本では、雇用側が新入社員と読み合わせをし、中身をすり合わせた上で雇用契約書を契約するケースがほとんどです。

ただ重要なポイントは、企業は被雇用者と雇用契約書を結ぶ義務があるという法律がないことです。

この状況が、ブラック企業が発生する温床になっている可能性があります。

本記事では、重要な雇用契約書のポイントについて具体的に解説していきます。

 

【目次】
1. 雇用契約書とは
2. 明示すべき雇用条件とは
3. 要チェック!トラブルになりやすい項目
3‐1. 業務の中身に関するトラブル
3‐2. みなし残業に関するトラブル
3‐3. 契約更新に関するトラブル
4.まとめ

 

1. 雇用契約書とは

雇用契約書とは、企業や経営者などの雇用主と社員などの雇用される労働者との間で結ばれる契約書です。正社員だけでなく、パートやアルバイトも対象になります。

その基本になる雇用とは、労働者が提供する労働対価に対して、雇用主が賃金を支払うことを約束する契約であり、民法第623条に基づいています。

【民法第623条】
雇用は、当事者の一方が、相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる

雇用契約書は法律上義務付けられてはいませんが、労働契約法4条では、以下のようにできる限り作成が望ましいとしています。

【労働契約法4条(労働契約の内容の理解の促進)】
1. 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2. 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

双方が合意すると、それぞれの署名・記名捺印を行います。2019年4月から、本人の希望があり、かつ書面で印刷できる形式であれば、FAXや電子メール、LINEなどのSNSによる通知も認められています。

 

2. 明示すべき雇用条件とは

雇用者には、労働条件の明示が義務付けられています。

労働基準法第15条で、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と労働条件の明示義務を定めています。

【労働基準法第15条】
使用者は、労働契約の締結に際し、労働に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

明記すべき項目については、労働基準法施行規則第5条第1項に規定されています。以下、その項目を記します。


【労働基準法施行規則第5条第1項】
1. 労働契約の期間に関する事項
2. 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
4. 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
6. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
7. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
8. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
9. 安全及び衛生に関する事項
10. 職業訓練に関する事項
11. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
12. 表彰及び制裁に関する事項
13. 休職に関する事項

これらのうち、1から5(4の昇給に関する事項を除く)は、書面の交付により明示する必要があります。6~11は、該当する制度が雇用主にあたる会社で設けられている場合、明記する必要があります。

雇用契約書に労働条件を明示することが、トラブルの抑止力になる

 

3. 要チェック!トラブルになりやすい項目

3‐1. 業務の中身に関するトラブル

就職が決まる時、求人サイトに掲載されている仕事内容や面接の時に受けた仕事に関する説明内容と異なる雇用契約書を交わすケースがあります

【事例/一般事務職で募集していたのに営業職に回された】
その企業は、一般事務職を求人広告で募集していました。Aさんはその求人案件に応募し、無事採用されました。ところが、Aさんはなぜか営業部に配属になったのです。実は営業職がなかなか集まらないため、「一般事務職の方が応募する人数が多い」ということで確信犯で求人活動をしていたのです。面接に来た人間を人事部が採用し、入社後本人の同意を得ずに別の職種で働かせた場合、職業安定法第42条の違反行為になります。

3‐2. みなし残業に関するトラブル

みなし残業とは、固定残業代といわれる制度です。雇用側(企業)が、毎月の固定給に加えて、決まった時間の残業代を支給します。

しかし、労働時間がみなし残業代を大幅に上回っても、その差額が支給さず、トラブルになるケースが多発しています。

【事例/営業手当がみなし残業とみなされた】
Bさんは、教育教材の販売会社でテレアポ業務に従事していました。月の残業時間が多くなっても、みなし残業代は支給されず、裁判に訴えました。その企業は、「営業手当という名目で、月35時間分の労働に相当する金銭を支給していたことをで、残業代は支給済みである」と主張しました。しかし裁判所は「営業手当はあくまで営業活動の経費・インセンティブであり、支給時に時間外労働の時間数と残業手当が明示されていない」との判断をし、その企業に対して追加の残業代の支払いを命じました。

3‐3. 契約更新に関するトラブル

雇用に関するトラブルで、契約更新に関するトラブルも切実なテーマです。正社員雇用が減り、契約社員・パート・アルバイトなどの非正規労働者が増加するにつれて、トラブル件数も増加傾向にあります。

【事例/勤務態度不良を理由に、契約社員の契約更新を拒絶】
Cさんは、衣料品会社の契約社員として働いていました。全国に展開する百貨店の売り場で、販売業務に従事する仕事です。Cさんは、各職場のリーダーと位置付けられる販売社員として雇用契約を結びました。過去5回、1年契約を更新してきましたが、今回会社側は契約更新を拒否。Cさんは「販売社員として5回も更新したきたのだから、このまま更新されると思っていた」と主張しました。ただ裁判所は、「一般販売員を指導する立場であるにも関わらず、在庫確認忘れとその隠蔽行為など、会社がそれらを理由として更新拒絶したとしてもやむをえない」という判断を下しました。

 

4. まとめ

雇用契約書は、今後ますます重要になってくると思われます。

雇用する側と雇用される側がお互い気持ちよく働くためには、雇用契約書は必要不可欠な取り決めといえるでしょう。

そういう意味ではトラブルになる前に、事前準備がとても大切です。

実際の運用書面やトラブル事例を参考にして、自分自身の労働環境を快適にするスキルは必須だといえるでしょう。

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