ブロックチェーン技術を活用した12兆円コンテンツビジネス基盤整備

今やYouTuberは、子供が将来なりたい人気職業の一つです。YouTubeに限らず、誰もが自分でコンテンツを制作し、世の中に発信できるプラットフォームがいくつも誕生しています。

そういった素人クリエイターの創作意欲を促す環境作りとして、コンテンツの権利管理とマネタイズ台帳としてブロックチェーン技術の活用提案が今回の企画書の趣旨です。

特に国内市場規模12兆円のコンテンツ産業は日本の有望産業の一つであり、この産業の発展は日本の重要なテーマです。1億人総クリエイター時代が実現するかどうか、そのプラットフォームの鍵がブロックチェーン技術なのです。

 

1億人総クリエイター時代へ

◆ブロックチェーンとは何か?

◆ブロックチェーンとは?ホリエモンとひろゆきが語る!

 

【ブロックチェーンとは】
ブロックチェーン(分散型台帳)とは
ブロックチェーンの仕組み~初心者のためのわかりやすい解説~
ブロックチェーン―Wikipedia
ブロックチェーンとは|NTTデータ

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【目次】
1. 今回の企画書の特徴
2. 『平成30年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費)(イノベーション経営の普及に係る調査研究)』から学ぶ
3. 表紙
4. 目次
5. サマリー
6. 検討の概要
7. 検討の詳細
8. 終わりに
9. 表紙
10.目次
11.分配システムの概要
12.分配パターン別の要求機能
13.要求の総括

 

1. 今回の企画書の特徴

今回の企画書は、ブロックチェーンを活用したコンテンツクリエイターの将来像が描かれています。ポイントとなるキーワードを、以下に記します。

・映画、音楽、アニメ、マンガ等のクリエイター
・日本のコンテンツ市場規模は12兆円
・インターネットやデバイスの技術の進展
・素人クリエイターの制作環境とマネタイズ環境の整備
・コンテンツの権利管理
・利益配分のサービス・アプリケーション
・1億総クリエイター時代
・SNS上での評価や拡散
・分散型台帳として取引・記録・検証をシステム内で運営管理するブロックチェーン技術

 

2. 『平成30年度コンテンツ産業新展開強化事業(ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネス基盤整備のための調査事業)』から学ぶ

では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が作成した企画書を以下具体的に見ていきましょう。

3. 表紙1

3. 表紙2

4. 目次

5. サマリー

日本のソフトパワーの旗手としても期待されている映画、音楽、アニメ、マンガ等の日本のコンテンツは、世界からの共感を得ながら、各業界において海外展開を推し進めている。一方で、国内のコンテンツ市場は、ここ10年約12兆円前後を横ばいで推移しており、新たな市場開拓の兆しを見出せていないのが現状である。

他方で、コンテンツを取り巻く情報技術に目を向けると、インターネットやデバイスの技術の進展により誰もがコンテンツを制作したり発信したりできるようなプラットフォームが登場している。これにより、従来のような職業としてのクリエイターが形成するコンテンツ産業の外縁に、誰しもが制作に関わることができ、消費者のみならず生産者にもなり得るコンテンツ(本報告書において UGC:User Generated Content という。)の流通環境がサイバー空間に整備されつつある。こうした空間では、利用者同士がコンテンツを共有し合って視聴したり、これをもとに新たなコンテンツを創作したりするコミュニティも生まれている。

UGCのうねりを新たな市場の創出と捉え、その取引を収益化(マネタイズ)することは、日本のコンテンツ産業の一つの活路となると考えられるところ、こうしたコンテンツにおいては様々な人々が様々な形でその制作に貢献しており、いわゆる作り手以外の関係者に対して収益を還元する仕組みを構築することが、更なる市場拡大をもたらす可能性がある。

本検討会では、上記の問題提起を出発点として、誰しもが享受することができることはもちろんのこと、誰しもが創作し又は制作しあるいは創作等に貢献することができるというコンテンツの特性に技術思想が親和すると考えられるブロックチェーン技術に着目し、これを用いたコンテンツの権利管理・利益分配のサービス・アプリケーションに必要な基礎的機能について検討を行った。

本検討では、音楽のn次創作(あるコンテンツ(原コンテンツ)をもとに別の新たなコンテンツを創作すること等)を発信・視聴するサービス・アプリケーションをビジネスモデルの題材として取り上げた。具体的には、原コンテンツの創作者等とn次コンテンツの創作者等との間の利用者からの支払対価の分配等について検討を行い、これらを実装するに当たって想定されるシステム上の機能や、このうちブロックチェーン技術に関するものについての技術的な要件定義を取りまとめた。

6. 検討の概要1

1. 検討のスコープ:UGCにおける寄与者への利益配分の仕組み1

情報技術の発展により、これまでいわゆるプロクリエイターのみが行っていたコンテンツの制作は、誰でも簡単に行えるようになった。そして、誰しもが、制作したコンテンツ(UGC:User Generated Content)を、インターネットを通じて世界に発信できる環境にある。

日本は、同人誌文化や動画配信サイトにおける自主制作のほか、「歌ってみた」、「踊ってみた」のような個人の創作文化にみられるように、諸外国と比べても多様な表現活動や自由な制作活動を個々人が行っており、「1億総クリエイター」として誰しもが世界にコンテンツを発信することができる可能性を秘めている。

このような制作活動は特定コミュニティ内のコミュニケーションの一つとして行われているのが一般的であり、その制作・利用に対する対価や利益分配は発生していないのが現状である。

したがって、こうした活動によるコンテンツの流通をマネタイズすることは、現在市場として計上されていないコンテンツの取引を顕在化するものとして、日本のコンテンツ産業の拡大に資するものであると考えられる。

他方で、UGC はその制作そのものに複数人が携わることがあるほか、あるコンテンツを参照し又はこれに触発されて新たなコンテンツが制作されることもある。また、その普及に当たっては、マスメディアや広告代理店を通じたプロモーション手法ではなく、特定個人のSNS上での評価や拡散などもコンテンツの価値の向上に貢献していることがある。

このように、こうしたコンテンツの取引環境は、従来のコンテンツ市場のように作り手と受け手が一対多数と硬直的に分断されている構造ではなく、皆が公平に制作・利用する立場にあることから、参加者全員の善意による流通促進が自律
的に図られる構造になっているのが特徴である。

この構造を踏まえ、価値の創出に関わった人々皆がその寄与度に応じた対価を受けることができるという世界観をつくる
ことによって、こうしたコンテンツをマネタイズ(商品化)することが可能ではないか。

この点、ブロックチェーン技術は、分散型台帳として取引・記録・検証をシステム内の皆で運営・管理する仕組みであり、上記の取引環境の構造に親和的な技術といえる。

そこで、本検討会では、ブロックチェーン技術の特性に着目し、こうしたコンテンツを制作し又はその価値の向上に貢献した者への寄与度に応じた対価の支払いを可能とする仕組みを導入することにより、新たなコンテンツ市場を創出できるのではないかという問題意識に立ち、検討の題材として、あるコンテンツを参照した新たなコンテンツ(n次創作)の制作において、当該コンテンツの著作権者に加え、著作物に関する権利を有しないが当該コンテンツの制作に寄与した者のほか、例えば制作への関与はないものの制作に際してインスピレーションを受けたと制作者が考える者や、当該コンテンツの価値創出に貢献したと制作者が考える者に対する利益分配が行われる仕組みを検討した。

6. 検討の概要2

1. 検討のスコープ:UGCにおける寄与者への利益配分の仕組み2

具体的には、コンテンツ分野の中でも、いわゆるアマチュアクリエイターの制作活動(n次創作を含む。)が進んでいる音楽について、BtoC(作り手-受け手)間及びBtoB(作り手-作り手)間の権利処理や利益分配が実装された具体的なサービス・アプリケーションを念頭に議論した。

なお、本検討においてブロックチェーン技術の活用の有用性が見出されれば、他のコンテンツ分野における転用も考え得るであろう。

(1)“受け手→作り手”:対価の支払い

UGC の流通プラットフォーム(「ニコニコ動画」、「YouTube」等)において、受け手である視聴者が作り手に対して金銭的対価を支払う仕組みは、現在、アフィリエイト等の広告モデルを除いて一般的な普及に至っていない。

また、n次創作は一般的に1次創作の作者に対して敬意を表す「文化」と捉えられており、マネタイズがなされるビジネスの対象とはみられておらず、また、上記の流通プラットフォームにおいてもコンテンツの価値創出に寄与したと考えられる者への対価の支払いの仕組みも構築されていない。

本検討では、視聴者や他人のコンテンツをもとにn次創作を行った者が、作り手に対して金銭的対価を払う仕組みの構築を試みた。

(2)“作り手-作り手”:利益の分配(寄与度の可視化・定量化)

UGCのマネタイズに当たって必要な価値の創出に貢献した関係者への分配については、分配率は作り手同士の当事者間の合意によって決められることになる。しかしながら、分配率を決める際の何らかの根拠や、それに基づき実際に分配をするための経済的・合理的なシステムは存在していない。

本検討では、分配率の決定の判断材料とするための寄与度の可視化・定量化といった「見える化」の仕組みの構築の検討も試みた。

6. 検討の概要3

2. 検討に用いた技術:ブロックチェーン

本検討会においてブロックチェーン技術に着目するのは、前述の流通システムの特徴との技術思想の親和性のほか、以下のとおり、コンテンツの取引環境の整備における技術的な適合性が認められるためである。

(1)対改ざん性の高さ

ブロックチェーン技術は、多数で情報が記載される台帳を管理すること及びブロックが作られる際に過去の取引履歴をまとめたものを次のブロックに入れ込むことから、これにより構築されたシステムはデータの改ざんを限りなく行いにくいものとなっている。

そのため、権利の所在や経済的利益の移転に関する履歴を改ざんされない形で保存しておくことが可能であり、こうした堅牢な記録台帳はUGCを制作し又は価値の創出に貢献した者への収益分配の仕組みをつくる上で基盤となる。

(2)データの追跡可能性と透明性の高さ

UGCのn次創作では、多くの者がコンテンツの制作及び価値の創出への貢献に関与することが考えられるため、その対価の支払いには透明性と検証可能性が求められるところ、ブロックチェーンでは、匿名性を維持したまま、過去の取引履歴をネットワーク上で閲覧可能であることから、技術的親和性が高い。

(3)管理コストの分散及び取引コストの低減

従来は管理者に集約される情報のセキュリティの維持・向上に管理コストがかかっていたところ、ブロックチェーン技術では、特定多数による台帳の管理・運用となるため、セキュリティの維持・向上に関するコストを特定の者で担うのではなく分散させることができる。

また、スマートコントラクト(契約の自動化)をブロックチェーン技術と組み合わせることで、コンテンツの制作及び価値の創出への貢献に関与した者へ確実に収益を分配すること及び通常の契約において第三者が担保している契約の安全性をシステムで代替することが可能となり、システム利用者間の関係においては取引コストの低減につながると考えられる。

7. 検討の詳細1

1. 本検討会において検討したモデル

本検討会においては、前述のとおり、いわゆるアマチュアクリエイターのn次創作のマネタイズに向けて、音楽のn次創作の発信(アップロード、ストリーミング)及び視聴において、ブロックチェーン技術を活用して原コンテンツの権利者と n次コンテンツの権利者の権利関係の明確化及び支払対価の分配の自動化を可能にする、インターネットで展開されるサービスについて検討した。

今回は、その基盤システムのうち、問題提起の観点から最も重要である、n次創作に係る複数の寄与者に対する分配を可能とするシステムを主要な題材とした。

なお、このサービスでは設備投資を行い、サービスの利用者に対する規約を設定し、当該サービスを提供する者の存在を想定しているが、将来的には、基盤システム、ストレージ、支払いの仕組み等についても、サービスの利用者によって提供される可能性も考えられる。

本システムは、具体的には次のとおりである。

複数の権利者により創作されたコンテンツAを本システム上にアップロードする際に、権利者間で対価の分配率を設定し、コンテンツAに対する支払いが行われた場合、設定された分配率に応じて対価の分配が行われる。コンテンツAを参照して制作されたコンテンツBの権利者とコンテンツAへの対価の分配率を設定し、利用者からコンテンツBに対する支払いが行わ
れた場合、設定された分配率に応じてコンテンツBの権利者とコンテンツAに対価の分配が行われ、コンテンツAに分配された対価は、コンテンツAにおいて設定された分配率に応じてコンテンツAの権利者に分配が行われる。

以降、コンテンツ C、D、Eと続いても同様に対価の支払いがコンテンツをさかのぼって行われる。(下図参照)

7. 検討の詳細2

本システムを実装するに当たって想定される機能について、便宜上、①登録(本システムにおける権利者及びコンテンツの正当性等に関する論点)、②分配(コンテンツの利用料の分配構造に関する論点)及び③支払い(利用料の支払形態に関する論点)の3つのフェーズに分けて下記のとおり整理した。

なお、本報告書では、「n次創作」を下記a)のとおり定義した上で、下記b)及びc)を前提とすることとしたい。

a)「n創作」とは、既存のコンテンツを参照して又は既存のコンテンツに触発されて新たなコンテンツを制作することをいい、既存の著作物に新たに創作性を付与した場合に限らない。

b)本システムの利用に当たって、自己が権利を有するコンテンツの利用への対価の全部又は一部を受領することができること及び、当該コンテンツの流通に対する態度を表明することはできるが、他者による利用を制限することはできないことについて同意する。

c)本報告書でいう「権利者」とは、システムに参加することによりコンテンツの利用の対価の分配を受ける者(収受権者)及びその収受権の移転を受けた者をいう。

2.システム構築に当たって想定される機能①:登録
(1)コンテンツと権利者の紐づきの確認

(必要性)
本システムが広く利用されるためには、システムを通じてアクセスできるコンテンツが正当な権利者と紐づけられていることを担保する、又は紐づいていない状況を是正する機能が必要となる。

(機能)
A:参加適格としての権利者の真正性の確認

・本システムの利用に当たっては、利用者はデジタル認証局等を活用し、本人であることを証明することとする。その際、基盤システムの提供者や別の代行業者等が認証業務を行うことも可能である。

7. 検討の詳細3

・本システム上でコンテンツをアップロードしている者が、別のアーティスト等の名をかたってコンテンツをアップロードしていないことを確認するための通報制度を備える

・利用者が、コンテンツをアップロードしている者に対して「別のアーティスト等の名をかたってコンテンツをアップロードしているのではないか」と疑義が生じた際に、本来の権利者と考えられる者に対して通報することができる

・通報を受けた者は、当該コンテンツを自己のコンテンツであるかどうかを確認し、自己のコンテンツである場合は、名をかたっているアップロード者に対してコンテンツの取下げを要求でき、自己のコンテンツでない場合は、その通報を拒否することができる

・通報を受けた者からコンテンツの取下げを要求された者は、その要求が正当である場合には、自らコンテンツを取り下げることとする。その要求に疑義がある場合には、その旨公表することとする

・取下げを要求された者が疑義を表明した場合は、基盤システムの提供者が存在するときはその提供者が判断を行うことが考えられる。ほかにも、例えば Augur(注:イーサリアムブロックチェーンを使用して分散型予測市場を提供するプラットフォーム。非中央集権的な構造となっており、多くの人の匿名の情報によって全体の最適を実現する仕組み。これを活用することで正しい情報をもとに正しく分配することが可能となる。)のような非中央集権的で、不特定多数の者による審査を可能とする仕組みを用いることによりどちらの態度が正しいと判断するかを利用者の判断に委ね、その判断に沿ってコンテンツの取下げ等が決定されるよう設計することも可能である。

B:コンテンツの真贋の確認
(機能)

・本システム上にアップロードされたコンテンツが偽の者(別の人物が権利者のふりをして当該コンテンツを発表している、また別のコンテンツを参照しているにもかかわらず、参照したことを公表していない等のケース)でなく、正確な権利者と紐づいているかどうかを確認するための通報制度を備える

・利用者が、アップロードされたコンテンツに対して「別のアーティストの作品ではないか」又は「別のコンテンツを参照しているのではないか」と疑義が生じた際に、本来の権利者と考えられる者に対して通報することができる

・通報を受けた者は、通報内容を確認し、自己のコンテンツである場合又は自己のコンテンツが参照されていると判断される場合は、当該コンテンツをアップロードした者に対してコンテンツの取下げを要請でき、自己のコンテンツでない場合又は自己のコンテンツが参照されていないと判断される場合は、その通報を拒否することができる

7. 検討の詳細4

・通報を受けた者からコンテンツの取下げを要求された者は、その要求が正当である場合には、自らコンテンツを取り下げることとする。その要求に疑義がある場合には、その旨公表することとする

・なお、取下げを要求された者が疑義を表明した場合は、上記Aの場合と同様に、基盤システムの提供者による判断や Augur 等の不特定多数の者の判断に委ねるよう設計することも可能である

(2)規約における利用者に対する著作権及び著作者人格権の不行使への同意
(必要性)

本システムでは、コンテンツの利用関係を透明化し、収益が適切に分配されることを確保することによりコンテンツの利用を促進することを前提としているが、一つ一つの権利について確認を取るのは多大なコストを要する。また、原権利者が許諾判断を停滞したり、二次創作物の公表時期や同一性保持について自由に権利を行使することを許容した場合、コンテンツ利用の円滑さや多様な表現を損なう可能性がある。

こうしたことがないよう、権利者は、システムへの参加により、各利用者に対し、コンテンツの利用について著作権及び著作者人格権を行使しないことを同意するものとすることが必要である。

なお、公序良俗に反する利用については、その判断は社会通念に委ねるほかないものの、利用者がそのようなコンテンツを発見した場合には、原権利者に対して通報し、必要に応じてコンテンツは取り下げられるものとする設計も必要である。

(機能)
・本システムの利用に当たって利用者登録を行う際に、権利者は、利用者のコンテンツの利用に対して支払われた対価の一部の分配を、システム提供者が設定した一定のアルゴリズムに従って受け取ることができることに加えて、各利用者に
対して、当該権利者が有する著作権法上の権利及び著作者人格権を行使しない旨を同意する。

(3)権利者の事後的な追加
(必要性)
コンテンツの消費者への受容度は、例えば、作詞・作曲から成るコンテンツについて、当該コンテンツ自体の評価にとどまらず、ある著名人がファンであることを公言したことにより知名度が上がるなど、他の利用者によるプロモーション等の貢献により新たに付加された価値にも左右される。

7. 検討の詳細5

これは、当初から想定して行われることもあれば、期せずして結果的に良い結果が生じることもあるのであり、後者の場合に、コンテンツが消費者に受容されるきっかけをつくった者の貢献に対する利益分配を可能するために、本システムの権利者に加えることを可能にすることは、適切な対価の還元の観点からも重要である。

(機能)
・ コンテンツのアップロード後に生じた事象に鑑み、新たに権利者を追加し、自己の
収益権限の一部を渡すことができる。

(4)事後的な態度の表明
(必要性)
本システムを利用するに当たっては著作権及び著作者人格権の不行使を前提とするため、公序良俗に反する利用での活用を除き、原則として自由に他の利用者がアップロードしたコンテンツを参照等することができる。

しかし、自己のコンテンツを参照等したn次コンテンツに対し、参照等のされ方に納得がいかない場合に、権利の行使までは至らない「態度の表明」を行うことを可能にすることで、強制力は持たないものの、権利者に対する救済措置として機能させることができる。

なお、権利者からの「態度の表明」は、強制力はないものの当該コンテンツを活用する利用者にとって心理的な制約となり得るが、他方でこれにより利用者が権利者の意向を尊重して参照する場合も想定され、このような場合には利用者には更なる工夫の余地が生じ、クリエイティブマインドを一層喚起する可能性もある。

また、本システムを用いたサービスにおいて、将来、システムの参加者が増加し、既存の音楽ビジネスの事業環境に近づいた場合には、著作権及び著作者人格権の包括的な不行使ではなく、権利者の許諾権の行使を可能とする仕組みを導入する選択肢もあり得る。

(機能)
・ 自己のコンテンツが参照されたあるn次コンテンツに対して、原権利者が自己のコンテンツの参照のされ方に納得がいかない等の場合に、n次コンテンツのアップロード後に当該コンテンツに対して態度を表明することができる。

7. 検討の詳細6

(5)コンテンツの取下げ時のn次コンテンツの扱い

(必要性)
権利者が、例えばレーベルや出版社等と契約するなど、何かしらの理由により本システムから退会する場合に、権利者が引き続き本システムの登録の際に同意した規約に拘束されるか否かという論点がある。

本報告書においては、権利者の意向を尊重しつつも、既に制作されたn次創作の促進の観点から、権利者退会後は当該権利者がアップロードしたコンテンツの新たな参照はできず利用による収益も入らないとする一方で、退会時点において既に当該権利者のコンテンツを参照して制作されたn次コンテンツの利用や対価の分配は継続的に行われること、原コンテンツの著作権及び著作者人格権は引き続き不行使とすることを本システム参加時に同意することが妥当であると考えた。

(機能)
・本システムにコンテンツをアップロードしたことのある者が、レーベルや出版社と契約するなど、何かしらの理由により本システムから退会する場合に、当該コンテンツをシステムから取り下げる又は利用不可能な状態にすることを可能にする

・本システムからの退会によりコンテンツを取り下げた後、その権利者は、当該コンテンツを参照して既に制作された n 次コンテンツに対して態度の表明を行うことはできない

・他方、それらのn次コンテンツはそのまま利用可能とし、取り下げたコンテンツの権利者も、n次コンテンツからの対価の分配を受けることができるものとする

3.システム構築に当たって想定される機能②:分配

(1)ツリー構造による利益の自動分配システム
(必要性)

インターネット上の制作活動では、他者が創作した著作物をもとに又はそれに触発されて新たな制作を行うことが頻繁に行われているが、既存の権利管理の枠組みではこうしたn次創作活動における権利の許諾及び対価の支払い及び分配に対応することは難しい。

本システムは、コンテンツの利用を介したn次創作活動の促進を目的としているため、著作物の参照が何次にわたって続いたとしてもn次創作活動の連鎖を記録し、権利者に自動でその支払いを行えるようにすることが必要である。

7. 検討の詳細7

(機能)

・n次創作における権利者を特定し、権利者間の契約又は一定の相場に基づき権利者間の分配率を設定し、支払いが行われた際に設定された分配率に応じて自動的に分配する

・コンテンツBを制作する際に、既に分配率が設定されているコンテンツAを参照した場合、コンテンツBの権利者に加えてコンテンツAへの分配率を設定することで、コンテンツBに支払われ、コンテンツBの権利者及びコンテンツAに自動的に分配された対価が、改めてコンテンツAの権利者間で分配される

(2)分配率の最適化
(必要性)
複数人で別のコンテンツを参照せずにコンテンツを創作(一次創作)するケースにおいて、いわゆるアマチュアクリエイターの場合は、分配率の相場観がないため、当事者間での分配率の決定の参考となるパターンの提示が必要である。

n次コンテンツについては、参照するコンテンツの原権利者との分配率の調整が整わないことによりコンテンツ利用が阻害されることがないよう、原権利者とn次創作者間の調整の参考となるよう、参照したコンテンツの寄与率を算出・提示することも考えられる。

(機能)
・一次創作については、各権利者間における分配率の合意の参考となるよう、システム上で分配率のパターンを示す
・二次以降のn次コンテンツについては、参照するコンテンツの原権利者とn次創作者の分配率の調整の参考となるよう、フィンガープリント、AI 等の技術を活用し、二次コンテンツと参照したコンテンツの寄与率を算出することも考えられる
・なお、技術的な課題はあるものの、取引記録の蓄積とその分析により一定のアルゴリズムを用いて自動的に分配率を生成する仕組みを導入するということは、本システムの設計の思想に適う

(3)利用者による評価及び分配率への反映
(必要性)
例えば、「詞に共感したため、作詞家に多く支払いたい」、「ダンスをきっかけにこの楽曲を購入しようと考えたため、振付師に多く支払いたい」というように、コンテンツへの支払いの段階で利用者による評価を示すことが可能となれば、権利者はそれをマーケティングデータとして把握することができるとともに、当該コンテンツの制作に寄与した者に市場の評価に応じた適切な対価を還元できるようになる。

7. 検討の詳細8

(機能)
・利用者がそのコンテンツのうち誰の寄与に対して支払いを行いたいと考えているかを把握・集積し公表することで、権利者の評価の指標とするとともに、権利者間の分配率の調整の参考となるよう、適切と考えられる分配率を算出・提示する

注)
・上記のシステムの運営開始当初は、導入の容易さを鑑み、関与した権利者で等分による分配とし、その後、利用者側の反応、権利者側のニーズ等の情報の蓄積を踏まえ分配率の最適化アルゴリズムを導入することも考えられる。こうした仕
組みの実装に当たっては技術的な課題はあるものの、取引記録の蓄積とその分析により一定のアルゴリズムを用いて自動的に分配率を生成する仕組みを導入するということは、本システムの設計の思想に適う

・最適な分配率の算出結果を自動的に分配率に反映させる場合、システム上不具合が生じやすくなるおそれがある。その場合、一定の期間を定め、定期的に反映されるようにすることも考えられる

・利用者側の反応(コンテンツの評価等)については、支払い時の利用者の嗜好に加え、SNS上で拡散される回数等を指標とすることも想定される

(4)収受権の移転
(必要性)
本システムでは、基本的にコンテンツの利用の都度課金するマイクロペイメントの形態を想定している。他方において、コンテンツに対する寄与者で収受権を持つ者が、コンテンツに対する寄与者という立場を保持したまま、収受権のみを第三者に譲渡することができるような仕様とすることも考えられる。この場合、収受権は技術的には細分化して譲渡することができ、転々流通するという仕様とすることも可能であるが、そのような収受権が金融規制上どのように取り扱われるかについては留意が必要と考えられる。

※金融庁「仮想通貨交換業に関する研究会」報告書
(https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20181221-1.pdf)は、事業収益からの分配等を期待するブロックチェーン上の権利(トークン表示権利)について、これを有価証券として金商法規制下に置く方向性を示している。金商法によって規制される「トークン表示権利」の外延が具体的にどのようなものなのかについて、報告書時点においては明らかになっていない。

7. 検討の詳細9

(機能)
・コンテンツの利用に対する支払いの分配を受ける権利(収受権)を、他者に譲渡できる(権利者を書き込んだスマートコントラクトにおいて、権利者の削除及び追加を行う。)

・なお、収受権の移転とともに、下記のとおり態度表明の権限も移転すると構成することもあり得るため、その場合には他の権利者の同意を得るものとする

(5)態度を表明する権限の移転
(必要性)

コンテンツの収受権の移転を受けた場合、当該コンテンツを参照して創作されたn次コンテンツに対して支払われた対価の分配も受けることができることになる。n次コンテンツ制作者への制作方針等に影響を与え得るのは、原コンテンツの権
利者に固有の、いわば人格権的権利の一種とも考えられるものの、n次コンテンツの利用による収入の多寡という経済的権利に密接に関連するものであるため、収受権の移転を受けた者にn次コンテンツに対する態度の表明を行う権利の移転を認めることも考え得る。

(機能)
・収受権の移転を受けた者が、当該コンテンツの参照のされ方に納得がいかない等の場合に、n次コンテンツに対する態度を表明することができる

4. システム構築に当たって想定される機能③:支払い

(1)マイクロペイメント・スマートコントラクト
(必要性)

クレジットカード等の既存のシステムでは、一定数量以下の金額の決済は事実上困難であるが、マイクロペイメントの実現により、より小さい単位のコンテンツの流通・取引を可能とすることで、いわゆるアマチュアクリエイターを含め、より多くの人がn次創作活動に携わることができるようになる。

また、UGC のマネタイズにおいて、当該コンテンツが利用・視聴されるたびに支払いが行われることは、いわゆるアマチュアクリエイターの収入源、マーケティングに活用できるデータの取得等の観点からも望ましい。

7. 検討の詳細10

(機能)
・利用者による支払いで、1円単位又は1円未満での決済を可能とする
・支払いの即時性がある
なお、本検討会において検討したシステムの機能に用いるブロックチェーンの技術的な要件について、別紙にまとめた。

8. 終わりに

本検討会においては、UGCをマネタイズすることにより既存のコンテンツ産業の外縁に新市場を創出できるのではないかという問題意識に立脚し、そのビジネスモデルの一例として、音楽分野におけるn次創作の利益分配を題材にブロックチェーン技術のコンテンツ・サービスへの活用について検討を行った。

本検討におけるサービス・アプリケーションを実装するに当たっては、デジタル技術により可能になる様々な機能の設定と利用者視点でのシステムの利用のし易さとのバランスの取り方、原コンテンツの権利者とn次創作者との間や各n次創作者間の著作権処理の運用面等の観点について精査していく必要がある。

こうした観点は、音楽に限らず、他の分野のコンテンツの流通においてブロックチェーン技術を活用する際にも、共通して検討が必要な部分もあると考えられる。

また、本検討では、具体的なビジネスモデルの一例を前提に一定の想定し得る機能やルール設計を例示したが、実際に各種サービスを実装していくときに検討すべき論点は、必ずしも本報告書で挙げられたものに限られるものではない。

今後コンテンツの流通におけるブロックチェーン技術の活用を進めていく事業者に、更なる論点の深掘りを期待したい。

なお、検討会で議論したサービス・アプリケーションにおいては、著作権法上規定されている著作権者や著作隣接権者に加え、制作行為に寄与した者や当該コンテンツの価値の創出に貢献した者に対する利益分配を、新たな情報技術の活用や個人間のフラットな契約関係を用いて新たに構築することを試みている。

このように、法制度以外の様々な仕掛けの相互作用により、コミュニティに参加する者に一定のふるまいを促す仕組みを考えるに当たっては、当該コミュニティ全体の参加者の行動原理に着目することが重要となる(本検討会におけるn次創作の UGC では、参加者の誰しもがコンテンツを制作する立場にあり当該コンテンツの利用を望むコミュニティが想定され
ていた。)。

今後も技術の進歩が進んでいく中で、コンテンツは、その創作活動と流通・消費のあり方が変容していく。しかしながら、誰もが自由にコンテンツの制作に参画することができる環境、誰もがコンテンツを楽しめる環境、そして、そうした流通においてコンテンツの価値の創出・付与に貢献した者への対価が適切に配分される仕組みの重要性は変わらない。

こうした視点に立ち、時々の状況に即した社会の仕組みがどのようなものか、官民において議論を継続していくことが重要である。本報告書や本検討会における議論もその一助となることを願っている。

「平成30年度ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会」委員名簿

【委員(敬称略、50音順)】
荒川 祐二  株式会社NexTone代表取締役COO
伊澤 一雅  一般社団法人 日本音楽著作権協会 常任理事
伊藤 博之  クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 代表取締役
甲斐 顕一  株式会社ドワンゴCTO 室室長
椎名 和夫  公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会 常務理事
◎末吉 亙  潮見坂綜合法律事務所 弁護士
杉井 靖典  一般社団法人 ブロックチェーン推進協会 副代表理事
仁平 淳宏  一般社団法人 日本ネットクリエイター協会 理事
畑 陽一郎  一般社団法人 日本レコード協会 理事
肥後 彰秀  一般社団法人 日本ブロックチェーン協会 代表理事
○増島 雅和 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
山口 哲一 株式会社バグ・コーポレーション 代表取締役社長

【オブザーバー】
総務省 情報通信作品振興課
文化庁 著作権課
内閣府 知的財産戦略推進事務局

9. 表紙

「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会」
ブロックチェーン要件定義書

10. 目次

I. 分配システムの概要
II. 分配パターン別の要求機能
III.要求の総括

11. 分配システムの概要1

11. 分配システムの概要2

11. 分配システムの全体概要

◆概要
・権利者Aは自身でゼロからコンテンツ創作しているため、すべて自身に還元される
・権利者Bは、権利者AのコンテンツAから着想を得て、コンテンツBを創作している
・そのため、コンテンツBの収益については参照元のコンテンツAの創作者である権利者Aにも分配される
・分配率は、コンテンツBの創作者である権利者Bが決定する

12. 分配パターン別の要求機能1

12. 分配パターン別の要求機能2

分配システムの要求機能(分配の標準パターン)

・分配の標準パターンのモデル図

12. 分配パターン別の要求機能3

分配システムの要求機能(分配の標準パターン)

◆分配の標準パターンの機能一覧
【ツリー構造による自動分配(コンテンツ間の再帰的な分配)】
・コンテンツの分配については再帰的に分配をすることが可能とする
・無制限にさかのぼってコンテンツ、ないしは権利者を呼び出し、分配することができるものとする
【マイクロペイメント/(1円未満の少額、かつ即時的な分配)】
・1円未満の分配も可能とする
・分配率に従って、支払額を計算し、分配を行う
【分配率の最適化/(権利者、参照元の分配率最適化)】
・分配率については、権利者間の決定時に参考値を表示できるものとする
【分配先の変更/(権利者、参照元の変更)】
・分配先については、創作者の判断の下、分配先を変更することができるものとする
【分配の諾否】
・分配については、参照元の権利者が応諾・否認の判断を実施することができるものとする

12. 分配パターン別の要求機能4

12. 分配パターン別の要求機能5

13. 要求の総括1

13. 要求の総括2

◆分配システムの要求一覧

◆機能一覧
【ツリー構造な分配/(コンテンツ間の再帰的な分配)】
・コンテンツの分配については再帰的に分配をすることが可能とする
・無制限にさかのぼってコンテンツ、ないしは権利者を呼び出し、分配することができるものとする
【マイクロペイメント/(1円未満の少額、かつ即時的な分配)】
・1円未満の分配も可能とする
・分配率に従って、支払額を計算し、分配を行う
【分配率の最適化/(権利者、参照元間の分配率最適化)】
・分配率については、権利者間の決定時に参考値を表示できるものとする
【分配先の追加/変更/削除(権利者、参照元の追加、変更、削除)】
・分配先については、創作者の判断の下、分配先を変更することができるものとする
【分配の諾否】
・分配については、参照元の権利者が応諾・否認の判断を実施することができるものとする

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